INTERVIEW 業界別起業家インタビュー
「FinTech」「AI」…。IT流行語を使う営業に注意せよ
本当に動くシステムをつくってくれる、開発会社の選び方を教えます
フィグニー株式会社 代表取締役 里見 恵介
Sponsored フィグニー株式会社
実績のあるシステム開発会社に頼んだのに、納期も予算もオーバー。ようやくカットオーバーしたが、まともに稼働しない。やっと動いたと思いきや、システムをつくった目的はまったく達成されていない──。多くの中小・ベンチャー企業の経営者がそんな目にあい、なげいている。そんな「動かないシステム」の開発現場にさっそうとあらわれ、正常化すべく手を打ち、発注者の目的を達成するコンサルティングを展開しているITベンチャーがフィグニーだ。AIやAR/VRを含めた最先端技術に詳しいエンジニアでもある同社代表の里見氏に、失敗しないシステム開発の発注方法について聞いた。
ニッポンのエンジニアは、知識も会話力も不足している
―システム開発を発注した中小・ベンチャー企業の経営者から「品質や納期・予算の面で満足がいかない」という不満を聞くことが多々あります。なにが原因なのでしょう。
3つあります。第一に、顧客の業務内容についての知識が不足しているエンジニアが多いこと。たとえば保険会社のシステムをつくるとき。生命保険なのか、年金保険なのか、損害保険なのか。だれを対象にしていて、どんなタイミングで加入するものなのか。そして、どんなときに保険金がおりて、解約するときの条件は…などなど。その会社が提供している保険のことを詳しく知らなければ、顧客が満足できるシステムはつくれないですよね。プログラミングのプロだからといって、よいシステムがつくれるわけではないのです。
―ちょっと待ってください。たとえば法律の専門家である弁護士は、さまざまな事件をあつかいます。でも、法律以外の専門知識が求められる場合でも、一定の成果を期待できますよね。なぜ、プログラミングの専門家であるエンジニアには、それができないのですか。
知識量がまったく違うからです。弁護士には資格が必要ですよね。資格取得のために大学時代からものすごく勉強します。さまざまな事件の判例をたくさん読み込むことで、事件の背景にある各分野の専門知識を学ぶわけです。だから、さまざまな事件に対応できる。
一方、エンジニアは資格不要。たいていの場合、IT関連の会社に入社してからプログラミングの勉強を始めるので、プログラミング以外の専門知識を学ぶ余裕はない。いわば「六法全書をひと通り学んだだけ」。とても事件の弁護を依頼できないですよね。
一方、エンジニアは資格不要。たいていの場合、IT関連の会社に入社してからプログラミングの勉強を始めるので、プログラミング以外の専門知識を学ぶ余裕はない。いわば「六法全書をひと通り学んだだけ」。とても事件の弁護を依頼できないですよね。
―なるほど。第二の原因を教えてください。
コミュニケーション能力が不足しているエンジニアが多いということです。知識が不足しているなら、お客さまにヒアリングして業務のことを学ぶしかないはずですが、それをやれるスキルがない。
また、お客さまとコミュニケーションを密にとっていれば、お客さまがシステムによってどんな問題を解決しようとしているのか、目的を理解できます。その目的達成をめざして開発できるので、できあがったシステムは、顧客満足が得られる可能性が高くなるはず。でも、現実にはそれと正反対のことが起きているのです。
また、お客さまとコミュニケーションを密にとっていれば、お客さまがシステムによってどんな問題を解決しようとしているのか、目的を理解できます。その目的達成をめざして開発できるので、できあがったシステムは、顧客満足が得られる可能性が高くなるはず。でも、現実にはそれと正反対のことが起きているのです。
現場のエンジニアの暴走を、止められない会社が多い
―確かに、人と話すのを苦手にしているエンジニアが多い印象はありますね。では、第三の原因について解説をお願いします。
多重請負です。発注者は実績のあるシステム開発会社に依頼したつもりでも、2次請け3次請けと仕事が丸投げされていって、ひどいときには、「最前線で手を動かしているエンジニアは7次請け」などということも。こうなると伝言ゲームの世界ですから、顧客の真意が伝わるはずがありません。これが大きな問題点です。
―とはいえ、プロジェクトマネジャーがいて全体を管理しているのだから、大きな問題は生じないのではありませんか。
いいえ。システム全体のことを把握しつつ、しかも最前線のエンジニアがなにをしているか目を配り、整合させられる優秀なプロジェクトマネジャーは、ほとんどいません。具体例でお話ししましょう。とある大手システムインテグレーター様から「建設現場の施工管理システムを開発会社に発注したのだが、まともに動かないのでつくり直してほしい」と依頼されたことがあります。
ソースコードを見て、「ああ、最前線のエンジニアがムチャをしたな」ということが、すぐわかりました。システムに適合していない、最新のテクノロジーをムリヤリ組み込んだため、ガタガタになってしまっていたんです。そこでゼロからプログラムをつくり直し、普通に動くようにしました。
ソースコードを見て、「ああ、最前線のエンジニアがムチャをしたな」ということが、すぐわかりました。システムに適合していない、最新のテクノロジーをムリヤリ組み込んだため、ガタガタになってしまっていたんです。そこでゼロからプログラムをつくり直し、普通に動くようにしました。
―なぜ、そんな暴走が起きるのですか。
エンジニアはつねに新しい技術を使おうとするものだからです。そうしないと技術の進歩についていけなくなるから。挑戦するのは大切なことですが、そのシステムに適合していないのに使おうとすると機能不全を起こすのです。
個々のエンジニアが最前線でなにをやっているかは、マネジメントができていないチームではわからない。そういう失敗例が非常に多いのです。
個々のエンジニアが最前線でなにをやっているかは、マネジメントができていないチームではわからない。そういう失敗例が非常に多いのです。
AIを使わなくても、未来予測システムはできる
―なるほど、よくわかりました。では、システム開発で失敗しないために、中小・ベンチャー企業の経営者は、どういう視点で開発会社を選べばいいのでしょうか。
まず、その会社に実際にプログラムをつくる人間がいるかどうかを確かめてください。下請けに丸投げしてしまうような会社は選ぶべきではありません。それから、システム会社が自分たちの要望をきちんと理解しているかを確認することも重要です。たとえばマーケティングを目的とするシステムならば、新規のお客さんに来てほしいのか、既存のユーザーとのエンゲージを強めたいのか。自分たちが解決したいことを理解して、課題感を共有してくれる開発会社なら、間違いはないと思います。
―そういうシステム開発会社かどうか、どうやって見わけたらいいのでしょう。選ぶ基準を教えてください。
経営者のところにやってきた担当者が一般的なIT用語しか使わなかったら、警戒したほうがいいですね。たとえば、「支払いサイトをつくりたい」と相談したら「FinTechですね」とか、「精度の高い未来予測をしたい」といったら「AIですね」といった具合。目的からするとそぐわない、割高なシステムを売りつけられてしまうリスクがあります。
―そうなんですね。むしろ、難しいITの専門用語を使う相手のほうを敬遠するケースが多いと思います。
難しいIT用語を、きちんと理解できるように説明してくれる相手ならば信頼できます。「一般的なIT用語を使う相手を警戒するべきだ」というのは、必要もないのに高度なセキュリティーシステムを入れたり、AIシステムを入れたりして、割高なシステムになる可能性があるからです。
フィグニーの場合は、エンジニア畑出身の経営者である私自身が、顧客企業の経営者と直接、話してシステム開発の要件をつめていきます。経営上、なにが課題となっていて、どんな目的を達成するためにシステム開発を考えているのか。そうした経営的な視点と、最先端の技術トレンドも含めたエンジニアリングの視点の両方から、アドバイスできます。「AIシステムをつくりたい」と相談に来た経営者に対して「ちょっと待ってください。AIは不要で、もっと安くできますよ」と提案したケースもあります。
フィグニーの場合は、エンジニア畑出身の経営者である私自身が、顧客企業の経営者と直接、話してシステム開発の要件をつめていきます。経営上、なにが課題となっていて、どんな目的を達成するためにシステム開発を考えているのか。そうした経営的な視点と、最先端の技術トレンドも含めたエンジニアリングの視点の両方から、アドバイスできます。「AIシステムをつくりたい」と相談に来た経営者に対して「ちょっと待ってください。AIは不要で、もっと安くできますよ」と提案したケースもあります。
―フィグニーにとっては、売上が減る提案なのではありませんか。
そうかもしれませんが、お客さまの目的にそぐわないシステムをつくったところで、なんの実績にもなりません。過去のデータの積み重ねを分析し、未来をロジカルに予測するのは、AIじゃなくてもできる。これに対して、データとの因果関係が見えづらい事象に対して、人間のような推論を行うのがAIの強みです。「そこまで高度なシステムが必要ですか」ということです。
中小企業のビジネスを、VR/ARが変えていく
―なるほど、だから「AIですね!」といってくる営業を警戒するべきなんですね。では、「ウチも最先端のテクノロジーを取り入れなければ…」と、やっきになる必要はないわけですね。
はい。ただし、「その最先端テクノロジーが普及してきたとき、自社のビジネスはどう変わっていくか」をシミュレーションしておくことは必要です。たとえば、VR、ARなどの「xR」の技術。いまはコントローラ付きでPC不要のヘッドセットは5万円を下りませんが、いずれそのスペックでも3万円、2万円の時代が来るでしょう。そうなったら、一気に普及する。中小企業でも普通に使う時代になるはずです。
たとえばアパレルショップの衣類の試着。徐々にARを使って自宅で試着できるアプリが登場してきています。今後、これがさらに進化すれば、ARアプリを使って自分なりにカスタマイズし、世界にひとつの服を注文できるようになるでしょう。お店側は在庫をもつ必要がなくなり、注文が来てから裁断をはじめるようになる。実店舗の意味、製造や流通の仕組み、私たちが当たり前と思っていることが、大きく変わる。そういう時代が、目の前に来ていますよ。
たとえばアパレルショップの衣類の試着。徐々にARを使って自宅で試着できるアプリが登場してきています。今後、これがさらに進化すれば、ARアプリを使って自分なりにカスタマイズし、世界にひとつの服を注文できるようになるでしょう。お店側は在庫をもつ必要がなくなり、注文が来てから裁断をはじめるようになる。実店舗の意味、製造や流通の仕組み、私たちが当たり前と思っていることが、大きく変わる。そういう時代が、目の前に来ていますよ。
PROFILE
プロフィール
里見 恵介(さとみ けいすけ)プロフィール
1982年、静岡県生まれ。同志社大学経済学部中退、地元の情報専門学校を主席で卒業。在学中、経済産業省主催のプログラミングコンテストで最優秀賞受賞。大手からベンチャーまで、IT企業のエンジニアとして、またフリーランスとしてインフラ、アプリケーション、フロント、ネットワークなど、さまざまな開発プロジェクトに携わる。2017年にフィグニー・デジタルオーシャン株式会社(現:フィグニー株式会社)を設立。中堅・中小・ベンチャー企業のシステム開発を幅広く手がけるほか、VRアプリケーション制作など最先端の技術開発で注目を集めている。
企業情報
設立 | 2017年11月 |
---|---|
資本金 | 1,000万円 |
売上高 | 1億円(2020年11月現在) |
従業員数 | 27名(2020年11月現在) |
事業内容 | Webアプリケーション開発、モバイルアプリケーション開発、3DCG制作、xRアプリケーション開発、IT/技術コンサルティング、子ども向けプログラミング教室 |
URL | https://fignny.co.jp/ |
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