INTERVIEW 業界別起業家インタビュー
注目の経営者と政治家が語る「ニッポン世直し論」
高い志を掲げ、社会の変革に挑め
株式会社ネクスト 代表取締役社長 井上 高志
今回はビジネスと政治の分野で活躍する二人の対談を企画した。その二人とは、ネクスト代表取締役社長の井上高志氏と参議院議員の松田公太氏だ。井上氏は26歳でネクストを創業し、住まいの情報ポータルサイト『HOME’S』を立ち上げ、日本最大級の規模まで成長させた注目の経営者。一方、松田氏は29歳でタリーズコーヒージャパンを創業し、国内有数のコーヒーチェーンに育て上げた後、41歳で政界に進出した注目の政治家。二人は共に1968年生まれ。それぞれビジネスと政治の分野で「世直し」に挑んでいる。今回の対談では、二人に日本の「世直し論」や「若者論」などを大いに語ってもらった。
※下記はベンチャー通信42号(2010年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
―まず、お二人の出会いをお聞かせください。
井上:今から7~8年前、横浜で行われた起業家を表彰するイベントで初めてお会いしました。その数年後に他のイベントで再会し、松田さんが主催している「ヨンサン会」という会に誘っていただいたのがきっかけで、とても仲良くさせてもらっています。
松田:「ヨンサン会」とは、私と同じ昭和43年生まれの方を集めて、「日本を良くするには、どうしたらよいか」ということを議論している会のことです。日本には年齢の壁というものが存在し、世代を超えて議論をする時に年下の人間がどうしても遠慮してしまいます。ヨンサン会は「日本を良くしたい」という想いを持った同い年のメンバーだけが集まるので、皆が遠慮せず、とても活発な議論を交わしています。
松田:「ヨンサン会」とは、私と同じ昭和43年生まれの方を集めて、「日本を良くするには、どうしたらよいか」ということを議論している会のことです。日本には年齢の壁というものが存在し、世代を超えて議論をする時に年下の人間がどうしても遠慮してしまいます。ヨンサン会は「日本を良くしたい」という想いを持った同い年のメンバーだけが集まるので、皆が遠慮せず、とても活発な議論を交わしています。
―日本を良くするために、現在、お二人はビジネスと政治の分野で、どんなことにチャレンジしているのですか。
井上:私は、ビジネスを通じて社会を変革したいと考えています。今、社会には「不安」「不満」「不便」など、さまざまな「不」が溢れています。 それらの「不」を「安心」「満足」「便利」に変革し、世界中の人々を笑顔にしたいのです。
私がこのような考えに至ったきっかけは、新卒で入社したリクルートコスモス(現コスモスイニシア)でマンションを販売していた営業時代にあります。ある日、若いご夫婦が、私の担当していたマンションのモデルルームを訪れました。そのご夫婦は、ある物件を気に入ったのですがローンの審査が通らなかったため購入することができず、さらにリクルートコスモスの他の物件にはご夫婦の希望に合う物件がありませんでした。そのときのご夫婦の落胆振りを見た私は、「どうしても理想の物件を探してあげたい」という一心で競合他社の物件の情報を集め、40件ほどの物件を紹介したのです。最終的に、ご夫婦はその中から競合他社の物件を気に入り、購入することになりました。私は会社にとって1円の得にもならない行動をしたため、当然上司に激しく叱責されました。しかし、後日ご夫婦が私のもとを訪れて「ありがとう」という一言をかけてくださった時、私は全身が幸福感でいっぱいになったのです。この経験を通して、「誰もが理想の住まいに出会える仕組みを創りたい」と思い、日本中の住まいの情報を得ることができる住宅・不動産情報ポータルサイト『HOME’S』を立ち上げました。
そんな私の想いを支持してくださる方が少しずつ増え、今では日本最大級の規模にまで成長することができました。今後は、一人でも多くの人をHAPPYにするために、「住まい」の分野だけではなく「医療」「教育」「金融」など暮らしのあらゆる分野で「不」の解消に取り組んでいきたいと考えています。
松田:私の人生の目標は、「日本の素晴らしさを世界に伝えること」。私はそこに全力でチャレンジしています。もともと私は5歳から17歳まで海外で暮らしていました。当時、日本人は「ジャップ」、「イエローモンキー」などと呼ばれ、海外で尊敬されていませんでした。それが非常に悔しかったんです。だから、私は「本当の日本人は素晴らしいんだ」ということを世界中の人々に伝えたいと思いました。そこで、29歳の時に「食を通じて文化の懸け橋になる」という経営理念を掲げ、タリーズジャパンを創業しました。その後、タリーズコーヒージャパンは創業から4年で株式上場を果たし、日本有数のコーヒーチェーンへと成長することができました。
しかし、次第に私は危機感を抱くようになりました。危機感の対象はタリーズコーヒージャパンというイチ企業ではなく、日本という国全体です。日本経済は長期不況で低迷し、人々は常に不安を抱え、若者のチャレンジ精神も失われています。「このままでは日本という国がダメになってしまう。日本経済を抜本的に立て直し、世界に誇れる国にしなければ手遅れになる」。そう考える中で、私は政治の世界に興味を持ちました。そして、経営者の私ならば従来の政治家とは違った切り口で日本を立て直せるのではないかと考え、選挙に出る決意をしたわけです。
私がこのような考えに至ったきっかけは、新卒で入社したリクルートコスモス(現コスモスイニシア)でマンションを販売していた営業時代にあります。ある日、若いご夫婦が、私の担当していたマンションのモデルルームを訪れました。そのご夫婦は、ある物件を気に入ったのですがローンの審査が通らなかったため購入することができず、さらにリクルートコスモスの他の物件にはご夫婦の希望に合う物件がありませんでした。そのときのご夫婦の落胆振りを見た私は、「どうしても理想の物件を探してあげたい」という一心で競合他社の物件の情報を集め、40件ほどの物件を紹介したのです。最終的に、ご夫婦はその中から競合他社の物件を気に入り、購入することになりました。私は会社にとって1円の得にもならない行動をしたため、当然上司に激しく叱責されました。しかし、後日ご夫婦が私のもとを訪れて「ありがとう」という一言をかけてくださった時、私は全身が幸福感でいっぱいになったのです。この経験を通して、「誰もが理想の住まいに出会える仕組みを創りたい」と思い、日本中の住まいの情報を得ることができる住宅・不動産情報ポータルサイト『HOME’S』を立ち上げました。
そんな私の想いを支持してくださる方が少しずつ増え、今では日本最大級の規模にまで成長することができました。今後は、一人でも多くの人をHAPPYにするために、「住まい」の分野だけではなく「医療」「教育」「金融」など暮らしのあらゆる分野で「不」の解消に取り組んでいきたいと考えています。
松田:私の人生の目標は、「日本の素晴らしさを世界に伝えること」。私はそこに全力でチャレンジしています。もともと私は5歳から17歳まで海外で暮らしていました。当時、日本人は「ジャップ」、「イエローモンキー」などと呼ばれ、海外で尊敬されていませんでした。それが非常に悔しかったんです。だから、私は「本当の日本人は素晴らしいんだ」ということを世界中の人々に伝えたいと思いました。そこで、29歳の時に「食を通じて文化の懸け橋になる」という経営理念を掲げ、タリーズジャパンを創業しました。その後、タリーズコーヒージャパンは創業から4年で株式上場を果たし、日本有数のコーヒーチェーンへと成長することができました。
しかし、次第に私は危機感を抱くようになりました。危機感の対象はタリーズコーヒージャパンというイチ企業ではなく、日本という国全体です。日本経済は長期不況で低迷し、人々は常に不安を抱え、若者のチャレンジ精神も失われています。「このままでは日本という国がダメになってしまう。日本経済を抜本的に立て直し、世界に誇れる国にしなければ手遅れになる」。そう考える中で、私は政治の世界に興味を持ちました。そして、経営者の私ならば従来の政治家とは違った切り口で日本を立て直せるのではないかと考え、選挙に出る決意をしたわけです。
―お二人とも高い志を掲げて、ビジネスや政治の分野でチャレンジをしているんですね。
井上:「自分は人生で何を成し遂げたいのか」という志を持つことは、とても大切なことだと思います。ビジネスや政治は、志を実現するための手段に過ぎません。私は日本や世界を良くするためにビジネスという道を選び、松田さんは政治という道を選んだわけです。私と松田さんのアプローチは違いますが、目指している方向性は非常に近いと感じています。
松田:同感ですね。私も「経営者」や「政治家」という立場には、あまり興味がありません。一番大切なのは、社会を変える新しい価値を提供する「イノベーター」であること。これは、ビジネスや政治など分野は限りません。タリーズ時代も現在も「日本の素晴らしさを世界に伝える」という想いでチャレンジしています。そのスタンスはまったく変わりません。
松田:同感ですね。私も「経営者」や「政治家」という立場には、あまり興味がありません。一番大切なのは、社会を変える新しい価値を提供する「イノベーター」であること。これは、ビジネスや政治など分野は限りません。タリーズ時代も現在も「日本の素晴らしさを世界に伝える」という想いでチャレンジしています。そのスタンスはまったく変わりません。
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