INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

BtoBの営業支援ベンチャーが仕掛ける現場起点の戦略とは
「キーワード&ストーリー」を設計し、営業が成果を出しやすい支援を提供
Life with Beach株式会社 代表取締役 武井 明
Sponsored Life with Beach株式会社
広告や通信ネットワーク、人材などBtoBの無形商材を扱う大手上場企業やメガベンチャー企業などに対し、営業支援サービスを手がけているLife with Beach。「戦略」と「実行」の両軸での支援により取引先の数を拡大し、今期の売上は前期の200%を見込んでいるという。同社代表の武井氏は、「戦略から入るのではなく、まずは商談現場で発生する会話やフレーズなどから営業やマーケティングでプッシュすべき『キーワード&ストーリー』を設計することが重要だ」と語る。「キーワード&ストーリー」とはいったいどのようなものだろうか。同氏に、事業内容や今後のビジョンなどを含めて聞いた。
現場起点で戦略から実行まで、トータルで支援
―事業内容を教えてください。
BtoB事業を手がける企業に対して、営業の戦略立案から実行までを支援しています。ターゲットの選定からプロモーションの企画立案、リード獲得・ナーチャリング施策(※)、営業資料やトークスクリプトの作成、営業の一員としてのフィールドセールスの実行など、トータルサービスをワンストップで提供しています。実際に取引している顧客は、インターネット広告や通信ネットワーク、人材といった無形商材を扱っている企業で、大手上場企業や売上100億円規模のメガベンチャーなどです。ニーズとしては、新規事業の営業戦略の策定から実行までの支援が多いですね。
※ナーチャリング:獲得した見込み客との関係を継続的に構築し、購買意欲を高めていく一連の活動のこと
―営業支援を行う会社は多いですが、Life with Beachの強みはなんでしょう。
営業支援会社の多くが、『戦略』と『実行』のどちらかに特化しているのに対し、当社は両面を高いレベルで支援できる点にあります。
「戦略」に特化した会社は、フレームワークを多用して商品やサービスの市場におけるポジショニングなどの情報を整理し、営業がなにを提案すべきかの「What」を明示してくれます。しかし、それをどのようにして実現するのかの「How」の内容が薄いため、営業担当者が実行に移す「Do」がなかなかできないケースをよく見てきました。
一方で、「実行」に特化した会社は、テレアポやプッシュメール送信など労働集約的な「How」「Do」の部分を担ってくれますが、なにを提案するかの「What」が明確にない場合が多いうえに、その性質から営業電話がしつこいなどのレピュテーションリスク(※)や支援している会社自体に営業ノウハウが残らないといった課題があります。このように、営業支援が「戦略」と「実行」に分かれていると、顧客に対して十分なサービスが提供できないケースが散見されるのです。
そこで、当社は、その2軸をトータルで支援することによって、戦略から実行までを一気通貫型で行うことにしました。さらにその2軸を両立させるためのコアとなる、「キーワード&ストーリー」を現場起点で抽出することが事業の特徴になっているのです。
「戦略」に特化した会社は、フレームワークを多用して商品やサービスの市場におけるポジショニングなどの情報を整理し、営業がなにを提案すべきかの「What」を明示してくれます。しかし、それをどのようにして実現するのかの「How」の内容が薄いため、営業担当者が実行に移す「Do」がなかなかできないケースをよく見てきました。
一方で、「実行」に特化した会社は、テレアポやプッシュメール送信など労働集約的な「How」「Do」の部分を担ってくれますが、なにを提案するかの「What」が明確にない場合が多いうえに、その性質から営業電話がしつこいなどのレピュテーションリスク(※)や支援している会社自体に営業ノウハウが残らないといった課題があります。このように、営業支援が「戦略」と「実行」に分かれていると、顧客に対して十分なサービスが提供できないケースが散見されるのです。
そこで、当社は、その2軸をトータルで支援することによって、戦略から実行までを一気通貫型で行うことにしました。さらにその2軸を両立させるためのコアとなる、「キーワード&ストーリー」を現場起点で抽出することが事業の特徴になっているのです。
※レピュテーションリスク:企業やブランドに対する社会からの評価(レピュテーション)が悪化し、結果として経営に悪影響をおよぼす可能性のあるリスクのこと
―「キーワード&ストーリー」とはどういうものですか。
いわば、取り扱う商品やサービスの特徴をひと言にまとめたキーワードと、商材の魅力をストーリーとして伝えるためのトークスクリプトです。BtoB営業の本質は、顧客側の担当者との対面によるコミュニケーションと、その先の稟議で発生する「伝言ゲーム」をいかに攻略するかにあります。特に、無形商材は目に見えるものではないため、その言葉から商品やサービスの特徴、提供価値を誰もが想起できる必要があります。それをまとめたものが「キーワード&ストーリー」であり、当社では営業支援サービス『Sales with Story』という名称で顧客に提供しています。
この「キーワード&ストーリー」は、とにかくわかりやすさが重要です。顧客担当者との商談の際に、商品やサービスの魅力を伝えやすくすることはもちろんですが、顧客の会社で行われる稟議においては、そのプロセスにいる決裁者には直接営業できないため、口頭で補足することができず、その結果として文字や言葉だけが一人歩きする傾向にあるためです。たとえば、わかりやすさを演出するシンプルなアプローチが、「ナンバーワン」か「オンリーワン」と言える商品やサービスの領域を抽出することです。シェアや売上で1位を取れている企業であれば簡単ですが、その1社以外は別の手を考えなければなりません。
この「キーワード&ストーリー」は、とにかくわかりやすさが重要です。顧客担当者との商談の際に、商品やサービスの魅力を伝えやすくすることはもちろんですが、顧客の会社で行われる稟議においては、そのプロセスにいる決裁者には直接営業できないため、口頭で補足することができず、その結果として文字や言葉だけが一人歩きする傾向にあるためです。たとえば、わかりやすさを演出するシンプルなアプローチが、「ナンバーワン」か「オンリーワン」と言える商品やサービスの領域を抽出することです。シェアや売上で1位を取れている企業であれば簡単ですが、その1社以外は別の手を考えなければなりません。
―その場合、どのようにして「ナンバーワン」もしくは「オンリーワン」の領域を抽出するのでしょう。
デスクリサーチによる競合とのスペック比較などから相対的なオンリーワンを演出したり、計算の対象範囲を絞ってナンバーワンを探し出したりするといった施策も重要ですが、当社は商談のコミュニケーションのなかからその領域を抽出するスタイルを取っています。結局、顧客にとって響くのは、マクロな視点よりも、顧客が認識している課題の解決に対して、ナンバーワンかオンリーワンの商品やサービスであることが重要だと考えているからです。
当たり前のことを言っているように聞こえるかもしれませんが、多くの企業の商品やサービスがプロダクトアウト志向で生まれ、顧客の声が反映されていない機能に特化したトークや資料、現場に出ていない販売促進・営業企画担当者が二次情報をもとにまとめた「頭でっかち」な資料やトークが使われていることが少なくありません。そういった資料やトークは「手触り感」がなく、顧客の課題や潜在的な需要を引き出すことができないため、あまり商談が盛り上がらず、営業もモチベーションを下げてしまう恐れがあります。そのため、当社では実際の営業商談に私自身が同席することにより、コミュニケーションを図っていくなかで、顧客が課題に感じていそうなことや顧客の社内において価値を提供できそうな情報がなんなのかを探り、それをもとに営業が現場で語るべき「キーワード&ストーリー」をまとめているのです。
当たり前のことを言っているように聞こえるかもしれませんが、多くの企業の商品やサービスがプロダクトアウト志向で生まれ、顧客の声が反映されていない機能に特化したトークや資料、現場に出ていない販売促進・営業企画担当者が二次情報をもとにまとめた「頭でっかち」な資料やトークが使われていることが少なくありません。そういった資料やトークは「手触り感」がなく、顧客の課題や潜在的な需要を引き出すことができないため、あまり商談が盛り上がらず、営業もモチベーションを下げてしまう恐れがあります。そのため、当社では実際の営業商談に私自身が同席することにより、コミュニケーションを図っていくなかで、顧客が課題に感じていそうなことや顧客の社内において価値を提供できそうな情報がなんなのかを探り、それをもとに営業が現場で語るべき「キーワード&ストーリー」をまとめているのです。
受注ゼロ続きだった新事業で、1年間に27件の受注に成功
―成果につながった具体的な支援事例を教えてください。
オンラインによる女性向けライフスタイルメディアを手がけているベンチャー企業を支援した際の話をしましょう。その会社は、新規事業として顧客の商材を宣伝するタイアップ記事を制作する事業を立ち上げて1年ほど経過していました。ただ、成果報酬型の受注がメインで売上に安定性がないことに加え、タイアップ記事の市場はすでにレッドオーシャンで後発という立場もあり、固定報酬型に切り替えても相対的に単価を上げられないことが課題でした。そこで、「単価の高い固定報酬案件を獲得し、安定的な収益化を図れる商品設計、営業支援をしてもらえないか」という先方からの相談を受けて、支援が始まりました。
まず当社では、その会社の事業責任者や編集チーム、実際のターゲットになりそうな企業にヒアリングを行いました。そこから、支援先の会社は雑誌のようなリッチなビジュアルでブランド理解を深められるようなタイアップ記事をつくれることに加え、アフィリエイト会社のようにSEOにも強いノウハウを持っていることが強みだとわかりました。リッチなビジュアルやブランド理解を促進するメディアは出版系のWebメディアを中心に多数ありましたが、SEOを前面に押し出してはいませんでした。一方、SEOに強い会社はアフィリエイトのような文字中心の記事が多く、ブランディングよりはダイレクトマーケティング調の記事が多いことから、「大手企業向けに『ブランディングに強くSEOにも強い』というメニューがオンリーワンのポジションを築けるのでは」という仮説のもと、「キーワード&ストーリー」の構築を行いました。
そこで、実際の営業活動とPoC(※)を重ねながら「キーワード&ストーリー」を組み込んだ戦略を設計したのです。その結果、それまで高単価の固定報酬案件の受注が0件だったのに対し、1年で27件の高単価なタイアップ記事を大手企業から受注できたのです。これには、顧客の担当者も驚いていました。現在は、そのキーワードで商標登録も取得しており、顧客の会社内で新たに営業組織をつくるかどうかの検討を含め、さらなる事業の拡大を進めています。
まず当社では、その会社の事業責任者や編集チーム、実際のターゲットになりそうな企業にヒアリングを行いました。そこから、支援先の会社は雑誌のようなリッチなビジュアルでブランド理解を深められるようなタイアップ記事をつくれることに加え、アフィリエイト会社のようにSEOにも強いノウハウを持っていることが強みだとわかりました。リッチなビジュアルやブランド理解を促進するメディアは出版系のWebメディアを中心に多数ありましたが、SEOを前面に押し出してはいませんでした。一方、SEOに強い会社はアフィリエイトのような文字中心の記事が多く、ブランディングよりはダイレクトマーケティング調の記事が多いことから、「大手企業向けに『ブランディングに強くSEOにも強い』というメニューがオンリーワンのポジションを築けるのでは」という仮説のもと、「キーワード&ストーリー」の構築を行いました。
そこで、実際の営業活動とPoC(※)を重ねながら「キーワード&ストーリー」を組み込んだ戦略を設計したのです。その結果、それまで高単価の固定報酬案件の受注が0件だったのに対し、1年で27件の高単価なタイアップ記事を大手企業から受注できたのです。これには、顧客の担当者も驚いていました。現在は、そのキーワードで商標登録も取得しており、顧客の会社内で新たに営業組織をつくるかどうかの検討を含め、さらなる事業の拡大を進めています。
※PoC:Proof of Concept(概念実証)の略で、新しいアイデアや技術の実現可能性や効果を検証するためのプロセスのこと
自分自身の営業手法が、差別化につながると考えた
―なぜそのような支援を手がけようと考えたのでしょう。
現場の営業担当者がもっと成果を出しやすい環境をつくり、結果的に上層部も喜ぶ支援がしたかったからです。私が自身のキャリアを形成していくうえで、営業に悩んでいる会社や現場で働く人々をたくさん見てきました。そのうえで感じたのは、営業は最終的な受注にもっとも影響力がある業務なのに、上流の戦略策定は上層部やマーケティング部など現場に出ない他部署が担い、結果として現場の営業が成果を出しづらくなっていることに対する違和感です。そんななかで私は、事業会社でのマーケティング経験、外資系企業での営業や営業統括の経験、その後、事業責任者や経営者を経験してきました。そうした経験を通じて、「現場以外で戦略策定にかかわる関係者の考えも理解しつつ、現場起点で戦略を策定、改善し続けられるのでは」と考えたのです。
加えて、かつて私の父が国語の教師をしていたという影響もあるかもしれませんが、私自身が言葉や編集といった概念が好きで、営業起点でキーワードやストーリーといった「言葉を編む」ことを事業化できるのも面白いと思ったのも背景にあります。
このようにして、営業支援会社としての差別化が図れるうえに顧客への貢献度も高く、自分の好きなこともできると考え、現在の事業に注力するようになったのです。
加えて、かつて私の父が国語の教師をしていたという影響もあるかもしれませんが、私自身が言葉や編集といった概念が好きで、営業起点でキーワードやストーリーといった「言葉を編む」ことを事業化できるのも面白いと思ったのも背景にあります。
このようにして、営業支援会社としての差別化が図れるうえに顧客への貢献度も高く、自分の好きなこともできると考え、現在の事業に注力するようになったのです。
―今後のビジョンを教えてください。
『Sales with Story』によって私がかかわる案件を通じて、現場起点による「キーワード&ストーリー」という概念を世のなかに浸透させていきたいですね。また、営業担当者が企画提案業務にリソースを使えるよう、当社のネットワークを通じて、ベトナム人材を活用した営業事務のBPO支援も検討したいと考えています。
―「営業をさらに強化して会社を成長させたい」と考えているベンチャー企業の経営者にメッセージをお願いします。
「プロダクトがあり、プロダクトに対する想いも強いが、具体的な販売戦略に落とし込めない」、「口だけでなく手も動かしてくれる営業支援会社を探している」、「営業起点で事業開発を手伝ってほしい」といったニーズがあるベンチャー企業のみなさんと、ご一緒させていただければうれしいです。また、私自身が営業だけでなく、マーケティング、事業責任者、経営者などさまざまなキャリアを積んでいるため、社内の潤滑剤としてプロジェクトを調整するサポートをしたり、若手営業の間接的な教育も担ったりするのも評価いただけるポイントになっています。ぜひ一度、ご連絡ください。
PROFILE
プロフィール
武井 明(たけい あきら)プロフィール
1989年、東京都生まれ。2013年に中央大学を卒業後、新卒から教育系ベンチャーでデジタルマーケティングを担当。以降、デジタルマーケティング業界にて、マーケティング、ECコンサルタント、法人営業、新規事業責任者、グループ会社の経営者などさまざまなキャリアを経験。2023年にLife with Beach株式会社を設立し、代表取締役に就任する。
企業情報
設立 | 2023年1月 |
---|---|
事業内容 | BtoB企業に向けた営業・マーケティング支援 |
URL | https://lifewithbeach.com/ |
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