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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社ワールドコーポレーション 代表取締役 小林 良

20代の技術者不足に泣く業界の救世主

ものづくり復権の時代をヒトの面から支えていく

株式会社ワールドコーポレーション 代表取締役 小林 良

※下記はベンチャー通信62号(2016年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
ワールドコーポレーションの快進撃を支える組織戦略の立役者が統括本部長の柴田氏だ。代表の小林氏から全幅の信頼を得て営業と人事の両部門で陣頭指揮をとる。温和なトップと熱血指導するNo.2という、好対照かつ人材育成に効果的な役割分担。2011年の入社以来、業界No.1を目指す組織変革を着実に進めている。「攻めの人事」を掲げる同氏に若手人材の育成法について聞いた。

スピード成長を促す 3ステージのビジネス勉強会

―柴田さんが現在進めている「攻めの人事」について、内容を具体的に教えてください。 

 まず2013年から人材採用と育成の方針を大きく見直しました。それまでは主に業界経験者を採用していたのを未経験者中心に転換。2年間で内勤社員を35名増員し、若い人材を中心に組織の活性化を図りました。

 そして、入社した人材を徹底的に研修で鍛えあげることで早期に戦力化。2年間研修してきた若手社員が成長し、幹部候補ポストに多数登用できました。入社1~2年目の次課長クラスがゴロゴロいます。

―どんな研修なのですか。

 著名な一流の経営者の事例や一流の戦略論、また企業の成功例から失敗例に至るまでを主にビジネス書を通じて学び、ディスカッションする勉強会を開いています。いまは学ぶ内容ごとに「ステージⅠ」「ステージⅡ」「ステージⅢ」にわけて実施。Ⅰは主に「リーダーシップ」。ここで経営幹部になるための方法を学ぶ。Ⅱが「マネジメント」。管理職としてのあり方を学ぶ。Ⅲが「一般社員」で、社会人としての基礎を学ぶものです。

 最近の教材は、ステージⅠだと日本電産の創業者・永守氏の著作を通して経営哲学を学んだり、他にはリクルート社の創業から現在に至るまでの様々な歴史と事例、またその企業家精神とビジネスモデルについて。ステージⅡは松下幸之助の元側近が書いた『上司の哲学』やドラッカーの『マネジメント』。ステージⅢは特定の本を学ぶのではなく、社会人としての基本的な心構えと考え方を徹底して学ばせています。

 基礎から入って次に組織を動かすための方法を学び、最後にリーダーシップとして「生存競争に勝ち抜くために必要なスキル」などを学びます。つまりリーダー研修の場合、リスクもあるが、ときと場合によっては効果が高い手法も学び、常に成功例と失敗例を疑似体験させながら、実戦に繋げるというのが研修の目的です。

過去の成功体験を捨て変化に対応できるリーダーが必要

―昇進していくごとにステージがあがっていくわけですね。

 いいえ。「管理職だからステージⅡ」などと決まっているわけではないんです。参加は志願制ですが、部門を問わず、全員が意欲的に参加しています。一般社員のうちから、常に自らが管理職になった時を想定し、準備させることが大事ですから。どのステージ研修に参加するのか決めるのも、そしてステージ修了を判断するのも私ですが、研修ステージには、社内での役職は一切関係ない。「彼はなんの役職もないが、見どころがあるな」と思えばⅡやⅠを受講させることも。その逆もありえます。とくに中途入社者にはステージⅢから参加させ、会社のビジョンを共有させ、意識を向上させることに努めています。

―中途採用者はすでに社会人としての基本を身につけているのではありませんか。

 ええ。でも、会社のビジョンや考え方はそれぞれ異なるので、他社で身につけた「社会人としての基本」が当社でのそれと同じとは限らないんです。たとえば当社では「数字の結果は後からいくらでもついてくる」と考えています。しかし、「営業は結果がすべて」という会社もありますよね。事実、私がかつて在職した会社も「結果がすべて」の考え方でした。

 それ自体は決して間違っていませんが、当社のようなベンチャー企業において、将来に渡って会社と個人が成長し続けるには、プロセスも重要視した教育と評価をせねば、いずれ組織としては脆弱となり、個人プレーヤーの集合体となってしまうリスクもあります。

 まずは、「結果至上主義」の原則の前に、こうした考え方を植え付けておかねば、苦境でも乗り越えられるような、本当の強いリーダーにはなれないと考えています。また、「前職で管理職だった」といっても、過去の実績はすごいがそこからの成長が止まるケースもあります。たまたま景気のいいときに高い成績をあげ、あとは競争を避けて20代30代をやり過ごした─。そういう人は、自分を高める力を、イチから鍛えなおす必要があります。

―そこまでリーダー育成にこだわる理由はなんでしょう。

 「業界で圧倒的No.1の地位を築く」ことを目指しているからです。いまは東京が主戦場ですが、次のステージは全国展開になると思います。各エリアにリーダー格が必要ですし、それぞれ従来のやり方で解決できない課題に直面するでしょう。ときには過去の成功体験を捨て、リスクを承知のうえで重い意思決定ができるリーダーが多数、必要なんです。

―研修への社員の参加意欲は高いのでしょうか。

 はい。下のステージを修了してから上に行くのが基本ですが、自ら挙手すれば “飛び級”もありえる。今年入社でステージⅢを受講していた若手全員が、「早くステージⅠに行きたい」と手をあげました。私が日ごろから「いつでも部門長や支店長になったつもりで働き、早く成長して、常に貪欲に上のポストを目指しなさい」と言っている通りに行動してくれています。

学歴や職歴は参考程度 意識の高い人材を採用

―なぜ、そんな成長意欲の高い人材が柴田さんのもとに集まるのですか。

 一番の理由は、そういう人材を中心に、私が選んで採用しているからですね。採用面接で何時間もホンネで話したときの顔つきと反応を最重要視していて、学歴や職歴は参考程度。熱意があるか、ギブアップしなさそうか、積極性や向上心、上昇志向はあるかなど、そういったところを重点的に見ています。

 一見、物静かに見えるタイプでも、熱意をうちに秘めているかどうかはホンネで話せばわかります。入社後、うちのモチベーションの高い周りの人材に感化されて、闘志をおもてに出すようになったケースもありますね。

―面接ではどんな話をしていますか。

 たとえば「10年後に君が私の年齢になったら、私がいまやっているNo.2のポストについて会社の成長を牽引してくれ」と。私はいま37歳。8年後の45歳でリタイアするのが目標なんです。

―ずいぶん早く身を引くつもりなんですね。理由を教えてください。

 前職の大手通信機器販売会社の社長の影響が大きいですね。当時、私は社長直轄の部門で新規事業の立ち上げを目指していました。その社長が常に私たち幹部社員に言っていたことがあります。「60歳までじっくり働こうなんて思うから、成長のスピードが落ちるんだ。俺は45歳までと決めて、人の何百倍も仕事をして、あとは若い後継者にチャンスを与えて身を引くんだ」と。

 その会社に入る前、私は人材系上場企業で営業として高い成績をおさめたことが認められ、最年少の営業部長になった経験がありました。自己成長への意欲は高いほうだと思っていたのですが、前職の社長の言葉を聞いたときに、とても強い衝撃を受けましたね。彼と同じように、自分の仕事人生をもっと中身の濃いものにするために、「45歳」という区切りを設けて、自らを追い込もうと決めました。

 それに、私が50歳・60歳まで同じポジションにいすわろうと思ったら、もしかすると、若手に古い考えを押しつけたりして、若手のチャンスと成長の可能性をとめてしまいそうな気がする。そのリスクは自ら排除すべき。そう考えているんです。

「建設業界の人事部」となり社会に貢献していく

―建設分野に関心のある若手人材へメッセージをお願いします。

 建設業界の景気動向は2020年以降も多少の上下はあっても、将来にわたって少子高齢化による人材不足は深刻な課題であり、当社はその問題を解決する役割を担い続けます。将来の担い手が減少傾向のなか、これから将来にわたって、仕事人生をまっとうするのにふさわしい。インフラ整備や、維持・更新工事など、安定した需要が見込める一方で、最大の課題が人手不足なんです。新たな技術者が就職・定着しないまま高齢化が進み、就業者数が減少しているんです。

 その状況にあって当社は「建設業界の人事部」を自負。若手の文系かつ未経験の人材を採用・育成して人手不足の解消に貢献しています。当社の果たしている役割、ビジョンに共感する人、存分に成長したい人。ぜひ面接でお会いしましょう。
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