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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社M&Aテレコール 代表取締役 大井 匠

会社存続を切に願う経営者の想いに応えるM&A支援ベンチャー

「売り手」目線で仲介会社を選定し、M&Aによる事業承継をサポート

株式会社M&Aテレコール 代表取締役 大井 匠

自社内に後継者がいない中小企業において、M&Aによって事業承継を行うケースが増えている。その場合重要になってくるのが、適切な譲受企業とのマッチングを担う仲介会社の選定であろう。そうしたなか、譲渡する側の企業に寄り添って仲介会社の選定を行い、M&Aの成約までサポートを行っているのがM&Aテレコールだ。同社代表の大井氏は、「譲渡する側の利益を最大化するために会社を立ち上げた」と語る。なぜ、そのような想いを持つようになったのか。同氏に、今後のビジョンなども含めて詳細を聞いた。

採算性を見立てたうえで、第3者目線でプレゼンを行う

―事業内容を教えてください。

 おもに事業承継のためにM&Aを検討している中小企業の経営者に対して、適切な仲介会社を探すサポートを行っています。現在、M&Aの仲介を手がける会社は国内に約3,000社あります。そのなかから、自社のニーズにあった仲介会社を探すのは決して容易ではありません。場合によっては仲介会社がM&Aを成約させることを優先し、譲渡企業(以下、売り手)に不利な契約を提示したり、「譲受企業(以下、買い手)を見つけるのは難しい」と、仲介を断ったりすることもあるでしょう。そこで当社は、売り手の利益を最大化することをモットーに、買い手を紹介してくれるであろうM&A仲介会社を選定し、売り手にとってベストな成約を目指します。

―どのようにしてベストな成約を目指すのでしょう。

 売り手の経営者にヒアリングする際、単に財務状況だけではなく、なぜ現在の財務状況にいたったのかなどを確認し、今後どうすれば採算性が見込めて、どういった買い手がつくかまでの予測を立てます。そのうえで、私のこれまでの経験で培ってきた独自のネットワークから、想定される買い手とつながりがある仲介会社を探し出します。さらに必要であれば当社が第3者の立場で仲介会社にプレゼンを行うのです。そこまで伴走支援することで、売り手の利益を最大化できるのだと考えているのです。

―具体例はありますか。

 これは事業譲渡のケースですが、私が地方でガソリンスタンドを運営していた経営者を支援した事例をお話ししましょう。ガソリンスタンド業界は斜陽産業であることから、その経営者は廃業も視野に入れつつ、売却を模索していました。しかし、本人に事業の状況を詳しく聞いてみるとと、ガソリンスタンド以外に、軽油を長期保存できる「油槽所」を所持していることがわかりました。その油槽所であれば、軽油を安く仕入れて高値になったら販売する卸会社には軽油を保存するメリットがあるため「買い手がつく」と算段したのです。そこで当社は、卸会社にパイプがある仲介会社に対し、「ガソリンスタンドの運営会社」ではなく「油槽所を所持している会社」の買い手を探してくださいと提案したのです。結果、無事に買い手を見つけることができました。会社をそのまま清算していたら500万円しか手元に残らなかったところ、4,500万円で譲渡することができたのです。

組織に左右されることなく、売り手の力になりたかった

―なぜ売り手にとって適切な仲介会社を探すサポートをしようと考えたのでしょう。

 売り手の経営者に、本気で寄り添える仕事がしたかったからです。私は前職時代、大手のM&A仲介会社で売り手と買い手をマッチングする業務を行っていました。そこでお会いする売り手の経営者は、本当に人生をかけて会社を運営している方々が多かったのです。たとえ赤字で苦しんでいても、従業員の雇用と収入を確保するため自身は役員報酬ゼロで土日も返上して働き、それでも各種事情でそのままの会社運営が難しくなり、なんとか会社を存続させようとM&Aを選択されるケースを目にしてきました。しかし、組織内で働いていると私が適切だと思う紹介が自由にできなかったり、仲介手数料の問題で依頼を受けられなかったりした経験があったのです。私の父親も経営者だったため、会社を運営する苦労は理解しているつもりです。こうした経営者の想いに応えるためには、私自身も独立したうえで同じリスクをとり、組織に左右されない立場で売り手の経営者の力になることが必要だと考えたのです。

M&A以外の手法による 事業継続の支援も実施

―今後のビジョンを聞かせてください。

 引き続き、M&Aを検討している経営者に対してニーズにあった仲介会社を紹介していくことに加え、新しく人材紹介事業も行っていく予定です。身内に後継者候補はいるものの、その人が経営者として会社を引き継ぐのが難しい場合、後継者候補には株主になってもらい、我々が外部から別の社長を探してきて会社を存続させる、というのがこの事業のスキームです。

―売り手としてM&Aを検討している経営者にメッセージをお願いします。

 M&Aには大変な時間と労力を必要とします。それを経営者ひとりで対応するのは大変です。その際は、ぜひ当社を頼っていただきたいです。たとえ赤字であっても、採算性を示すことができれば、買い手を見つけることは可能なのです。

 当社は必ずしもM&Aのみをおすすめするのではなく、先ほど話したように外部から新たな社長を招へいするなど、経営者が持つ課題によっては異なるアプローチによる支援も行います。また、「すでにM&A仲介会社に依頼しているが買い手が見つからない」といった場合のセカンドオピニオンとしての役割も担います。さらに、スタートアップがイグジットする場合の相談にもフレキシブルに対応することが可能。相談は無料ですので、「情報収集をしたい」という場合も大歓迎です。まずは気軽に問い合わせてほしいですね。
PROFILE プロフィール
大井 匠(おおい たくみ)プロフィール
1995年、青森県生まれ。2016年、ワシントン州立Skagit Valley Collegeを卒業。その後、半年間米国の野球独立リーグでプレーする。帰国後、2017年に神奈川大学へ3年次編入。大学卒業後、エーザイ株式会社に入社し、京都大学病院を担当する。2022年、株式会社日本M&Aセンターに入社し、おもに医療・介護・製造業・建設業界においてM&Aの仲介業務を担当。2023年、株式会社M&Aテレコールを設立し、代表取締役に就任する。
企業情報
設立 2023年7月
従業員数 10名(業務委託含む)
事業内容 事業承継・M&Aの無料相談サービス、M&A担当者・仲介会社無料紹介サービス、M&A仲介会社向けソーシング支援、譲受企業向けマーケティング支援
URL https://manda-telecall.com/
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