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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社アクアバンク 代表取締役 竹原 タカシ

創業以来、前年比150%以上の成長を続けるヘルスケアベンチャー

独自の技術・発想力を駆使して人類の健康寿命を延ばしたい

株式会社アクアバンク 代表取締役 竹原 タカシ

ウォーターサーバー『Aqua Bank』のレンタル事業を展開しているアクアバンク。業界における従来の発想とはまったく異なるビジネスモデルを展開し、2011年の創業以来、前年比150%以上の成長を続けている。いったいどのような事業を行っているのか。日本にとどまらず、アメリカやインドネシア、シンガポールなど、すでに海外展開も行っているという同社代表の竹原氏に、ビジネスモデルの詳細や事業にかける想い、今後のビジョンなどを聞いた。
※下記はベンチャー通信65号(2016年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

「水」を売るのではなく 「健康」を届けるビジネスモデル

―近年、ウォーターサーバーを取り扱う会社は増えています。他社との違いはなんでしょう。

 そもそも、事業体がまったく異なります。一般的にウォーターサーバーを取り扱っている会社の多くはウォーターサーバーを設置し、タンクの水がなくなれば新しいタンクを運んできて取り替える。つまり水を売っているんです。ウォーターサーバーは、水を販売するためのツールにすぎません。

 一方の当社は、水をつくらないし、運ばないし、そもそも販売していません。水道水から独自の技術でミネラル水素水をつくるウォーターサーバーのレンタルを行っている会社なのです。

 水道水をろ過する方法として浄水器がありますが、ウォーターサーバーなら比較的コストを抑えつつ、熱いお湯や冷たい水がすぐに利用できます。いわば、浄水器とウォーターサーバーのいいところをドッキングさせたのが当社の商品だといえるでしょう。

 わざわざ水を発注して買わなくていいし、タンクをセットする手間や予備を置くスペースもいらない。しかも、元は水道水なので使い放題。飲むだけでなく、顔を洗ったり料理に使ったりといった用途にも躊躇することなく使えます。それを月額制で提供しているのです。

 5年前からレンタルを開始。最初の2年くらいは比較的ゆるやな設置台数の伸びでしたが、3年目くらいから上昇。現在では、昨年の設置台数が過去の設置台数の累計より多いくらいです。お客さまの割合としては、個人が7割で法人が3割ですね。

―設置台数の伸びが上昇している要因はなんですか。

 ひと言でいうと、安心感が増したのでしょうね。長期にわたって使用するお客さまが増えていったことにくわえて、『Aqua Bank』がつくるミネラル水素水の(※)エビデンスを第三者から得た点。さらに、特許を取得したことも信頼の獲得につながりました。また、ファイナンスもしっかりしてきたことで、広告宣伝費や開発にも多くの予算が回せるように。さらに、大手代理店との取引も増え――といったさまざまな相乗効果により、設置台数の飛躍的な上昇につながったのです。
※エビデンス : 証拠・根拠、証言、形跡などを意味する

消費財となった飲料水を再びインフラに戻す

―そもそも、このようなビジネスを始めたきっかけを教えて下さい。

 まず、前提として「健康への原点回帰」への想いがありました。いまの日本人は平均寿命が長いですが、病気などにかかってベッドに臥している状態のような「不健康寿命」も含まれているわけです。しかも、これから日本は少子高齢化問題がどんどん深刻化していく。ではどうすればいいのか。当社としては、「いいものを身体に取り込むことで、元気になろう」というところを目指しているのです。

 結果として、たとえば高齢者の方が病気にならなければ医療費の負担も減る。いまは、携帯通信機器を利用して医療健康サポートを行うモバイルヘルスが注目されていますが、私は目に見えるモノでヘルスケアに取り組んでいきたいと考えたのです。

 なかでも水は「人間の60%が水分でできている」といわれるほど、身体の根本となるもの。ならば、いい水を摂取し続けることが健康維持にとっても大切なはず。そこで調べてみると、すぐに熱いお湯と冷たい水が出るウォーターサーバーを使って水を買っている人が増えているという現状を知り、私もウォーターサーバーに取り組んでみることにしたのです。

―なぜ、水を販売するのではなく、水道水をろ過するという発想にいたったのですか。

 ひと昔前は、水道水は普通に飲まれていました。それが、いつの間にか水は買うのが当たり前という時代になった。かつてはインフラだった水(飲料水)が、消費財に替わってしまったんです。それなら、水道水を飲めるようにろ過するウォーターサーバー自体をインフラにすることで、再び水をインフラに戻せないかと考えたのです。

幅広く事業を展開することで大きなインパクトを提供

―今後のビジョンを教えてください。

 いまはウォーターサーバーのレンタル事業を展開していますが、あくまでも入口にすぎません。この事業を皮切りにさまざまな健康に関する商品やサービスを提供し、人類の健康寿命を延ばすことが究極の目標です。

 当社は他社に比べて月額のコストを抑えているのですが、あえて利益を削った価格設定にしています。なぜなら、ウォーターサーバー事業だけで利益を得ようとは考えていないからです。ウォーターサーバーをインフラにして、さまざまなヘルスケア事業を展開することで、より大きなインパクトを提供していこうと。

 ウォーターサーバーに水道水を注ぐというビジネスモデルでは当社はトップシェアですが、それも強気の価格設定が奏功したのです。今後も、たとえばウォーターサーバーのレバーを押すごとに(※)デジタルサイネージがポップアップされるような施策を行うことで、さらに価格を抑えることが可能。また、さらなる資金調達のため、2019年のIPOを視野に入れています。そうした取り組みを行っていくことで、一気にシェアを取っていこうと考えています。
※デジタルサイネージ : 屋外・店頭・公共空間・交通機関など、あらゆる場所でディスプレイといった電子的な表示機器を使って情報を発信する広告媒体

「必要は発明の母なり」この想いを胸に開発を進める

―健康に関する分野で、具体的にどんな事業を検討していますか。

 さまざまなカートリッジを組み合わせて、個々の用途に合った水をつくる『マイウォーター』というプランを特許申請中です。たとえば赤ちゃんのミルクをつくる水と、高齢者が必要とする水は異なりますからね。水を飲む人ごとの遺伝子検査やライフスタイルの分析を通じて、テーラーメイドの水を提供しようとする取り組みです。

 また、水道水の殺菌にも取り組んでいます。もともとウォーターサーバーの菌対策に使おうと思っていたのですが、これが中国の一部地域など、飲料として使えないアジアの水道に役立つんじゃないかと。

 当社の社是に「必要は発明の母なり」というエジソンの言葉があります。この精神をもって、これからもさらなる研究・開発を進めていきます。そのためには、柔軟な発想をもった若い力が必要。今年からインターンを採用し、来年から新卒採用も行う予定です。まだまだベンチャー企業ですので、さまざまなチャレンジが可能。意欲のある人は、ぜひ当社の扉をたたいてほしいですね。

さらなる市場の開拓には販売代理店の力が必要不可欠

―最後に、事業を拡大させていくための販売戦略を教えてください。

 やはり、当面はウォーターサーバーを全国展開させていき、早期にインフラを構築していくことが優先されます。そのためには、まだまだ十分なリソースをもたない当社にとって、販売代理店の力が必要不可欠です。現在、全国で大小あわせて約140の販売代理店と契約を結んでおり、それをさらに拡充していこうというのが今後の戦略です。

 当社のウォーターサーバーは他社と差別化ができているオリジナル商品なので、販売代理店の方からは「売りやすい」という声をいただいています。また、在庫を抱えなくてよいため、副業など簡単に始めることが可能。さらに配送や集金といった業務も必要ないため、お客さまへの提案に集中することができます。

 今後は市場がどんどん拡大していくことが予想され、既存のウォーターサーバーからのリプレイスも期待できます。リスクを排除した仕組みを構築していますので、ぜひ当社と一緒に新たな市場を開拓していただきたいですね。
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