INTERVIEW 業界別起業家インタビュー
インバウンド市場に特化した流通の支え手
世界につながる商流に変革を起こし日本の魅力を広めたい
株式会社AIR-U 代表取締役 田中 康之助
Sponsored 株式会社AIR-U
東京オリンピック・パラリンピックの開催決定が追い風にもなり、インバウンド市場の拡大が続いている。こうしたなか、SIMカードの法人向け卸売事業などを手がけるAIR-Uは、訪日外国人市場に特化した販売網を構築し、通信事業者のインバウンド戦略を流通、営業の両面で支えている。「今後は取り扱い商品・分野を積極的に増やしていきたい」と語る代表の田中氏に、同社の強みや、今後のビジョンなどについて聞いた。
※下記はベンチャー通信75号(2019年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
渡航前の訪日外国人にもアプローチできる
―事業概要を教えてください。
主力は、スマートフォンで使うプリペイドSIMカードを訪日外国人市場に供給する卸売事業です。具体的には、大手通信キャリアやMVNO(※)から仕入れたSIMカードを、空港カウンター事業者様や旅行代理店様、ホテルなどの大手各社に卸しています。さらに、海外代理店様を経由することで、海外の空港カウンター事業者や小売店まで販売網を広げています。訪日外国人は、渡航前に自国でSIMカードを購入することが多いので、海外に販売網をもつことは、インバウンド需要を取り込むに当たっての強みとなっています。
さらに当社では、メーカー側に対して販路を提供するだけでなく、卸先と連携し、メーカー側に対する営業支援も行っています。
さらに当社では、メーカー側に対して販路を提供するだけでなく、卸先と連携し、メーカー側に対する営業支援も行っています。
※MVNO: 他社から無線通信インフラを借り受け、独自のサービスをくわえて安価に通信回線を提供する事業者。仮想移動体通信事業者
―どのような支援を行っているのでしょう。
たとえば、卸した商品がその後、エンドユーザーにどう使われ、市場からどのような声が上がっているか、といった情報を管理できる仕組みをシステム化し、メーカーに共有しながら、卸先へはシステムを無償で提供しています。市場から吸い上げた情報をリアルタイムに提供することで、通信速度やデータ容量、料金プランなど、需要に合った商品の設計をメーカーに促していくのです。
単にモノを仕入れて卸すだけではなく、メーカーからエンドユーザーまで、人と人を結び、サービスに新しい付加価値を与えることが、当社の役割だと考えています。
単にモノを仕入れて卸すだけではなく、メーカーからエンドユーザーまで、人と人を結び、サービスに新しい付加価値を与えることが、当社の役割だと考えています。
―インバウンド需要に特化してメーカーを全面的に支援しているのはなぜですか。
前職で携わってきた通信分野のノウハウをもっとも活かせるのが、今後拡大するインバウンド市場だと考えたからです。年間の訪日外国人客数について政府は「2030年に6000万人」の誘致を打ち出しています。今後さらに増えていく訪日外国人に、より確実に商品を提供できるよう、当社は現在、卸先となる新たな代理店を開拓しています。これまで注力してきたアジア圏にくわえ、欧米にもパイプを増やしているところです。 今後は、SIMカードの卸売りで構築してきた事業基盤を活かして、通信以外の分野にも積極的に参入していきたいですね。
日本のファンを世界に増やす
―たとえばどのような分野でしょう。
最近では、ヘルスケア系企業と連携し、がんや生活習慣病を手軽に検査できるキットを訪日外国人向けに提供するサービスを開発しました。日本滞在時に宿泊先でキットを使って検査し、帰国後にその結果をWebで見られるサービスです。
数年前に流行語にもなった「爆買い」こそ一段落しましたが、それは消費の対象がモノからコトにシフトしただけで、市場全体の需要は多様化しながらもさらに拡大することに変わりはありません。私たちは、インバウンド市場との接点を押さえた販売網を活かし、訪日外国人需要を取り込みたい企業に事業拡大の機会を提供していきます。
数年前に流行語にもなった「爆買い」こそ一段落しましたが、それは消費の対象がモノからコトにシフトしただけで、市場全体の需要は多様化しながらもさらに拡大することに変わりはありません。私たちは、インバウンド市場との接点を押さえた販売網を活かし、訪日外国人需要を取り込みたい企業に事業拡大の機会を提供していきます。
―最後に、今後のビジョンについて聞かせてください。
モノやサービスの提供を通じ、グローバル市場に広く日本の魅力を伝えられる企業になりたいです。国内市場が縮小するなか、企業はグローバル需要をいかに取り込むかが喫緊の課題となっています。訪日外国人に、商品やサービス、さらには日本そのもののファンになってもらうことは、グローバル需要を取り込む施策のひとつにもなります。当社は、これまで築いてきた取引先との関係を強化することで、グローバル市場につながる商流に変革を起こし、世界中で日本のファンをさらにつくっていきたいですね。
企業のインバウンド戦略を支えるAIR-U。ここでは、同社とインターネットイニシアティブ(以下、IIJ)の各担当者を取材。IIJが進めてきたインバウンド事業に弾みがついた事例として、AIR-Uとの協業内容を紹介する。
市場のリアルな声に気づきをえられた
―AIR-Uとはどのような経緯で協業を始めたのでしょう
今井:当社はもともと、訪日外国人向けのプリペイドSIMカードを家電量販店やコンビニなどを通じて販売していました。しかし、当社がもつ販路は国内に限られています。実際に多くの外国人旅行客が事前にSIMカードを購入する海外現地にも販路を広げたいと考えていたところ、海外にも販売網をもつAIR-Uさんと出会い、協業を始めたのです。
実際に協業を始めてからは、インバウンド市場に対するさまざまな気づきもえられています。
実際に協業を始めてからは、インバウンド市場に対するさまざまな気づきもえられています。
―具体的にはどのような気づきをえられたのですか。
今井:たとえば、海外で購入する顧客層と、日本に到着してから購入する顧客層とでは異なるニーズがあることに気づかされました。
高木:当社では卸先を通じてエンドユーザーの声を吸い上げることで、通信速度や付与する機能、料金プランなど、市場のリアルな需要をIIJさんに伝えています。当社が市場との「架け橋」役を担うことで、国内格安SIM市場で大きなシェアをもつIIJさんのインバウンド戦略を流通と営業の両面で補完しているのです。
高木:当社では卸先を通じてエンドユーザーの声を吸い上げることで、通信速度や付与する機能、料金プランなど、市場のリアルな需要をIIJさんに伝えています。当社が市場との「架け橋」役を担うことで、国内格安SIM市場で大きなシェアをもつIIJさんのインバウンド戦略を流通と営業の両面で補完しているのです。
―今後の協業について展望を聞かせてください。
今井:現在、通信業界は5Gの実用化に向かう変革期にあり、当社も「フルMVNO」という新しい技術の開発に注力しています。AIR-Uさんには海外市場の動向もいち早く入ってくるので、そうした情報を当社の商品設計に活かせるよう、協力の幅を広げていきたいですね。
高木:当社から伝えたユーザーの声をIIJさんが迅速に商品に反映し、それを私たちがふたたび市場に提供する。IIJさんとはこうした良好な関係を築けています。インバウンド市場が拡大していくなかで、今後も協力関係を強め、一緒に成長していきたいです。
高木:当社から伝えたユーザーの声をIIJさんが迅速に商品に反映し、それを私たちがふたたび市場に提供する。IIJさんとはこうした良好な関係を築けています。インバウンド市場が拡大していくなかで、今後も協力関係を強め、一緒に成長していきたいです。
■株式会社インターネットイニシアティブ■
設立:1992年12月
資本金:229億7,900万円
営業収益:1,760億5,100万円(2018年3月期)
従業員数:3,344名(連結、2018年9月末現在)
事業内容:インターネット接続サービス、WANサービスおよびネットワーク関連サービスの提供、
ネットワーク・システムの構築・運用保守、通信機器の開発および販売
URL:https://www.iij.ad.jp/
設立:1992年12月
資本金:229億7,900万円
営業収益:1,760億5,100万円(2018年3月期)
従業員数:3,344名(連結、2018年9月末現在)
事業内容:インターネット接続サービス、WANサービスおよびネットワーク関連サービスの提供、
ネットワーク・システムの構築・運用保守、通信機器の開発および販売
URL:https://www.iij.ad.jp/
AIR-Uが展開する卸売事業はインバウンド市場向けにとどまらない。ここでは、インバウンドとアウトバウンドの双方向に対応した販売網で企業のグローバル展開を支える事例として、同社と香港uCloudlinkの協業内容を伝える。
協業を通じて開拓する市場を日本から海外に広げたい
―会社の概要を教えてください。
郁:当社は香港uCloudlinkの日本現地法人で、Wi-Fiルータやスマートフォンなどの通信端末を日本市場に販売しています。uCloudlinkは「CloudSim」と呼ばれる技術において世界市場で高いシェアをもっています。当社の通信端末はこの技術により、端末内にSIMカードを差し込まなくてもスイッチを入れるだけで簡単にグローバルデータ通信ができるのが特徴です。
田中:当社は、インバウンド市場だけでなく、日本におけるアウトバウンド市場につながる販売網も構築。uCloudlinkさんとの協業では、Wi-Fiルータを日本のレンタル事業者に卸し、日本から海外への渡航者に提供しているのです。
田中:当社は、インバウンド市場だけでなく、日本におけるアウトバウンド市場につながる販売網も構築。uCloudlinkさんとの協業では、Wi-Fiルータを日本のレンタル事業者に卸し、日本から海外への渡航者に提供しているのです。
―AIR-Uとの協業にはどのような効果を感じていますか。
郁:単に販売網を拡大してくれるだけでなく、より効率よく市場に製品を展開できるよう細やかに支えてもらっています。日本の消費者が製品やサービスに求める品質は他国に比べて高く、事業展開の難しさを感じていましたが、AIR-Uさんの協力により、日本市場に合った製品を展開できています。
田中:uCloudlinkさんは世界に誇る高い技術をもっています。当社は、商品の流通を拡大するだけでなく、商品の魅力を最大化して市場に提供することで、企業がグローバル展開を加速させるお手伝いをしていきたいと考えています。
田中:uCloudlinkさんは世界に誇る高い技術をもっています。当社は、商品の流通を拡大するだけでなく、商品の魅力を最大化して市場に提供することで、企業がグローバル展開を加速させるお手伝いをしていきたいと考えています。
―今後の協業方針について聞かせてください。
郁:現在は日本市場向けの事業で協業していますが、今後はAIR-Uさんが海外にもっている販路を活用して、海外から日本へ渡航する旅行者向けにも当社の製品を広めていきたいです。
田中:そうですね。将来はインバウンドやアウトバウンドといったくくりをなくし、uCloudlinkさんの優れた技術をより多くの国に提供できるように貢献していきたいと考えています。
田中:そうですね。将来はインバウンドやアウトバウンドといったくくりをなくし、uCloudlinkさんの優れた技術をより多くの国に提供できるように貢献していきたいと考えています。
■uCloudlink Japan株式会社■
設立:2018年3月
資本金:1億円
売上高:35億円(2018年12月期)
従業員数:28名
事業内容:Wi-Fi端末、携帯端末の製造や販売、グローバルデータ通信の提供など
URL:https://jp.ucloudlink.com/
設立:2018年3月
資本金:1億円
売上高:35億円(2018年12月期)
従業員数:28名
事業内容:Wi-Fi端末、携帯端末の製造や販売、グローバルデータ通信の提供など
URL:https://jp.ucloudlink.com/
PROFILE
プロフィール
田中 康之助(たなか こうのすけ)プロフィール
1975年、福岡県生まれ。1997年に日本大学を卒業後、大手通信事業者に入社。固定回線事業やMVNO事業などに携わる。2017年に株式会社AIR-Uを設立し、代表取締役に就任。
高木 陽介(たかぎ ようすけ)プロフィール
1979年、兵庫県生まれ。2003年に流通科学大学を卒業後、家電量販店に入社。2014年、大手通信事業者に入社し、インバウンド事業などに携わる。2017年に株式会社AIR-Uに就職し、2018年から現職。
株式会社AIR-U 企業情報
設立 | 2017年1月 |
---|---|
資本金 | 995万円 |
売上高 | 18億円(2018年12月期) |
従業員数 | 6名 |
事業内容 | 電気通信事業法にもとづく通信回線利用加入者の募集および利用権の販売促進にかんする代理店業務など |
URL | https://air-u.jp/ |
※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。