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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社ガルニエパートナーズ 代表取締役 川瀬 賢一

「認知行動療法」を基にしたカリキュラムで中小・ベンチャー企業の人材開発を支援

“普通の人”が目標達成できる、独自開発の人材育成法を提供

株式会社ガルニエパートナーズ 代表取締役 川瀬 賢一

「なかなか社員が育たない」と悩む、中小・ベンチャー企業の経営者は多い。そうしたなか、名古屋に拠点を置くITベンチャーのガルニエパートナーズが、その経営課題を解決すべく、人材育成支援の事業に新しく取り組むという。SESによるデジタル支援事業をメインに行ってきた同社が、なぜ中小・ベンチャー企業の人材育成を支援するのか。代表の川瀬氏に、支援内容の詳細も含めて聞いた。

目標を達成できる人材は、そもそも限られている

―SES事業にくわえて、新たに人材育成の支援事業に取り組むそうですね。

 はい。おもに、中小・ベンチャー企業の比較的若手の社員を対象とした、独自の人材育成カリキュラムを提供していきます。特徴としては、“普通の人”に目標達成スキルを身につけてもらうことを目的としている点です。育成や人事評価の一環として、社員の目標を設定・管理している企業は多いと思います。しかし私は、「能力が高いごく一部の人を除いた多くの人は、そもそも“目標を達成するためのスキル”を持っていないのではないか」と考えているのです。

―どういうことでしょう。

 アメリカの統計学研究所、STATISTICS BRAINの研究によると、年始に「今年の目標」を掲げた人のうち、年内に達成できる人は、わずか8%という結果が出ています。また、私の知人の人材・組織開発コンサルタントは、「私のクライアント先の社員が仕事の目標を達成する割合は、全体の3~5%」と言っていました。私はこれらを根拠に「一定以上の努力を必要とする目標を達成できる人は10%以内に限られており、残りの90%以上の人はそうした目標を達成するためのスキルが足りていない」と考えました。そのスキルを得るために提供するのが、当社の人材育成カリキュラムなのです。

―カリキュラムの詳細を教えてください。

 最短で1年半、最長で3年をかけて「基本プログラム」「中級プログラム」「パワーアッププログラム」の3段階に取り組んでもらいます。簡潔に説明すると、たとえば営業職の場合、基本プログラムでの目標を、対象者と上長が相談して「テレアポ1日50件」と設定したとします。するとやはり、達成できる人とできない人が出てきます。達成できた人は、次のステップに進みます。一方、達成できなかった人に対しては、上長が「なぜできなかったのか」を問いただすのではなく、「今の自分はどんなことであれば達成できるのか」を対象者自身に考えてもらいます。「メールでアポの依頼を1日50件送ります」や、「DMを1日50件送ります」といった具合ですね。それを、上長が認めたうえで、再度挑戦を促す。「基本プログラム」では、まず自分自身ができることをしっかりやり切ってもらうのです。

10年で12名中9名の人材が、カリキュラムで成長できた

―まずは、できることをやり切るのが最初のステップだと。

 そのとおりです。「達成スキルの有無」を「できる・できない」で評価されてしまうと、どうしても自信を失い、脱落する人が出てきます。このカリキュラムでは、達成スキルの有無を見極めたうえで、まずできることを設定し、自己効力感を上げていくのです。できることが増えれば「仕事って楽しいな」と対象者のモチベーションがあがり、挑戦することにも前向きになっていきます。そして、対象の人材を成長させたうえで、「中級プログラム」では会社が求める目標をほぼ100%、「パワーアッププログラム」では100%以上の目標値を達成できるように育成していくのです。こうした一連のカリキュラムを、当社が開発したワークシートを使って取り組んでもらいます。そのうえで、私自身が定期的に上長や経営陣をフォローし、部下に指導するためのアドバイスを定期的に行います。これが、カリキュラムの概観です。

―なぜ、このような人材育成サービスを提供しようと考えたのですか。

 私自身の約20年前の体験が基になっています。当時、会社員だった私は、まさに“目標を達成するスキルを持っていない人材"だったにもかかわらず、新規事業を一人で任されることになったのです。何から手をつけていいかもわからず途方に暮れた私は、「認知行動療法」のカウンセリングを受けました。結果、その新規事業を年間売上1億円の事業に成長させることができたのです。

 その後、10年かけて営業職やエンジニア職の方々に私が受けたカウンセリング法をアレンジした人材育成カリキュラムを実施してみました。すると、12名中9名が目標を達成し、飛躍的に成長したのです。こうした成功体験を受け、「ゆくゆくはこのカリキュラムをアプリ化して販売しよう」と考えていました。しかし、クライアントである中小・ベンチャー企業の経営者の話を日々聞いていると、その大半が「人材が育たない」ことに悩んでいたのです。そのため、「この課題を解決するサービスが早急に必要だ」と判断し、新事業立ち上げに踏み切ったのです。

達成感を得られてこそ、人は前向きになり成長する

―人材育成に悩む、中小・ベンチャー企業の経営者にメッセージをお願いします。

 人材が育たないのは、その人が「できない」のではなく、目標を達成するスキルを持っていない可能性が高いです。そうした人に、達成スキルがある人と同じ目標を設定してそれぞれを細かく進捗管理をしても、どうしても脱落してしまいます。そうすると、達成感を得られない人材はどんどん仕事が面白くなくなり、「自分には向いていない」と悩んだ結果、辞めてしまう。私は、こうしたケースが多いのではないかと考えているのです。人は達成感を得られてこそ、仕事に前向きになり成長すると思います。人材の成長に一番必要なのは、「上長の管理」ではなく「スキル獲得のためのプロセスと心理的安全性(※)のある場」なのです。当社の提供する人材育成カリキュラムは、どんな職種にも対応可能ですので、まずは一度相談してください。
※心理的安全性 : 組織のなかで自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のこと
PROFILE プロフィール
川瀬 賢一(かわせ けんいち)プロフィール
1967年、愛知県生まれ。専門学校を卒業後、生命保険会社に入社。マネージャーとして、個人と中小企業向けに生命保険商品を提案する業務に従事。その後、IT企業の営業やフリーランスのコンサルタント業などを経て、2022年12月にSES事業によるデジタル支援を手がける株式会社イイエンジニアの設立に参画し、執行役員に就任。2024年、代表取締役に就任する。同年、株式会社ガルニエパートナーズに社名変更。
企業情報
設立 2022年12月
資本金 500万円
事業内容 経営者に特化したコンサルティング事業、デジタルパートナー事業、オーダーデベロップメント事業
URL https://garnier-p.com/
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