ベンチャー通信Online > 起業家インタビュー > IT > 株式会社Next Fortune 代表取締役 綿貫 翼 

INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社Next Fortune 代表取締役 綿貫 翼 

企業とフリーランス人材を結ぶ開発支援ベンチャー経営者の想い

企業とエンジニアの仲介者として、「マッチング後の幸せ」こそ追求したい

株式会社Next Fortune 代表取締役 綿貫 翼 

人材エージェントとして企業とフリーランスのエンジニアを結び、Web開発支援サービスを提供するNext Fortune。同社代表の綿貫氏によると、2022年7月の創業から2期目を迎えたばかりだが、リピート受注の獲得を増やすなど事業の出だしは好調だという。同氏は前職のIT企業において、人材エージェント事業の立ち上げに参画した経歴を持つ。そこからあえて独立し、創業した背景には、どのような想いがあるのか。同氏に詳しく聞いた。

企業とのミスマッチが目立つ、フリーランス人材市場

―事業内容を教えてください。

 おもにSES(※)事業を手がけ、Webアプリやスマホアプリの開発に必要なスキルの提供を行っています。事業の推進に当たっては、当社が人材エージェントとなってフリーランスのエンジニアと業務委託契約を交わし、顧客のサービス開発をお手伝いします。2022年7月に創業して以来、当社に登録するエンジニアの数は累計1,000名を超え、現在も月50~60名のペースで登録が増え続けています。それに伴い、スピード感のある人材支援が可能になり、提供できるスキルの幅も広がってきました。リピート受注案件も増えてきており、事業は順調に拡大しています。
※SES : System Engineering Serviceの略。ソフトウェアやシステムの開発・保守・運用において、エンジニアの労働力を提供するサービス形態のこと

―フリーランス人材のエージェントとして創業したのはなぜでしょう。

 実体験を通じ、「フリーランス人材を求める企業が多いが、自身で案件を獲得できるフリーランスは極めて少ない」と感じていたからです。私自身かつて、フリーランスのエンジニアだった時期があります。その当時は、百社ほどの企業に電話やメールで自分を売り込んだ体験を通じ、個人で案件を受注する大変さを知りました。また、その後に務めたIT企業では、当時の経験を活かし、フリーランス人材のエージェントの立ち上げに参画する機会を得たのですが、そこでは非常に多くの企業がエンジニア不足に悩んでいる現状を目の当たりにしました。つまり日本には、多くの企業とフリーランスのエンジニアたちが互いに必要としあっているにもかかわらず、マッチングが行われていない状況があると、肌身で感じたのです。

 それから数年の間には、前職のIT企業も含め、フリーランス人材の仲介を手がけるエージェントがいくつも立ち上がり、マッチングが成立する機会は多く なりましたが、私は同時に、この業界に課題を感じるようにもなっていました。

―それは、どのような課題ですか。

 スキルや各種条件の面で企業とエンジニアの双方のニーズが合致しないにもかかわらず、マッチングが成立してしまうことです。そこには、「とにかくマッチングを多く成立させて手数料を得たい」というエージェント側の思惑が背景にあることが少なくありません。そのようなミスマッチが起こると、企業は場合によってはエンジニアへの委託を打ち切らざるをえなくなり、サービス開発を中断させてしまうことになります。なかには、エンジニアが「やりたいことと違う」といった一方的な理由で突然辞めてしまうようなケースもあります。

 当初私が描いていた理想のフリーランス市場とは、企業が必要なスキルの提供をスピーディに受けられ、サービス開発を加速できる市場であること。エンジニアにとっては、組織や時間、場所などの制約に縛られることなく、自身の強みを伸ばすことのできる市場です。それは長期的に見れば、日本におけるエンジニアのスキルの底上げにもつながるでしょう。私は、そうしたフリーランス市場の健全な発展を促すべく、人材エージェント本来の役割を追求し実践するためにこのNext Fortuneをゼロから立ち上げたのです。

手間をかけてでも目指す、理想の人材エージェント

―「本来の人材エージェントの役割」を追求するため、どういったことを大切にしていますか。

 地道ではありますが、企業とエンジニアの双方にしっかりと向き合うことを大切にしています。特に、同業他社と比べて力を入れていると自負するのが、エンジニアとの面談です。当社では必ず一人ひとりと時間をかけて面談することで、その人のスキルだけでなく、これまでの経歴や人柄などを総合的に見極めるよう心がけています。そのような手間をかけず、職務経歴書を参考に簡略的な審査をするだけならば、より短い期間でエンジニアの登録数をスピーディに増やすことはできます。しかし、顧客に安心して当社のサービスを受けてもらうために、時間や労力、コストをかけてでも、 優秀でまじめなエンジニアをじっくりと集めていくことを当社は最優先しています。それにより、当社は設立以来、フリーランス人材側に起因するマッチング後のミスマッチや、フリーランスが「飛んでしまう」といったトラブルはいまのところ発生していません。

 いまや、企業とフリーランスのエンジニアを仲介するビジネスは珍しくなくなりました。そうしたなかで当社は、マッチングが成立したその先、双方がしっかりと幸せになる将来までを見据えたエージェント事業を展開しているのです。

―今後のビジョンを聞かせてください。

 当社にかかわるあらゆる人々が、将来の幸せを追求し続けるうえで、欠かせない会社になりたいと考えています。そのために当社は、企業とエンジニア、それぞれに対する新しい「寄り添い方」を模索し、挑戦を重ねていく方針です。具体的には、長期化する開発案件を対象に、当社が顧客からいただく手数料のマージン率を徐々に落としていく、といった料金形態を考えています。この料金形態は、顧客の発注単価を下げ、エンジニアの報酬額を増やしていけるもので、まさに双方がハッピーになれる仕組みです。当社が得る利益は減ることにはなりますが、私が目指す人材エージェント像の実現に近づく挑戦になるでしょう。こうした挑戦を重ねる当社のもとに優秀なフリーランスのエンジニアがより多く集まるようになり、そのぶん、企業がよりスピーディで高品質な開発支援を受けられるようになっていく。そんな好循環を生み出していきたいですね。
PROFILE プロフィール
綿貫 翼(わたぬき つばさ)プロフィール
1996年、千葉県生まれ。2019年、大学を卒業後、不動産会社に入社。土地の仕入れ営業などに従事。同年、ITエンジニアへの転身を図り、個人事業主として複数の開発案件に携わる。その後、2020年にIT企業に入社し、営業に従事するほか、フリーランス人材のエージェント事業の立ち上げに参画する。2022年、株式会社Next Fortuneを設立し、代表取締役に就任。
企業情報
設立 2022年7月
売上高 1億5,000万円(2024年6月期、見込み)
従業員数 25名(業務委託含む)
事業内容 フリーランスエージェント事業、受託開発事業など
URL ■コーポレートサイト
 https://nextfortune.net/
■サービスサイト
 https://www.freelanceagent.nextfortune.net/
※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。