INTERVIEW 業界別起業家インタビュー
IT業界の巨人孫正義が“次の世界”を語る
「君はロボットに勝てるか?」
ソフトバンクグループ株式会社 代表取締役社長 孫 正義
2015年3月期の連結売上高が8兆6,702億円を超えるソフトバンクグループ。日本のIT業界に君臨する巨大企業を一代で築き上げたのが代表の孫氏だ。スマートフォン(スマホ)で通信分野の変革に成功した同氏が次にねらうのは、ロボットによる社会変革。それは若者のこれからの人生も大きく変えていく。『SoftBankWorld 2015』での講演をもとに、孫氏から若い世代へ10の質問を通してメッセージを贈る。
※下記はベンチャー通信62号(2016年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
スマホ時代の到来を確信し2兆円を賭ける勝負に出た
―Q1 みなさんのなかで、スマホをもっていない人はいますか。
いたら、その人はもう化石です(笑)。ほとんどの人がもっているでしょう。でも、スマホが生まれた直後に、そんな時代の到来を予想した人は少なかった。
私が「これからはiPhoneの時代だ」と一生懸命、口から泡を出していっていたとき。マスコミは「日本にはケータイがある。日本独自の文化に適合していないiPhoneは売れない」ともっともらしくいっていた。あれから、まだ10年もたってない。いまやスマホがあって当たり前という時代です。
私が「これからはiPhoneの時代だ」と一生懸命、口から泡を出していっていたとき。マスコミは「日本にはケータイがある。日本独自の文化に適合していないiPhoneは売れない」ともっともらしくいっていた。あれから、まだ10年もたってない。いまやスマホがあって当たり前という時代です。
―Q2 ソフトバンクは2006年にボーダフォンを2兆円で買収し、モバイル通信の分野に参入しました。その意思決定をする2週間前に、私はある人物に会いに行きました。それは誰だったでしょう。
答えはスティーブ・ジョブズです。「これからソフトバンクはモバイルの分野に参入したい。ケータイ会社を買収しようと考えているが、後発の我々が勝つには新しい武器が必要だ。それをつくれるのはあなたしかいない。ぜひ組んでやってくれないか」。私は彼にそう説きました。当時のiPodに携帯電話の機能がついている手書きの絵を見せて、「こういうものをつくってほしい」といいました。
「なんでオレに会いに来たんだ?」。そういうジョブズに「あなたは手にもって運べる、小さな端末をつくる能力がある。だから新しい時代の携帯電話をつくってほしいんだ」と答えた。すると彼はニコッと笑って「オマエはクレイジーだ。でもそんなクレイジーなオマエが好きだ」と。
私はそのとき知らなかったが、ちょうどAppleでiPhone開発の極秘プロジェクトチームが発足したばかりだった。それを知っているのはジョブズも含め社内のほんの5〜6名。外部にはいっさい情報が出ていなかった。そんなときに「新しいモバイル端末をつくってくれ」といってきたんだから“クレイジー”というわけです。
私とジョブズは手を組むことになり、ソフトバンクがiPhoneを独占販売できることになった。私はそういう武器を手にしていたからこそ、2兆円を賭ける勝負に出られたのです。
「なんでオレに会いに来たんだ?」。そういうジョブズに「あなたは手にもって運べる、小さな端末をつくる能力がある。だから新しい時代の携帯電話をつくってほしいんだ」と答えた。すると彼はニコッと笑って「オマエはクレイジーだ。でもそんなクレイジーなオマエが好きだ」と。
私はそのとき知らなかったが、ちょうどAppleでiPhone開発の極秘プロジェクトチームが発足したばかりだった。それを知っているのはジョブズも含め社内のほんの5〜6名。外部にはいっさい情報が出ていなかった。そんなときに「新しいモバイル端末をつくってくれ」といってきたんだから“クレイジー”というわけです。
私とジョブズは手を組むことになり、ソフトバンクがiPhoneを独占販売できることになった。私はそういう武器を手にしていたからこそ、2兆円を賭ける勝負に出られたのです。
いまから2年ちょっとで人工知能は人間を超える
―Q3 「人間より賢い人工知能が出現するのは、まだ先のこと」。そう思っていませんか。
そう思っているなら、間違いです。「スマホは普及しない」という予想と同じぐらい、間違っています。私は20年前に人間より賢い人工知能が出現する時期を計算してみました。計算するのは難しくない。コンピュータは2進法で機能している。一方、じつは脳細胞の働きも2進法。ニューロンがくっついた・離れたの2つで記憶したり、計算したりしている。
だとすると、脳細胞に入っているニューロンの数と、ワンチップに入っているトランジスタの数とが同じになるとき、人間と人工知能は同等になるはず。それはいつか。計算結果は2018年でした。4年前、ソフトバンクが新ビジョンを出すときにもういちど計算してみました。やはり2018年でした。あと2年ちょっとです。
だからソフトバンクは人工知能の分野に積極的に進出していきます。その先兵となるのがPepper。そう、私たちが開発したスマートロボットです。
だとすると、脳細胞に入っているニューロンの数と、ワンチップに入っているトランジスタの数とが同じになるとき、人間と人工知能は同等になるはず。それはいつか。計算結果は2018年でした。4年前、ソフトバンクが新ビジョンを出すときにもういちど計算してみました。やはり2018年でした。あと2年ちょっとです。
だからソフトバンクは人工知能の分野に積極的に進出していきます。その先兵となるのがPepper。そう、私たちが開発したスマートロボットです。
―Q4 「あの人はロボットみたいな人間だ」。どんな人をイメージするでしょう。
たぶん、決められた動作やセリフを機械的に繰り返すような人を想像したでしょうね。しかし、私はそんなロボット像を変えていきたいと思いました。「ロボットに感情をもたせてやりたい」と。
しかしほとんどの科学者・技術者は「そんなことはできない」といいます。感情は動物に固有のものであると。最初にPepperを発表するプレゼンで「Pepperに心をあげる」と宣言しようとしていたら、部下が勝手にトークスクリプトから外してしまった。私は「いや残せ。オレはいいたいんだ。やるんだ」と、社内ですら戦ったことをおぼえています。ほんの1年前のことですよ。
しかし、2015年6月。ついに我々は世界初、人類史上初、ロボット史上初、心をもつロボットを発明したと発表しました。
しかしほとんどの科学者・技術者は「そんなことはできない」といいます。感情は動物に固有のものであると。最初にPepperを発表するプレゼンで「Pepperに心をあげる」と宣言しようとしていたら、部下が勝手にトークスクリプトから外してしまった。私は「いや残せ。オレはいいたいんだ。やるんだ」と、社内ですら戦ったことをおぼえています。ほんの1年前のことですよ。
しかし、2015年6月。ついに我々は世界初、人類史上初、ロボット史上初、心をもつロボットを発明したと発表しました。
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