ベンチャー通信Online > 起業家インタビュー > 著名起業家 > 株式会社ネクシィーズ 代表取締役社長 近藤 太香巳

INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社ネクシィーズ 代表取締役社長 近藤 太香巳

困難を乗り越えて本物のベンチャーをつくれ

株式会社ネクシィーズ 代表取締役社長 近藤 太香巳

近藤は19歳でわずか50万円を元手にネクシィーズを起業した。その後、卓越した企画力と営業力で数々の困難を乗り越え、同社を成長に導いてきた。34歳の時にはナスダック・ジャパン(現:大証ヘラクレス)にIPO(以下、上場)を果たし、2004年に37歳という若さで東証一部上場企業の最年少創業社長になった。今回、近藤に起業から現在に至るまでを振り返ってもらい、同時にベンチャー論についても熱く語ってもらった。
※下記はベンチャー通信34号(2008年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―近藤さんは19歳で起業し、20年以上も経営の第一線で活躍しています。これまでで近藤さんがもっとも印象に残っている経営上の困難は何ですか。

近藤:上場の取り消しにあったことです。これは起業して13年目、2000年のことでした。ITバブルの崩壊により東証マザーズへの上場が直前になって取り消されてしまったんです。本当にショックでした。しかも、その後さらなる悲劇が当社を待ち受けていました。上場が取り消しになったことで、なんと取引銀行が全面撤退。当社が融資を頼んでも、すべて断られてしまった。この時、当社は上場による資金調達を見越して、すでに大型の投資も進めていました。しかし上場が立ち消えになり、このままでは2ヶ月後に資金が底を尽くことが判明した。そこで何とかして資金を調達しなくてはいけなくなったんです。

―そのピンチをどうやって克服したんですか?

近藤:幸運にも、当社は良き支援者に恵まれました。ソフトバンク・インベストメントの北尾さん(現:SBIホールディングス代表取締役)に出会えたんです。当時の当社は上場を取り消されて、社会的に孤立していました。しかし、北尾さんは当社の潜在的な力を高く評価してくれ、全面的に支援する約束をしてくれたんです。「近藤君の眼は輝いている。全面的に支援しよう」と言ってくれ、わずか15分の面談で30億円の出資を決めてくれた。本当に涙が出るほど嬉しかったですね。その後、上場取り消しから2年後の2002年にナスダック・ジャパン(現:大証ヘラクレス)に上場を果たすことができ、さらにその2年後の2004年には東証一部にも上場を果たすことができたんです。

―最近、ベンチャー業界に逆風が吹いていると言われています。近藤さんはこの状況をどう捉えていますか?

近藤:たしかにライブドア事件などの影響で、世間のベンチャーに対する風当たりは厳しくなっています。しかし、所詮ベンチャーに対する風向きなんて大した話ではありません。たとえ逆風が吹いたとしても、それでも勝ち続ける。それが"本物のベンチャー"だと思います。 ただ、ベンチャーが長期的に勝ち続けるのは本当に難しい。これは私が20年近く経営してきて、つくづく思うことです。短期的に勝つのは簡単です。うまく時代の波に乗って、急成長を遂げればいい。そういうベンチャーはたくさんあります。しかし、それらのベンチャーが10年後、20年後も市場で勝ち続けられるかというと、決してそうではない。むしろ多くのベンチャーは大きな困難にぶつかると、成長が失速してしまい、消えて無くなってしまう。"本物のベンチャー"なら、どんな困難でも乗り越え、むしろその困難によって成長を加速させることができます。そういう意味では、現在の状況はあらゆるベンチャーにとって良い試金石になると思いますね。
※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。