INTERVIEW 業界別起業家インタビュー
AI界の逸材が集まるテック集団
エンジニアが繰り出す「一手」で世界を驚かせてみせる
HEROZ株式会社 代表取締役 林 隆弘
オンライン対戦将棋アプリ『将棋ウォーズ』など、AIサービスの開発を手がけるHEROZ。2018年4月に東証マザーズへ上場した際には、初値が公開価格の10倍以上をつけ、同社に対する社会的関心の高さを感じさせた。同社のリードエンジニアが開発したAIが将棋の電王戦で名人を破ったことも記憶に新しい。いま注目のAI開発企業である同社代表の林氏に、エンジニアチームの強さの秘訣や、開発にかける想いなどを聞いた。
※下記はベンチャー通信74号(2019年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
チーム内のフラットな関係が個人のチカラを発揮させる
―HEROZの特徴はなんでしょうか。
優秀なAIエンジニアが集まるテック集団であることです。メンバー約40名のうち4分の3をエンジニアが占め、その7割がAIやアルゴリズムの開発に携わっています。たとえば、将棋AI『Ponanza』や『Apery』の開発者、NEC中央研究所の出身で学生時代は「スーパーコンピュータコンテスト」の常連だった開発部長、麻雀AIにかんする基礎理論を発表したエンジニアなど、選りすぐりの技術者が所属しています。
そして、エンジニアチームの全員がほとんどフラットな関係にあることも大きな特徴です。当社は社員に楽しく働いてもらうため、自由に意見を出し合い、自分のチカラを十分に発揮できる環境をつくっているんです。チームにはまとめ役の開発部長がひとりいるだけで、プロジェクトごとにリーダーが生まれる組織形態となっています。
そして、エンジニアチームの全員がほとんどフラットな関係にあることも大きな特徴です。当社は社員に楽しく働いてもらうため、自由に意見を出し合い、自分のチカラを十分に発揮できる環境をつくっているんです。チームにはまとめ役の開発部長がひとりいるだけで、プロジェクトごとにリーダーが生まれる組織形態となっています。
―『将棋ウォーズ』はどのような経緯で生まれたのでしょう。
私を含め、当社には将棋のアマの有段者が多く、「将棋の楽しさを伝えたい」という想いから開発がスタートしました。
『Ponanza』を開発した山本一成も、東京大学の将棋部で活躍していた経歴があります。世のなかにはほかにも将棋のコンピュータソフトが出ていましたが、「ちょっと強いアマに負けるレベル」。山本は「AIで将棋の名人を倒す」という明確な目標をもって開発に取り組んでいました。
『Ponanza』を開発した山本一成も、東京大学の将棋部で活躍していた経歴があります。世のなかにはほかにも将棋のコンピュータソフトが出ていましたが、「ちょっと強いアマに負けるレベル」。山本は「AIで将棋の名人を倒す」という明確な目標をもって開発に取り組んでいました。
―将棋の楽しさを伝えるためにどのようなところを工夫しましたか。
プレイヤーが不利な場面などで、AIが代わりに指してくれる機能を設けた点です。「それって“ズル"ではないか」といわれることもありますが、将棋をやっていた人が将棋をやらなくなるのは「勝てないから」なんですよ。そこをAIが手助けしてくれる。困難な局面をどう打開できるのかがわかれば、勉強にもなるし、なにより勝てるから楽しい。楽しいからこそ、続けられ、上達するんです。
この将棋AIの研究開発で培った技術を応用し、現在はBtoB向けのAIサービスにも力を入れています。
この将棋AIの研究開発で培った技術を応用し、現在はBtoB向けのAIサービスにも力を入れています。
ウチの「対局相手」は超巨大グローバル企業
―どのようなサービスなのでしょう。
『HEROZ Kishin』というサービスで、2017年にリリースしました。ある課題に対してデータを入力すると、AIが課題を解決してくれるイメージで、すでに幅広い業界に採用されています。たとえば、建設業界向けなら、構造設計業務における自動設計やシミュレーションの自動化などに使われる。こうした世界の実現をめざし、業界の活性化に貢献していきたいですね
「AIが人間の仕事を奪う」とよくいわれますが、AIをどう使うかは人間次第。当社はAIによって、人手不足問題を解消したり、働き方改革を進めたり、世のなかを楽しくすることに役立てていきたいと思っています。
「AIが人間の仕事を奪う」とよくいわれますが、AIをどう使うかは人間次第。当社はAIによって、人手不足問題を解消したり、働き方改革を進めたり、世のなかを楽しくすることに役立てていきたいと思っています。
―今後の展望を聞かせてください。
「社会にインパクトを与えたい」「世界を驚かすサービスを創出したい」という起業時からの想いを大切にしながら、成長していきたいですね。とはいえ、会社の規模が大きくなっていっても、技術者が力量を発揮できなくなるような「重い組織」にはしたくありません。ものごとを迅速に進め、個人の能力を尊重する先に、HEROZの成長があると思っています。
AIのBtoB領域は、超巨大なグローバル企業がしのぎを削り合っているメインストリームですが、当社のポジションは必ずあると思っています。GoogleやAmazonといった超巨大グローバル企業を「対局相手」にプレイできているのは、すごくワクワクすることですね。
AIのBtoB領域は、超巨大なグローバル企業がしのぎを削り合っているメインストリームですが、当社のポジションは必ずあると思っています。GoogleやAmazonといった超巨大グローバル企業を「対局相手」にプレイできているのは、すごくワクワクすることですね。
PROFILE
プロフィール
林 隆弘(はやし たかひろ)プロフィール
1976年、静岡県生まれ。1999年に早稲田大学卒業後、日本電気株式会社(NEC)に入社、IT戦略部、経営企画部に在籍。2009年4月にHEROZ株式会社を設立し、代表取締役に就任。座右の銘は「時は命なり」。
企業情報
設立 | 2009年4月 |
---|---|
資本金 | 2億5,000万円(2018年7月末時点) |
従業員数 | 約40名(2018年4月末時点) |
事業内容 | AIを活用したインターネットサービスの企画・開発・運営 |
URL | https://heroz.co.jp/ |
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