累計経営者579人に取材、掲載社数329ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを紹介

バイオ業界の起業家インタビュー

株式会社サイフューズ 代表取締役 秋枝 静香

バイオ多くのパートナーと協力体制を築き再生医療の❝日本代表❞を目指す

株式会社サイフューズ 代表取締役 秋枝 静香

首相官邸が発行する、日本政府の広報誌『We are Tomodachi』。その2018年春号に、サイフューズの基盤技術や研究開発などについての記事❝Cellular 3D Printer Brings New Hope❞が掲載されている。また、科学雑誌『Newton』にも開発品が取り上げられるなど、いま、再生医療分野で注目されているサイフューズ。同社は、生きている細胞を任意の形に造形し、立体的な組織を作製する独自のプラットフォーム技術を確立。さらに、その独自技術を搭載した「細胞版の3Dプリンタ」を開発し、自動的に立体的な組織を作製できる装置を実用化、現在は、再生医療等製品の開発を行っている。日本発のテクノロジーを生み出し、政府も注目するバイオベンチャーのビジョンについて、代表の秋枝氏に聞いた。

「細胞100%」で組織・臓器を作製

―政府のメディアに取り上げられるほど、大きな期待を集めていますね。その理由はなんでしょう。

 再生医療に対する期待の大きさからでしょうか。いま、日本の再生医療は世界からも注目され、国をあげて取り組みが加速しています。そのなかで、サイフューズも日本の再生医療業界の一端を担うべく、世界でも新しい再生医療製品の開発に取り組み、注目されることが多くなってきました。

 日本の再生医療を世界に向けて発信し、病気で苦しんでいらっしゃる患者さまのために少しでもお役に立てればと考えています。再生医療業界は、まだ市場が未成熟な領域でもあります。そこへいま、さまざまな得意分野をもつプレーヤーが集まって、その成果を患者さまにお届けする体制をつくる、大きな動きが起きようとしているのです。サイフューズもまた、その動きの一員。大きな役割を果たすべく、独自の技術開発を進めています。

―どんな技術なのですか。詳しく教えてください。

 「細胞だけで立体的な組織・臓器をつくる」という、これまでにない新しい技術です。具体的には、身体を構成している細胞だけで、細胞の団子(細胞塊=スフェロイド)をつくり、「Kenzan(剣山)」と呼んでいる、華道の剣山のような針上に細胞の団子を積み立て、細胞同士の凝集力・融合力を利用しながら、立体的な組織・臓器を構築する技術です。人工的な材料を用いずに、細胞だけでさまざまな形状の組織・臓器を作製する点で、人にやさしい製品開発を行っています。

 国や企業さまからのサポートを受け、この基盤技術を自動化させた細胞版の3Dプリンタ「Regenova」を開発することに成功しています。この3Dプリンタは澁谷工業との共同開発品で、現在までに国内外に複数台納品し、そこから新たなシーズ、つまり再生医療製品の芽が出てきています。

―画期的ですね。どんな経緯で生まれたのでしょう。

 サイフューズのプラットフォーム技術は、創業者でもある中山功一教授(現:佐賀大学医学部臓器再生医工学講座教授)のアイデアでスタートしました。私自身は九州大学整形外科時代に、中山先生の研究のお手伝いをしたことをきっかけに、この世界に入ることになりました。当時はプリンタも剣山もすべて手づくり、すべてが試行錯誤の毎日でしたが、研究を進めるにつれ、日に日にサポートしてくださる研究機関や企業の方が増え、現在にいたっています。中山先生の熱い想いがあってこその開発であったと思います。

想いを共有する仲間と協力者たち

―創業から8年、現在のステージまで前進し続けることができた要因を教えてください。

 「患者さまのために」。昔も今もその想いは、いっさいブレていません。これは、サイフューズのメンバー、つまり仲間たちの原動力にもなっていると思います。また、日を重ねるにつれ、「応援してくださっている方々のために」。サイフューズを支えてくださっている多くの方々に少しでも早く恩返しをしたい、その想いを形に変えていけるようチーム一丸となって取り組んでいます。

 「サイフューズ(Cyfuse)」という社名は、「細胞」を意味する❝cyto❞と「融合」を意味する❝fusion❞を由来としています。細胞による再生を象徴するとともに、バイオロジーとエンジニアリングという異なる技術を融合した画期的な技術を活用することにより、人や社会に役立つ新たな世界・価値を生み出していきたいという想いを込めています。

 バイオロジーやサイエンスだけではなく、ロボティクスやエンジニアリング、さらにはバックオフィスのメンバーまで、それぞれ専門領域で深い知見をもつ仲間たちが集まり、融合して、サイフューズの企業文化が形成されてきました。異なる専門領域をもつ仲間たちが一堂に集結したのは、「患者さまのために」という想いを共有しているから。その想いを原動力に、一歩一歩、日々の研究開発を進めてきたからこそ、いまがあるのです。

 仲間たちだけでなく、同じ想いを共有する社外のサポーターの方々の存在もまた、大変に大きいものがありました。これまで行政機関や研究機関、病院関係者、多くの企業さまから、たくさんのサポートをいただいています。みなさまの力を凝集させて、新しい世界を切り拓き、明るい未来を築いていきたい。そんな想いで一丸となって実用化に向けて取り組んでいます。

―今後、サイフューズの技術の成果が、多くの治療現場に届くようになるまでに、必要なものはなんでしょう。

 多種多様な領域で、多くのパートナーの協力を得ることです。サイフューズは細胞から組織・臓器を「つくる」技術の開発を担う。それを製品として安定的に製造し治療現場までお届けするためには多くの企業さまの協力が必須です。たとえば、細胞を積み重ねる剣山ひとつにしても、針メーカーから加工メーカー、滅菌メーカーまで多岐にわたる分野の企業さまの協力が必要です。また、最終的に製品を患者さまにお届けするには、医療メーカーさまはもちろん、輸送会社さまの力も必要です。よりよい製品を、よりスムーズに患者さまにお届けすることのできる、信頼できるチーム体制の構築が、なによりも重要になってきます。

ケガや病気で悩む多くの方々に新たな希望を

―そうしたパートナーが集結して、再生医療分野を担う“日本代表”になるわけですね。最後に、サイフューズの技術が実用化された未来、世の中はどう変わっているのか、聞かせてください。

 病気やケガで苦しんでいる患者さまに、新たな希望となるような治療法の選択肢を提供できればと考えています。現在、病気やケガで苦しんでいらっしゃる患者さまは、医療の進歩によって、外科手術・対処療法・薬剤の投与などの選択肢が提供されています。そこへ、「細胞100%」で作製した組織を移植し、組織そのものを再生させるという、これまでにない新しい再生医療等製品を、新たな治療の選択肢として提供できるようチーム一丸となって開発に取り組んでいます。

 また、日本発の独自技術を世界に展開することで、日本経済の発展はもとより、世界の医療の発展にも貢献する。再生医療が実現した未来で、患者さまはもちろん、サイフューズのメンバー、サイフューズにかかわってくださっているすべての方々が幸せな世界を歩んでいく。「患者さまのために」。社内外、形は問わず、この想いに共感し、一緒に行動してくださるチームメンバーとともに、そんな未来を切り拓いていきたいです。

秋枝 静香(あきえだ しずか)プロフィール

九州大学整形外科において、三次元細胞積層技術を用いた軟骨再生の研究に従事したことをきっかけに、株式会社サイフューズの立ち上げから従事。創業から研究開発部門最高責任者として、同社がかかわる社内外のすべての研究開発プロジェクトを横断的に統括。2016年からは研究開発のトップの立場から同社の会社経営に取り組む。

企業情報

設立 2010年8月
事業内容 再生医療等製品の研究・開発・製造・販売
URL https://www.cyfusebio.com/

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