累計経営者579人に取材、掲載社数332ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを紹介

著名起業家インタビュー

株式会社LIFULL 代表取締役社長 井上 高志

著名起業家真の経営人材の育成が企業に持続的成長をもたらす

株式会社LIFULL 代表取締役社長 井上 高志

世間に広く普及した中核事業の名称ばかりか、創業以来慣れ親しんだ社名の変更まで大胆に決断。その傍らでは、新規事業が次々と立ち上がり、新たな経営人材を生み出していく。国内最大級の不動産・住宅情報サイトを運営するLIFULL(ライフル)はいま、組織のカタチを大きく変えながら、果敢に挑戦し続けている。その成長を可能にしているのは、グループを率いる代表・井上氏が掲げる独自の組織・人材育成哲学にほかならない。成長を続ける強い組織の条件とはなにか。同氏に聞いた。

※下記はベンチャー通信73号(2018年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

「会社をつくる」と「社長を生む」は似て非なること

―2017年4月に社名・ブランド変更を決断しました。背景を教えてください。

 創業以来、「利他主義」を社是に掲げ、「常に革進することで、より多くの人々が心からの『安心』と『喜び』を得られる社会の仕組みを創る」というビジョンを大切にしてきました。このビジョンをどのように実現するか。それを、常に考え続けてきたのが当社の歩みです。近年、力を注いでいるグローバル展開や新規事業領域の開拓は、まさにその文脈で導き出した戦略です。この戦略を推し進めるために、多角化した事業に求心力とシナジーをもたらすブランド統合や社名変更は必然的なチャレンジでした。

―たしかに、最近の多角化戦略の成果は目覚ましいですね。

 弊社は「2025年までに100社・100ヵ国」という高い目標を掲げていますが、グループ会社が14社、持ち分法適用会社も含めれば出資先は23社に増え、海外展開は2018年10月には63ヵ国まで広がる予定です。事業拡大は、新規事業提案制度「SWITCH」の改善を重ね、より多くの社員がその機会を活かしチャレンジしてきた成果でもあります。提案機会を年2回から6回に増やし、事業プランのブラッシュアップを支援する仕組みも構築。さらに、多くの事業に分散して出資し、事業の多産を支援。現在では、「SWITCH」を社外に公開し、オープンイノベーションで事業創出に取り組み、大学生が最優秀賞を獲得したこともあります。これらの結果、年間150~160件の有望な提案が寄せられるようになりましたね。

―新規事業を育てるうえで、心がけていることはありますか。

 最初の出資金以外は、すべて子会社の「経営者」の自由に任せることです。経営者は、事業だけでなく、人事や財務など、すべてにおいて常に会社の命運に関わる意思決定をし続けます。自由に任せることで失敗もあるかもしれませんが、私自身、資金もスキルもないところから起業し、多くの挑戦と失敗を繰り返して会社とともに成長してきました。経営者とは、七転八倒し、試行錯誤しながら、創意工夫で事業や会社をカタチにしていくもの。世の中のスタートアップはみな、こうした厳しさを経験しています。この厳しさを経験しない温室育ちの経営者をいくら輩出しても、事業や会社を持続的に育てることなど決してできないと考え、あえて支援をせずに自由に挑戦してもらっています。

―「育ての親」としては、忍耐が求められますね。

 ええ。親が助言し手助けする方が、短期的には事業の成功確率は上がります。しかし、それでは真に力ある経営者は育たない。単にグループ会社をつくることと、社長を生み出すことは、似て非なること。当社では長期的な視点で経営者と事業の成長に投資をしています。

経営者に求められるのは志の高さ

―井上さんはかねてより、「100社、100人の社長を生み出す」と公言しています。経営者の輩出にこだわる理由はなんですか。

 多くの経営者を輩出し、連邦国家のような自律分散型のグループ構造をつくることが、企業を持続的に成長させる方法だと考えているからです。長い時間軸で見た時に、一人ですべてを舵取りできる天才的な経営者が指揮するピラミッド構造の組織は、永続しません。

 また、なによりも、「あらゆるLIFEを、FULLに。」というビジョンを掲げる当社である以上、社員にとって幸せな環境でなければならない。社員にとっての幸せとは、「内発的な動機」が満たされることだと、私は考えます。自らの志に向かい、思い切り挑戦し、社員が心から働くことを楽しめるような会社でありたい。当社が経営者を積極的に育てる狙いがここにあるのです。

―最後に、ベンチャー業界や経営者をめざす若手人材にメッセージをお願いします。

 今後、AIの発達で働き方は大きく変わっていきます。単純労働を時間単位で切り売りするような働き方は消えゆき、個々人が創造性を発揮し、互いの発想を化学反応させていくことに労働の価値が見出されていくでしょう。いずれ、会社や国の枠を超え、そうした化学反応は広がっていく。そのコミュニティの核となるリーダーに求められるのは、志の高さです。ハイパフォーマーたちを惹きつけるのは、報酬でも待遇でもない。「志」への共感です。すでに、そうした現象が世界各国で起こり始めています。若者には、「その会社や事業をなんのために興すのか」「社会をどのように変えていきたいのか」といった志を高く持ち、挑戦してほしいですね。

井上 高志(いのうえ たかし)プロフィール

1968年、横浜市生まれ。青山学院大学卒業後、株式会社リクルートコスモス(現:株式会社コスモスイニシア)入社。株式会社リクルート(現:株式会社リクルートホールディングス)を経て、26歳で独立し、1997年に株式会社ネクスト(現:株式会社LIFULL)設立。2010年に東証一部上場。代表取締役社長のほかに、AI戦略室長も兼任。また、新経済連盟理事、一般財団法人「NEXT WISDOM FOUNDATION」代表理事、一般社団法人「21世紀学び研究所」理事、一般社団法人「Living Anywhere」理事も務めている。

企業情報

設立 1997年3月
資本金 39億9,900万円
売上収益 159億4,800万円(2017年9月期)
従業員数 1,251名(連結:2018年3月末現在)
事業内容 不動産情報サービス事業、その他事業 
URL https://lifull.com/

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