INTERVIEW 業界別起業家インタビュー
修羅場を何度も乗り越えた“プロ起業家”が語る「人生と仕事」においてもっとも大切なこと
“未踏峰”を一緒に志す仲間を探せ
株式会社U-NEXT 代表取締役社長/株式会社USEN 取締役会長 宇野 康秀
※下記はベンチャー通信64号(2016年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
逃げない自分をつくる方法
―信頼できる仲間を集めても組織化できなければ力は半減します。組織づくりにおいて大切にしていることを聞かせてください。
社員同士が仲良くすることです。今年の入社式でも新社員に「とにかく仲良くしなさい」と話しました(笑)。
実際、仲の良さは生産性と深い関係があるようです。アメリカのある有名企業が生産性の高いチームと低いチームを調査したときのことです。知能指数や技術力など、生産性と関係ありそうなあらゆる要素をデータ分析したのですが、たったひとつのことをのぞいて、法則性はなかったそうです。その「たったひとつのこと」とは、うまくいっているチームはよく一緒に飲みにいくことでした(笑)。
実際、仲の良さは生産性と深い関係があるようです。アメリカのある有名企業が生産性の高いチームと低いチームを調査したときのことです。知能指数や技術力など、生産性と関係ありそうなあらゆる要素をデータ分析したのですが、たったひとつのことをのぞいて、法則性はなかったそうです。その「たったひとつのこと」とは、うまくいっているチームはよく一緒に飲みにいくことでした(笑)。
―興味深い結果ですね(笑)。
飲むことがすべてだと言いませんが、仕事が終わっても一緒に楽しい時間をすごせるくらい仲良くすることが、生産性を高める一番の方法なんでしょうね。仲良くしようという意識は、結果的におたがいの長所や良さを伸ばし、目的意識の統一化につながりますから。
もちろん、必要以上にベタベタしたり、強制的な社員旅行があるとか、そういうことではありません。会社組織における仲の良さとは、お互いの価値観を共有する文化が存在するか、がんばった成果をたたえあう社風があるかといったことがポイント。制度や仕組みではつくれません。
入社式では同時に「きみたちが来た(U-NEXTという)ところは戦場だからな」とも話しました。
もちろん、必要以上にベタベタしたり、強制的な社員旅行があるとか、そういうことではありません。会社組織における仲の良さとは、お互いの価値観を共有する文化が存在するか、がんばった成果をたたえあう社風があるかといったことがポイント。制度や仕組みではつくれません。
入社式では同時に「きみたちが来た(U-NEXTという)ところは戦場だからな」とも話しました。
―その意味を教えてください。
U-NEXTが目指しているのは新しい価値をつくること。それは世の中に対して戦いを挑むことでもあるからです。戦いですから、目標は高く設定し、しかもスピーディーにコトを進めなければいけません。
それに、社会に対して、新しい価値がもたらす変化を阻止したい既得権益に対して、あるいは競合に対して、戦う意識で仕事をしなければ新しい価値はつくれないし、戦友のような強い仲間意識も生まれません。
それに、社会に対して、新しい価値がもたらす変化を阻止したい既得権益に対して、あるいは競合に対して、戦う意識で仕事をしなければ新しい価値はつくれないし、戦友のような強い仲間意識も生まれません。
―そうした厳しい戦いから逃げない自分になるためには、どうすればいいですか。
わが身を振り返って言えば、あまり考えないことが大切だと思います。
私は山登りもするんですが、山の頂上を目指して登り始めると途中ですごくつらくなっても「登るのをやめて引き返そうかな」なんて考えないんですよ。登ることしか考えない。事業においても、自分の明確な目標が決まったら、それしか考えないようにしています。
それに、一回挑戦してダメだったら仲間と一緒にまた挑戦すればいいだけなんですから。
私は山登りもするんですが、山の頂上を目指して登り始めると途中ですごくつらくなっても「登るのをやめて引き返そうかな」なんて考えないんですよ。登ることしか考えない。事業においても、自分の明確な目標が決まったら、それしか考えないようにしています。
それに、一回挑戦してダメだったら仲間と一緒にまた挑戦すればいいだけなんですから。
エベレストより未踏峰を行け
―U-NEXTにおける今後のビジョンを聞かせてください。
No.1になることです。当社がプレーしている市場には国内からも海外からも多くの企業が参入し、激しい競争が繰り広げられています。そこを勝ち抜き、No.1になることが当面の私たちの目標であり課題です。
それと、世界のどこにもない会社になりたいですね。山の話になりますが、世界最高峰はエベレストで、いずれ登ってやろうと思っているんですが、企業経営におけるエベレストとは売上規模という高さの追求なんでしょうね。でも、エベレスト以外にも世界には8000m超の山はたくさんあり、そうした山のなかには誰も登ったことがない未踏峰がいくつもあるんです。エベレストの頂上にはたくさんの登山家が到達しました。それより、ルートがない、誰も登ったことがない山を目指したい。事業はもちろん、従来の組織論にとらわれない新しい組織をつくったり、意思決定のプロセスなど会社という形態の固定観念すらも変えてしまいたいですね。
それと、世界のどこにもない会社になりたいですね。山の話になりますが、世界最高峰はエベレストで、いずれ登ってやろうと思っているんですが、企業経営におけるエベレストとは売上規模という高さの追求なんでしょうね。でも、エベレスト以外にも世界には8000m超の山はたくさんあり、そうした山のなかには誰も登ったことがない未踏峰がいくつもあるんです。エベレストの頂上にはたくさんの登山家が到達しました。それより、ルートがない、誰も登ったことがない山を目指したい。事業はもちろん、従来の組織論にとらわれない新しい組織をつくったり、意思決定のプロセスなど会社という形態の固定観念すらも変えてしまいたいですね。
―最後に、いまの時代を生きる若者へのメッセージを聞かせてください。
私が起業した頃と違い、いまはITの進歩などで制約が少なく、環境も整備されています。いろんなことができる時代なんです。ですから、ひとつに絞らず、あれもやりたい、これもやりたいと、全部かなえればいいと思います。私自身、起業したい、映画もつくりたいと、一つひとつ夢をかなえ、いろんな事業もやってきたんですが、気づくともう人生の折り返しを過ぎた52 歳。25歳からいろんなことに挑戦して急いで生きてきた自分でも、まだかなえていないことのほうが多い。本当に時間がたりない。
ですから、おっさんの言い回しになってしまいますが(笑)、1日1時間をムダにしないでほしい。時間はいくらあってもたりません。52歳なんて、ほんとうにあっと言う間なんですから。
ですから、おっさんの言い回しになってしまいますが(笑)、1日1時間をムダにしないでほしい。時間はいくらあってもたりません。52歳なんて、ほんとうにあっと言う間なんですから。
PROFILE
プロフィール
宇野 康秀(うの やすひで)プロフィール
1963年、大阪府生まれ。1988年に明治学院大学法学部を卒業し、株式会社リクルートコスモス(現:株式会社コスモスイニシア)を経て、1989年に株式会社インテリジェンスを設立し、代表取締役に就任。1998年、父の急逝を受けて株式会社大阪有線放送社(現:株式会社USEN)の代表取締役に就任。2010年、株式会社USENの代表取締役社長を辞任し、同社から会社分割された株式会社U-NEXTの代表取締役社長に就任。経営にかかわった3社すべてが株式上場を果たす。トライアスロンや登山家としても活躍し、 2015年にトライアスロンの世界選手権大会日本代表に選出され完走。2013年にはヨーロッパアルプス最高峰のモンブラン、2015年にはアフリカ大陸最高峰のキリマンジャロの登頂に成功。
株式会社U-NEXT 企業情報
設立 | 2009年2月 |
---|---|
資本金 | 17億7,634万円 |
売上高 | 339億6,400万円(連結:2015年12月期) |
従業員数 | 407名(2015年12月31日現在) |
事業内容 | コンテンツプラットフォーム事業(映像配信サービス「U-NEXT」の企画開発・運用・マーケティング)、コミュニケーションネットワーク事業(光ファイバー・LTEなどのネットワーク回線・ISPなどのマーケティング) |
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