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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

エン・ジャパン株式会社 代表取締役会長 越智 通勝

利益追求だけではなく、社会正義性も追求する

エン・ジャパン株式会社 代表取締役会長 越智 通勝

※下記はベンチャー通信26号(2007年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―では、“失敗するベンチャー経営者の条件”とは。

越智:先ほど言ったマスコミなどに出すぎる経営者。あと遊び好きや、太っ腹な経営者もいけない。成功する経営者は、みんなすごく神経質です。とても繊細。でも、大胆に動く時は非常に大胆に動く。繊細さと大胆さが同居している経営者が優秀な経営者だと思います。

―ライブドア事件について、どう思いますか?

越智:堀江さんには、今回の件について最終的に自分から責任をとって欲しかったですね。いろいろと主張したいこともあると思いますが、それもひっくるめて最後は経営者の責任なんです。そういう責任のとり方をしてもらいたかった。まだ堀江さんも若いので再起できると思います。でも、堀江さんがよく言っていた言葉で、「お金さえあれば何でも解決する」というのは大いに間違った考え方だと思います。こういった一連の発言で若い人に悪影響を及ぼしていた面もあると思います。 私が堀江さんに初めて会った時は、まだオン・ザ・エッヂ(その後、ライブドアに社名変更)の頃でした。当社の担当者から渋谷のビットバレーですごい経営者がいるって言われて会いました。でも、その帰り道、私はその担当者に言ったんです。「彼は厳しいと思うよ」って。

―なぜ厳しいと思ったんですか。

越智:本業であるはずのWeb制作について、堀江さんはほとんど話さなかったんです。案の定、堀江さんはその後、ベンチャー経営者というより、錬金術師としての道を歩んでしまいました。でも、彼もまだ若いし可能性がある。もう一度活躍して、再会できる日を楽しみにしていますよ。

―就職・転職活動をする時に、どのようにしてベンチャー企業を選べばいいんでしょうか。見るべきポイントなどを教えてください。

越智:ベンチャーなら、セミナーに社長自らが出て来ないとダメですね。そして社長が本業について熱っぽく語っているかどうかを見極める。また会社訪問した時の会社の雰囲気も大事です。会社の勢いなどを直感で感じられるかどうか。また社内ですれ違う社員の人が挨拶をしてくれるかどうか。でも結局、最後は入社してみないと分からないでしょうね。また、たとえそのベンチャーがうまくいかなくても、ベンチャーで働くこと自体はいいと思います。特に将来起業を目指している人ならベンチャーはいい環境だと思います。会社が成長するところを当事者として見られますし、その成長プロセスを一緒に歩むことができます。それにベンチャーは教育システムが整っていない場合が多いので、自分で仕事を覚えていかなければいけない。だから自然と主体性も身に付く。そして社員数が少ないので、多少その人に力が不足していても重要な仕事を若いうちから任せてもらえる。これは非常にラッキーなことです。 若いうちに苦労をするべきです。あまり若いうちから成功しても、その成功は長くは続きませんから。若いうちに厳しい環境で鍛えられた方が転職をする時も有利です。いざと言う時、できるだけ多くの業界で活躍できるような力を付けておくべきなんです。若い時こそ、きつくて厳しいベンチャーに飛び込むのはいいことだと思いますね。

―最後に御社の今後のビジョンを教えてください。

越智:社会正義性と独自性を持った会社として成長し続けたいと思っています。当社は単なるお金儲けではなく、その上位概念である社会正義性を掲げてビジネスをしています。お金儲けをすることは社会貢献です。そのもう一つ上にあるのが社会正義なんです。
 私は売上規模や社員規模などをモチベーションに会社を成長させてきたのではなく、純粋にこの社会正義を考えて経営してきました。たとえば「[en]本気のアルバイト」も、日本にフリーターが増えていることを憂慮して立ち上げたサイトです。このサイトでは正社員登用ありのアルバイト情報しか載せていません。これは儲けようと思って始めたビジネスではないんです。こうやって社会貢献の上位にある社会正義を信じてビジネスをしている当社が企業として成立している。しかも収益も上がって伸びている。そこを若い人たちに知ってもらって、起業を目指す若い人たちの模範となるような、そして憧れとなるような会社になりたいと思っています。今後はこの社会正義性を人材業界以外にも広げていき、さらには世界にも発信していけたらと願っています。
PROFILE プロフィール
越智 通勝(おち みちかつ)プロフィール
1951年、兵庫県生まれ。大学卒業後、アパレルメーカーを経て、大手教育コンサルティング会社に転職。大企業に対する組織開発・教育研修の企画・提案業務に従事。83年に日本ブレーンセンターを設立。「採用・教育・評価」をひとつの流れとして統合させたソリューションを企業に提供し、実績を積み上げる。95年、求人求職サイト[en]の運営を開始。2000年に同事業部をエン・ジャパン株式会社として独立。2001年6月、設立からわずか1年6ヶ月でのスピード上場を果たす。2004年6月、エン・ジャパンと日本ブレーンセンターが統合。
企業情報
設立 2000年(平成12年)1月
資本金 9億3,938万円(2008年3月末現在)
売上高 226億8,613万円(2007年12月期)
従業員数 1,102名(2008年3月末現在)
事業内容 インターネットを活用した求人求職情報サービス、人材採用から社員教育、人事評価制度までのコンサルティング
URL http://corp.en-japan.com/
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