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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

モバイル・インターネットキャピタル株式会社 代表取締役社長 西岡 郁夫

骨太ベンチャーキャピタリストの眼力

モバイル・インターネットキャピタル株式会社 代表取締役社長 西岡 郁夫

※下記はベンチャー通信13号(2005年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―モバイル・インターネットキャピタル(以下、MIC)は、具体的にはどんな性格のVCなんですか?

西岡:まず、モバイル・コンピューティングとインターネット関連のベンチャーにしか投資しません。日本で出資分野をきちっと限定するVCは我々が最初だと思います。この分野で技術力のある有望なベンチャー企業を発掘して、長期的な視点で投資し、顧客やパートナーを紹介して実務的に地道に支援します。出資は援助の一部だと考えています。一方、我々が支援できないベンチャー、つまり、ベンチャーから見てMICにバリューが無い場合には出資しません。

―具体的な支援とは?

西岡:社外取締役を送り込んで経営に文句を付けるのをhands onと考えているVCもあるようですが、我々は横から口先だけを出すだけでなく、その会社の商品や技術を一緒に売り込む手伝いもします。その技術のための新しい市場形成も主体的に支援します。幸い、私にはシャープやインテル時代に築いた大企業との太い人脈があります。通常ベンチャー企業が大企業にアプローチしようと思ってもドアを開けても貰えませんし、直接会える担当者には決裁権がなかったりと、非常に不利な場合がある。そこで、「大企業との橋渡し役」を私が担うのです。
 たとえば、ベンチャー企業の有望な技術を、大企業に売り込みます。大企業には、大量生産能力や販売力やブランド力などがあります。それらを活用させてもらって、ベンチャー企業1社では成しえなかった事業展開ができるようにするのです。大企業としても、思わぬ新技術をベンチャーから持ち込まれたりなどして大きなメリットがあるから、まさにwin-winの関係です。大企業の豊富な経営資源と、ベンチャーならではの独創的な技術、その2つを合わせて化学反応を起こせば、夢は大きく膨らみます。でも、気をつけなければいけないのが、ベンチャーはどうしても大企業より弱い立場にあるということ。だからアイディアだけを盗まれたり、大企業のおっとりしたスピード感覚に飲み込まれて、いつの間にか資金が尽きてしまったりというケースもある。そういうケースを避けるために、機密保持契約書の締結や、大企業との付き合い方などを、MICが中立的に指導します。ベンチャーに代わって、私が大企業にきちんと説明や交渉をしてあげることもしばしばです。こういった支援は非常に喜ばれています。

―西岡さんが、投資するベンチャー企業とは、どんなベンチャーなんですか?

西岡:まず、投資分野としてはモバイル・コンピューティングとインターネットの分野です。特に最近は携帯マーケットの成長が著しい。この分野は、日本が世界で最も進んでいる分野でもあるんです。評価のポイントとしては、まず技術力です。そのベンチャーが持っている技術が他社に安易に真似されないかどうか。すぐに真似されるような技術だと、経営資源の豊富な大企業に負けてしまいます。そのベンチャーが持っている技術に特許が成立していれば、他社が参入することが困難になりますから重要な参入障壁になり得るのです。また、その技術に奥の深さや横の広がりが期待できるかどうかも重要です。その技術を深く掘り下げて新たな商品開発につなげたり、その技術を応用して他の商品に展開できる可能性があれば有力です。

―起業家自身としては、どこの部分を見るんですか?

西岡:全人格を見ます。夢を持って、情熱を傾けて仕事をしているのか。一発当てて儲けてやろうとしか考えていない人には投資しません。でも、人を見抜くのは本当に難しいですよ。たった1時間くらいの会話で、その人の本質は見抜けない。だから、一緒に飲みに行ったり、起業家の部下にヒアリングしたりして本質を見抜く努力はします。それでも、失敗することはあります。でも、やはり最後はその起業家の“想い”と“実行力”ですよ。「私はこういう技術で日本を変えていきたい」、「こういう技術で世界的な企業を創りたい」というような想い。本物の想いがあるかどうか。そしてそれを石にシガミツイテモ実現するか。最終的にはそこだと思います。
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