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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社アドウェイズ 代表取締役社長 岡村 陽久

アドウェイズが保有する100億円のキャッシュから資金を提供

成長を志すすべてのベンチャーへ告ぐ

株式会社アドウェイズ 代表取締役社長 岡村 陽久

アーリーステージのベンチャーが資金繰りの苦労から脱却した途端、成長軌道に乗る場合がある。業績好調なベンチャーも、追加資金を得ることでさらなる飛躍を実現するケースは多い。アドウェイズの100%子会社であるアドウェイズ・ベンチャーズは、これまで複数社に出資・提携を実施。数々のベンチャーを成長に導いてきた。同社は従来のベンチャーキャピタル(以下、VC)とも銀行融資とも、まったく違ったスキームで資金を提供する。ベンチャー経営者が注目すべき新しい資金調達のカタチを解き明かしていく――。
※下記はベンチャー通信特別号/2014年 IPO市場 最前線号(2014年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

銀行でもVCでもない第3の資金調達法

設立年数が浅く、返済能力に疑問をもたれて銀行融資をなかなか受けられないベンチャー。相応の実績と詳細な事業計画、IPOの可能性などが乏しいと、VCからも出資してもらえない。ベンチャー経営者にとって、資金調達の悩みは絶えることがないのだ。そこで、アドウェイズグループは2011年に投資事業をスタート。出資する場合でも、IPOによるキャピタルゲインは求めない。独自のスキームで投資を実施している。現在、同グループが保有するキャッシュは約100億円。親会社の豊富な資金力を背景に、アドウェイズ・ベンチャーズは積極的な投資を推進している。そのスキームは、銀行やVCと何が違うのだろうか。
ひとつのモデルケースは一千万円単位で、株式を売却するカタチだ。出資を受ける条件は、アドウェイズと取引を始めることだけ。同社がアフィリエイト広告の運用を代行したり、投資先企業がもつ広告枠を取り扱う。取引額の規定はない。株式の取得はそれ自体が目的でないため、投資先がIPOをめざすかどうかは一切問わない。相手企業のニーズに合わせて、資金提供の手段はファクタリング※や融資、広告枠の買い取りなどにも柔軟に対応している。なぜ、このようなスキームが可能なのか。アドウェイズ代表の岡村陽久氏はこう説明する。「事業会社の観点から、シナジー効果を重視しています。投資先の売上が拡大すれば、結果として当社が扱う広告も増えていきます。『ともに成長していきましょう』という考え方であり、資金提供にかかる細かい条件にはこだわりません」

モブキャストの広告を取り扱い、会員獲得に貢献

投資先はネット関連企業が中心。投資の条件となる広告枠の取り扱いでは、競合他社との取引を禁止するような制約は設けていない。「投資先とは長いおつきあいを前提に考えています。たとえば当社より取引条件のよい広告会社があれば、そちらと取引していただいてかまいません。投資先にとって損のないように、経済合理性を重視してフェアに判断してもらっています」(岡村氏)これまで契約に迷う投資先はなかったという。たとえば複数ある投資先のなかに、スポーツ特化型SNS運営のモブキャスト(東証マザーズ上場)がある。その広告を取り扱った結果、同社の会員獲得と売上の目標達成に大きく寄与した。「結果的にモブキャストは上場しましたが、株式の売却益を想定していたわけではありません。投資の判断は、あくまで取引目線で行っています」(岡村氏)また、アフェリエイト広告事業のベストクリエイトには累計6,000万円を投資。多くのVCが避ける追加出資を行い、同社のキャッシュフロー強化をサポートした。

BSではなくPLに資金を計上できる

一般にベンチャー企業が急成長する途上では、キャッシュが不足する局面に遭遇しやすい。それを迅速に乗り切るにはスピーディーな資金調達が求められる。アドウェイズ・ベンチャーズの場合、ほとんどのネット関連企業と取引があるため、詳細な提出資料を長期間に渡って精査しなくても、対象企業との親和性を判断できる。投資の申し込みから決済までに費やす期間は、約1週間という早さだ。さらに、この投資は企業のPL(損益計算書)を強化することもできる。「銀行融資とVCの出資はBS(貸借対照表)を厚くします。でもベンチャーは、BSよりもPLが重要。当社は広告枠の買い取りなどを通じて、PLを厚くできるのです」岡村氏は投資スキームの有効性について、そう確信を示した。
※ファクタリング:企業が売掛債権をファクタリング会社に売却し、ファクタリング会社が企業に代わって売掛債権を回収する取引のこと
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