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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

モバイル・インターネットキャピタル株式会社 代表取締役社長 西岡 郁夫

骨太ベンチャーキャピタリストの眼力

モバイル・インターネットキャピタル株式会社 代表取締役社長 西岡 郁夫

※下記はベンチャー通信13号(2005年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―そういった基準の中で、西岡さんが投資しているベンチャーとは、具体的にどんなベンチャーがあるんですか?

西岡:例えば、携帯で「歩行者用のナビゲーション:ウォークナビ」サービスを提供している株式会社ナビタイムジャパン。いま凄い勢いで伸びていますよ。他には、JCD(ジャパン・チャイナ・ディベロップメント)という会社。徐社長は清華大学を出て日本に来て名古屋大学で博士号を取った真面目な ITシステムエンジニアでした。中国のエリート大学の清華大学に15歳で飛び級で入学した天才です。そのJCDは、中国のケータイの二大キャリアと言われている中国移動(チャイナモバイル)、中国聯通(チャイナユニコム)のサービスプロバイダーとして活躍しています。この会社も急成長しています。そして最後に、株式会社イーブックイニシアティブジャパンです。この会社はインターネットを使って、電子書籍(漫画なども含む)をダウンロードできるサービスを展開しています。この会社の鈴木社長は、年齢が60歳、前職は「週刊ポスト」編集長という異色の経歴です。鈴木さんに初めて会った第一印象は、むさくるしい顔つきのオヤジという感じ(笑)。また、ITベンチャーの起業家には珍しく、当時の年齢が58歳というシニア世代。 話を聞いていると、鈴木さんの情熱が伝わってきました。鈴木さんという人は、編集者として何十年もキャリアを積んできた人です。だから出版業界のことをよく知っている。著者の気持ちや、編集者の気持ち、本屋さんの気持ち。そんな細かいところまで、よく知り尽くしているんです。視点を明確に持っている人でした。また、その当時高速ブロードバンドの時代がそろそろ来るという頃だった。そして、ネット端末も改良されてきて、電子書籍がいよいよ成り立つ土壌が熟成されてくる予感もしたんです。それでイーブックに投資することを決めました。鈴木さんとは、今でもビジネスの上で激論を交わすこともあります。でも、やはり芯の通っている人なので、どんなに激論を交わしても「この人はさすがだな」といつも思いますね。本当にヒューマンな人です。

―最後に、将来ベンチャーキャピタリストを目指している若者にメッセージを下さい。

西岡: VCは本当に難しい仕事です。VCには広くて深い見識が必要です。大学を出てすぐにVCになるなんて有り得ないと思います。まずは会社に入社したら、一つの仕事を一生懸命にやり遂げることです。そうやって、一つ一つの仕事をこなしていきながら、だんだんと見識も深まっていくと思います。急には無理です。VCを目指すなら、深い見識眼を持って、人や企業を見抜かなければいけませんからね。また、VCを目指す人に限らず、若い人に伝えたいメッセージとしては、2つあります。1つは、会社に就職したら、My Best Jobを書く習慣をつけること。たとえば入社して5年後に自分の5年間のMy Best Jobを書いてみる。この5年間でいったい自分は何を成し遂げたのか。それを紙に落として書いてみる。こうすることで仕事の仕方が変わります。いやな仕事でもそれを成功したことをストーリーとして描くことで自分を客観的に捉えることができます。これは効果がありますよ。ぜひ皆さんもやってみて下さい。
 2つ目は、市場から見た自分の客観的なバリューをいつも考えるということ。会社の中だけの自分のバリューではなく、会社の肩書きを外したら、いったい自分のバリューはどれくらいなのか。そのことを常に意識するべきです。そういう意識を持たないと、会社に飼い慣らされた会社人間になってしまいます。その会社の中でしか通用しない人間になってしまう。私も同窓会などに出ると、昔の友人に会う機会があるんですけど、もう定年を迎えている人も多い。そんな中で、定年になって会社の名刺を持てなくなって、すごく寂しそうな顔をしていたりするのを見たりします。たぶんその人は昔の「○○会社の○○部長」という肩書きがなくなってしまうと、急に自分に自信がなくなってしまうのでしょう。みなさんは会社に依存しないで、自力で生きていける人になって欲しい。会社に依存する会社人間にならないように気をつけてください。
PROFILE プロフィール
西岡 郁夫(にしおか いくお)プロフィール
1943年大阪に生まれる。69年大阪大学大学院工学研究科通信工学専攻修士課程修了。81年工学博士(大阪大学)。シャープ(株)を経て、92年インテル株式会社副社長に転進、代表取締役社長、代表取締役会長を経て、99年退社。インテル時代には日本のパソコン、E-mailの普及活動に力を入れ伝道師と言われる。99年11月にモバイル・インターネットキャピタル(株)をNTTドコモ、みずほ証券、インターネット総研との共同出資により設立。代表取締役社長に就任。
企業情報
設立 1999年11月
資本金 1億円
事業内容 ‘Mobile’及び‘Internet’分野にFocusしたベンチャーキャピタル事業
URL http://www.mickk.com
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