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著名起業家インタビュー

株式会社スタジオジブリ 代表取締役プロデューサー 鈴木 敏夫

著名起業家仕事は公私混同でやったほうがいい

株式会社スタジオジブリ 代表取締役プロデューサー 鈴木 敏夫

※下記はベンチャー通信8号(2003年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―その後、どのようにして作品に関わっていったんですか。

鈴木:僕が直接関わったのは、『風の谷のナウシカ』(84年公開)が最初。でもそれは遊びだった。商売とかは考えないで、いいものができればそれでいいと思ってた。でも、そうもいかなくなった。ジブリはクオリティに妥協がなく、製作費はかさむばかり、このままではヤバイと思った。『魔女の宅急便』の製作は4億円が見込まれた。興行収入は製作費の4倍ないとペイしない。『魔女の宅急便』では16億円以上のヒットが前提でした。でも邦画のヒットといえば、興行収入10億円が目安。それに『となりのトトロ』では名作『火垂るの墓』と二本立てでも、6億円弱しか稼げなかった。このままだったら、作品を出すことはできないと、真剣に思い始めた。

―きっかけは何だったんですか。

鈴木:『魔女の宅急便』の製作に入った時に、配給会社の“エライさん”に言われた一言がきっかけですね。「宮崎監督もこれで終わりだね」って。一瞬カッと来た。でも理由を聞くと、「風の谷のナウシカ、天空の城ラピュタ、となりのトトロと、どんどん興行収入が減っているじゃないの」と。なるほど、数字かと。いい作品を作り続けるためには、宣伝してお客さんに来てもらわなきゃって、思い知らされた。だからその足でそのまま日本テレビに行って、宣伝協力を頼みに行ったんです。

―そこから今のような映画公開前に大々的に宣伝を行う方式になったわけですね。

鈴木:そうですね。協賛企業の方には、映画を成功に導くチームの一員として動いてもらっています。映画が成功しなければ、協賛企業も恩恵を受けられません。だから宣伝の段階で協賛企業が個々に利己的に動くよりも、まずは映画の成功を第一に考えてもらう。それが僕の基本的な考えですね。

―最後に若者にメッセージを下さい。

鈴木:先ほども言いましたが、一緒に仕事をする人との相性は非常に重要だと思います。この人と一緒に仕事をしたら、自分も幸せな人生が送れるんじゃないかと思えるかどうか。またその幸せとは、自分が無理をしなくても楽に仕事ができるということです。僕は宮さんと相性が良かった。宮さんの作品が世間に評価されるのは嬉しい。だけど、宮さんの作品がすごい評価を受けるから一緒に仕事をしているわけじゃない。宮さんたちと仕事をする、そのこと自体が楽しい。だから仕事をする仲間との相性が非常に大事だと思いますね。会社じゃないですよ。働く人間に誰を選ぶかです。それは映画の協賛企業についても同じことです。
 この前、ローソンの新浪社長と食事をしたんですが、すごく正直な人でね。いっぺんに好きになっちゃったんですよ。一緒に仕事をしたくなったんです。それでローソンで夏のキャンペーンをしたいからと、いろいろと無理な注文をされたんですけど、ついついOKしちゃったんです。普段だったら断る依頼なんですけど。

 それと今、ジブリはディズニーと提携しているんですが、そのディズニーの日本代表で星野さんという人がいる。この人もすごく正直。そろばん弾いて、金儲けのことばかり考えている人なんですが、そこがあまりにも飾らず率直なんです。そういうところが大好きになっちゃった。だから一緒に仕事をしたくなる。僕は世の中そういうもんだと思います。「ハウルの動く城」は来年に公開予定ですが、正直なところ公開が延期してほしいと思ってる(笑)。もっと長くみんなで作品を作っていたい。だから公開が近づくと憂鬱になるんですよ。公開前に自分たちが死んじゃえば幸せだなって思う(笑)。あとアドバイスがあるとしたら、仕事は公私混同でやった方がいいということ。仕事ばかりして、プライベートがないなんてつまらないでしょう。だから逆転の発想で、仕事もプライベートも一緒にして、公も私もないようにしちゃう。仕事仲間や取引先とも公私混同で裸でぶつかり合う。その方が絶対面白い。みなさんも相性のいい仲間を見つけて、全力で打ち込める仕事を探してください。頑張ってください。

鈴木 敏夫(すずき としお)プロフィール

1948年名古屋市生まれ。72年、慶應義塾大学文学部卒業後、徳間書店に入社。『週刊アサヒ芸能』記者、『アニメージュ』編集長を経る。2000年から株式会社徳間書店常務取締役、スタジオジブリ事業本部長。趣味は散歩。好きな言葉は、『不易流行』。「いつも普遍性と時代性が大事」。

企業情報

設立 1985年6月
事業内容 劇場用アニメーション映画の制作
URL http://www.ghibli.jp/

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