
著名起業家 【Best Venture 100 カンファレンスレポート】「コロナ禍」でもピンチはチャンス、こうした変化に必ずニーズは眠っている
株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー 高宮 慎一 / 株式会社トリドールホールディングス 代表取締役社長 粟田 貴也 / KLab株式会社 取締役会長 真田 哲弥
グロービス・キャピタル・パートナーズ代表パートナーの高宮氏をモデレーターとして、KLabの創業者・真田氏とトリドールホールディングス創業者・粟田氏をパネリストとして迎えたトークセッション。「ベンチャー流危機の乗り越え方」をテーマに、真田氏・粟田氏が起業家人生における最大の危機をいかに乗り越え、何を学んだかを高宮氏が深掘る聞き応えある内容となった。
※下記はベンチャー通信82号(2021年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。



経営の危機を迎えても、それぞれ突破口を見いだす
「起業家人生における最大の危機は?」という高宮氏の質問に対し、真田氏は「現在のKLabを設立したとき」と回答。2000年、まだ携帯電話そのものが大して普及していなかった時代に、真田氏は「この手のひらの上に乗る電話機がこれからコンピューティングの中心になる」と予見。その熱い想いをもって、携帯電話向けソフトウェア研究開発部門として、ケイ・ラボラトリーを設立した。しかし、iPhoneが発売されるのはそれから7年経ってからのこと。当時の携帯電話はiPhoneレベルにはほど遠く、「ソフトウェアをつくってもそれを使うハードウェアがない」という状況に。簡単に言うと、早すぎたのである。
一方の粟田氏は、「鳥インフルエンザの流行だ」と振り返った。焼き鳥屋からスタートしたトリドール(当時)は、順調に同業態の店舗を展開。「上場すれば資金が増えて出店スピードがさらにアップする」と考え、着々と上場準備を進めていた。そして、上場まであともう少し……だった2003年に鳥インフルエンザが猛威をふるったのである。顧客がパタッと来なくなり、売上が半減以下という店舗が続出。「上場基準をクリアすることはできない」と、2004年、目の前にあった上場を断念。失意の日々を過ごすことになった。
しかし、そこで終わっていれば現在の両氏はいない。高宮氏の「どう乗り越えたのか」の問いに、真田氏は「受託開発で事業を拡大しつつ、次の転機を待った」。粟田氏は、「創業の焼き鳥業態から、2店舗ほど展開していたセルフうどん業態『丸亀製麺』に主軸を移した」と語った。
やがて真田氏は、ソーシャルゲームが流行り出した2009年に自社でゲームをリリース。それがヒットタイトルになり、同社の現在を築く転機に。そして、2011年に東証マザーズに上場、2012年に東証一部に市場変更した。
一方の粟田氏は、当時建設ラッシュだったショッピングモールに製麺を実演するスタイルの丸亀製麺を出店したところ、大行列に。手応えを感じた同氏は、うどん以外に「店内製麺」というスタイルでラーメン、パスタ、焼きそばと業態を開発し、次々と繁盛店に。2006年、東証マザーズに上場してリベンジを果たし、2008年に東証一部に市場変更した。
想いを共有していれば、メンバーが助けてくれる
このように危機を乗り越えた両氏だが、その最大要因として「メンバーがついてきてくれたから」とクチをそろえる。真田氏は「携帯電話の時代がくる」と熱く語ったからこそ、それに共感した優秀なエンジニアが集まり、後のヒットタイトルにつながった。粟田氏も、焼き鳥屋にこだわらず「お客さまを喜ばせるために、飲食の世界でさらなる成長を遂げよう」という想いを共有したからこそ、店舗の業態が変わってもメンバーがチャレンジしてくれたという。両氏の話から伝わるのは、「何をするかより誰とするか」。そして、「ピンチはチャンス」だ。
最後に、コロナ禍で日本中の経営者がまさにピンチを迎えているいま、両氏の経営者へのメッセージでセッションは終わった。
「コロナによる新しい生活様式は大きな変革であり、ビジネス視点ではチャンス。ぜひ一緒にがんばりましょう」(真田氏)
「こうした苦境のなかでも、消費者は必ず何かを求めて動いている。ですから、ピンチが来ても必ず大きなマーケットやチャンスがあるので、それを掘り当てていくことが大切だと思います」(粟田氏)
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