INTERVIEW 業界別起業家インタビュー
ITベンチャー2社をIPOに導いた稀代の戦略家
十数億円の借金も起業への情熱を消せはしなかった
KLab株式会社 代表取締役社長CEO 真田 哲弥
※下記はベンチャー通信67号(2017年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
「彼らにできるなら」がバネに
―8年ですか。そんなに苦しんだなら「もう起業はごめんだ」と思いませんでしたか。
いいえ、まったく。起業への情熱は消えませんでした。その理由は2つあります。
ひとつは、たもとをわかった仲間たちに刺激を受けたこと。私が借金を背負って苦しんでいるとき、経営破たんした会社の中心メンバーが人材派遣会社を設立し、のちに上場を果たしました。また、学生時代に経営していた会社の元役員もITベンチャーを興し、急成長を続けていました。そういった昔の盟友や部下たちの華々しい活躍が再浮上への熱望をかきたてたのです。「このまま底辺で終わりたくない」「彼らにできるなら、オレにもできるはずだ」って。
ひとつは、たもとをわかった仲間たちに刺激を受けたこと。私が借金を背負って苦しんでいるとき、経営破たんした会社の中心メンバーが人材派遣会社を設立し、のちに上場を果たしました。また、学生時代に経営していた会社の元役員もITベンチャーを興し、急成長を続けていました。そういった昔の盟友や部下たちの華々しい活躍が再浮上への熱望をかきたてたのです。「このまま底辺で終わりたくない」「彼らにできるなら、オレにもできるはずだ」って。
―もうひとつの理由はなんですか。
インターネットの登場です。「なんだかわからないけど、これで世の中が変わるぞ」と。そんな予感がしました。あのタイミングでインターネットのブームが来た、っていうのが運命的でした。
33歳にして人生初の就職
―それでもういちど、起業のバッターボックスに立つことにしたわけですね。まず、どんなことから始めましたか。
就職しました(笑)。ネット分野で起業するつもりだったので、インターネット技術を学ぼうとブラウザー開発のベンチャー企業に入社したんです。毎日深夜まで勉強し、わからないことは先輩エンジニアに質問攻めした。その努力のかいあって、1年目で『i-mode』プロジェクトを主導する立場になりました。「これで戦える」と思った。
いまの若い人でも、『i-mode』は知っているかな。ガラケーでメール送受信やWebサイト閲覧をできるようにしたNTTドコモのサービスです。
いまの若い人でも、『i-mode』は知っているかな。ガラケーでメール送受信やWebサイト閲覧をできるようにしたNTTドコモのサービスです。
―1998年、『i-mode』コンテンツを提供するサイバードの設立に参画しました。同社は設立から上場まで、当時の最短記録を更新することになります。
はい。「勝てる状況までひたすら待ち、勝てるタイミングで一気に勝負する」という戦略が功を奏したからです。若かったころの私は、待つこともできなかったし、勝負どころで一気に攻めることもしなかった。その反省を踏まえ、サイバードでは「『i-mode』のサービス加入者数が100万人を突破する」タイミングを勝負どきと決めた。それまでは従業員6名という最少ユニットで運営。ひたすら待ち続けました。
1999年8月に“そのとき”が到来。ただちに人材採用のアクセルを踏み、半年後には従業員数100名を超えるまでに。そして新規コンテンツを矢継ぎ早にリリースしました。結果、業績は右肩上がりに急伸し、IPOを実現できたんです。
1999年8月に“そのとき”が到来。ただちに人材採用のアクセルを踏み、半年後には従業員数100名を超えるまでに。そして新規コンテンツを矢継ぎ早にリリースしました。結果、業績は右肩上がりに急伸し、IPOを実現できたんです。
―しかし、真田さんがいま代表を務めるKLabは、設立から上場まで11年もかかっています。なにが違ったのでしょう。
時代を先取りしすぎたんです。「コンピュータの主流はPCからモバイルに変わる」と予測して、モバイル向け専門のソフトウェア開発会社を立ち上げたんですが、アテが外れてしまった。以前の私なら、それでもむりやり当初の事業プランを押し通そうとしたかもしれません。でも、予想が外れたら、柔軟に計画を変更することが成功への近道です。
そこでサーバサイドの受託開発に事業を転換、着実な成長軌道に乗せました。そして2009年にソーシャルゲームの大ブームが到来。そこでゲーム事業に特化した子会社を設立し、開発に注力した。これによって飛躍的な成長のきっかけをつかむことができました。
そこでサーバサイドの受託開発に事業を転換、着実な成長軌道に乗せました。そして2009年にソーシャルゲームの大ブームが到来。そこでゲーム事業に特化した子会社を設立し、開発に注力した。これによって飛躍的な成長のきっかけをつかむことができました。
ベンチャーで経営を学べ
―IPOまでの期間に長短はありますが、2社とも失敗経験を踏まえた機動的な経営戦略によって上場にいたったわけですね。最後に、「真田さんのような成功者になりたい」という学生にメッセージをお願いします。
若い人にどんどん起業してほしい。ただ、私のように学生でいきなり起業すると、失敗しながら学ぶしかないので、かなりタフでないと折れてしまう。まずベンチャー企業への就職やインターンなどで起業を疑似体験することをオススメします。
KLabでは、私の「カバンもち」としてインターンを若干名、募集。私とほかの社長との対談記事を書く仕事です。ぜひ、当社Webサイトから応募してほしい。
KLabでは、私の「カバンもち」としてインターンを若干名、募集。私とほかの社長との対談記事を書く仕事です。ぜひ、当社Webサイトから応募してほしい。
PROFILE
プロフィール
真田 哲弥(さなだ てつや)プロフィール
1964年、大阪府生まれ。大学在学中にさまざまな企画やビジネスを手がけ、19歳で起業。その後24歳で2度目の起業、短期で急成長を遂げるも、事実上の倒産という成功と挫折を経験。1997年に株式会社アクセス(現:株式会社ACCESS)に入社。33歳で初のサラリーマンを経験し、インターネット技術を学ぶ。1998年に堀主知ロバート氏らとともに株式会社サイバードを設立し、取締役副社長兼CTOに就任。2000年、ジャスダックへ上場。同年に株式会社ケイ・ラボラトリー(現:KLab株式会社)を設立し、代表取締役社長CEOに就任。モバイルゲーム分野への事業転換に成功し、2011年に東証マザーズへ上場。翌年、東証1部へ市場変更。数々のヒットゲームタイトルを生み出す。現在はモバイルオンラインゲームの企画、開発、運営を主力事業とし、世界各国へ提供。ゲーム事業にとどまらず、新規事業開拓にも積極的に取り組んでいる。
企業情報
設立 | 2000年8月 |
---|---|
資本金 | 45億7,232万円 |
売上高 | 209億1,300万円(2015年12月期) |
従業員数 | 527名(2016年12月末現在) |
事業内容 | ゲーム事業、その他事業 |
URL | http://www.klab.com/jp/ |
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