累計経営者579人に取材、掲載社数320ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを紹介

IT業界の起業家インタビュー

株式会社サイバーエージェント 取締役 人事本部長 曽山 哲人

ITあくな き挑戦を可能とする風土が時流をとらえた新事業を生み続ける

株式会社サイバーエージェント 取締役 人事本部長 曽山 哲人

※下記はベンチャー通信49号(2012年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―毎回、どれくらいの新規事業が提案されるのですか。

曽山:当社の役員は8名で、1チームあたり最低3案は用意するので、毎回30案ほどが提案されています。あした会議は年に2回開催していますが、ビジネスプランコンテストではなく実際に決議されるので、人材の異動や投下資本まで決めなければなりません。毎回約20案が決議され、翌月には会社が3~4社できているケースもよくあります。また役員の人事制度として、サイバーエージェントのトップ8人という意味の「CA8」という仕組みがあります。これは役員が2年に1回1~3名入れ替わる制度で、経営陣の新陳代謝を高めてマネジメント層を厚くすることが目的です。実際、現在の役員のうち3人は新卒入社で30代前半。こうした例は世界的にも珍しいと思います。

―定期的に入れ替わるとなると、役員の方も大変ですね。

曽山:ええ。ただし、役員から外れても降格ではなく、キャリアパスのひとつだと明文化しています。ですから、交代する役員には新規事業の設立や子会社の経営など、新たな挑戦をしてもらいます。「CA8」は、いわばサッカーのナショナルチームに近いですね。この監督のときには代表から外れても、次の監督になると選ばれることもある。その時に最適なチーム編成がなされるのです。

―御社は2003年から採用活動を新卒中心に切り替え、2013年度には約200名の採用を予定しています。具体的にどのような人材を求めているのですか。

曽山:素直な人です。IT業界は環境の変化が激しいので、「チャンスだ! やってみよう」と素直に思えることは大きな能力。素直に変化に対応できる人材かどうかは非常に大きなポイントですね。もうひとつ大切なのは、一緒に働きたいと思えるかどうか。「この仲間ならば、失敗しても守ってくれる」という信頼感が根底にあると、みんなが挑戦するようになる。そのため、面接官には「一緒に働きたいと思うかどうかだけを見てほしい」と伝えていますし、それを見極めるために何度も面接を重ねています。

―御社は子会社という形態で数多くの新しいベンチャー企業を生み出しています。中には新卒1年目の社員が内定者時代に経営者へと抜擢されていますが、どのように人材を育成しているのですか。

曽山:いち早く良質な経験を積ませ、新卒人材の「決断経験値」を高めています。これは自分で決断し、学びを得る経験の蓄積のことです。決断経験を積むには、まず小さなことから自分で決断していきます。それに慣れると決断の質を高め、経験が増えていくと、組織構築や営業戦略など、決断の内容が重くなります。こうして決断経験値を高めた人は、受身の人より圧倒的に強い。だから、若くして経営を担える人材に育つのです。

―リーダーに抜擢する人材の基準を教えてください。

曽山:まずは「意思表明」をしていること。しかし、やりたいと思っていても言葉にしなければ伝わらないので、意思表明がしやすい環境を整備しています。また、リーダーには大きな目標を設定する能力が求められます。私はこれを「目標力」と表現していますが、優秀なリーダーは目標設定が抜群にうまい。メンバーが自然と自走するような魅力的な目標を設定するのです。次に大事なのは、結果にこだわる愚直さ。迷わずに突き進める覚悟といいますか、愚直を続けられる能力を持っていることですね。最後は、健全なしたたかさ。いろいろな人に意見を聞くのはいいのですが、新しいサービスには正解がありません。だから強い意志を持って、自分なりの正解を創るしたたかさを持ってほしい。これらすべてを兼ね備えた人材は、リーダーに抜擢される可能性が高いでしょう。

―組織としては、どのように子会社をサポートしているのですか?

曽山:主なポイントは3つあります。1つめは、親会社の取締役が子会社のアドバイザーや役員に入るということ。経営の具体的なノウハウを伝授しやすいので、人材育成でプラスになっています。2つめがバックオフィス・管理部門のサポート。人事や経理、法律などの専門分野について、本社機能のメンバーが子会社のためにプロジェクトチームをつくるのです。彼らがバックオフィスの機能を担うので、子会社の経営者は事業に専念できます。3つめは、子会社同士で情報交換をできる場をつくること。当社はユーザー数や利益の規模に応じ、事業を「J1」から「J5」という5段階に格付けしています。これらの格付けごとに集まる月1回の会議は、同じ事業規模の会社同士が集まる場となります。互いの進捗具合や課題が共有でき、仲間意識も強くなる。また、毎月集まっていれば環境変化の波を多角的に察知できるので、問題が大きくならないのです。

―サイバーエージェントには、新しいサービスだけでなく、新しい経営者、新しいベンチャーを育てる仕組みがあるわけですね。最後に、今後の目標を教えてください。

曽山:「21世紀を代表する会社を創る」というビジョンを今後も貫きます。当社は人材が競争力。その能力を発揮できる風土をつくることで、ビジョンの実現に近づいていきたいですね。

曽山 哲人(そやま てつひと)プロフィール

1974年、神奈川県生まれ。1998年に上智大学文学部を卒業後、株式会社伊勢丹(現:株式会社三越伊勢丹ホールディングス)に入社。1999年に株式会社サイバーエージェントに入社。インターネット広告事業本部統括を経て、2005年に人事本部長に就任し、2008年に取締役就任。業界の垣根を越えて注目される人事制度や社内制度を導入し、採用・育成・活性化を行う。マーサージャパン「マーサーカレッジ・曽山塾」塾長、デジタルハリウッド大学院「組織開発実践」客員教授。著書に『サイバーエージェント流 成功するしかけ』(日本実業出版社)、『サイバーエージェント流 自己成長する意志表明の仕方』(プレジデント社)がある。

企業情報

設立 1998年3月
資本金 72億332万8,882円(2012年6月末現在)
売上高 1,195億7,800万円(2011年9月期実績)
従業員数 2,089名(2011年9月末時点)
事業内容 Ameba関連事業、インターネットメディア事業、インターネット広告事業、投資育成事業
URL http://www.cyberagent.co.jp/

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