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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

起業家 / 株式会社メンバーズ 執行役員 池田 朋弘 / 株式会社ストライク 企業情報部 シニアアドバイザー 永岡 清秀

若きシリアルアントレプレナーの事業成長ストーリー

「 M&Aによる成長戦略」という新しい潮流が生まれている

起業家 / 株式会社メンバーズ 執行役員 池田 朋弘 / 株式会社ストライク 企業情報部 シニアアドバイザー 永岡 清秀

現下のコロナ禍にあって、市場の不透明感はさらに増している。こうした状況下で、事業戦略をいかに描くか。成長を加速させたいベンチャー・スタートアップ企業の経営者は、手腕が問われている。そうしたなか、 M&Aによる事業売却を成長戦略のひとつに活用する動きがある。起業家の池田氏もそんなひとりだ。 M&Aを活用した成長戦略とは、どのようなメリットがあるのか。 M&Aを仲介したストライクの永岡氏とともに、詳しく聞いた。
※下記はベンチャー通信82号(2021年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

「ゼロイチ」を生み出すことに、やりがいや楽しさを感じる

―池田さんは、 M&Aによる事業売却を自社の成長戦略に活用したと聞きます。その経緯を詳しく聞かせてください。

池田:私はこれまで、7社の起業に携わってきました。古くは、大学時代に仲間と立ち上げたWebサイト制作ツールの販売会社を皮切りに、卒業後に企業に在籍しながら、2021年までの11年間で7社を起業しました。マーケットの動きをいち早くつかみ、事業のシーズ(種)を生み出す、いわば「ゼロイチ」を生み出すことに、私はやりがいや楽しさを感じるタイプなんです。

 逆に、生み出したシーズをグロース(成長)させる段階については、ほかの人間や会社のほうが最適な環境を用意できるなら、任せるのも、ひとつの選択肢だという考えをもっています。実際、大学時代、起業に参画したベンチャー企業が事業売却によって、大手企業のもとで成長していった姿を見ていましたし、周囲にも同様の事例が多くありました。ですから、私にとっては、成長戦略のひとつとして M&Aは比較的身近な選択肢であり、実際に2つの会社の事業売却を決断しました。

―池田さんのように、 M&Aによって事業を成長させる例は多いのですか。

永岡:近年、増えています。これまで M&Aの目的と言えば、経営者の高齢化などを背景とした事業承継がほとんどでした。しかし、ここ最近はアメリカで活発になっているように、ベンチャー・スタートアップ企業が生み出した事業シーズを、大手企業が買収するカタチで大きく成長させていくケースが日本でも見られるようになりました。ベンチャー・スタートアップ企業にとっても、市場でいち早くデファクトを獲得するために、大手企業のリソースをうまく活用し、成長を加速させることは、非常に合理的な選択です。売却後も経営に関与し続けるケースや、売却後の親会社の経営に参画するケースもあり、経営者としての可能性を伸ばすきっかけになることも。IPOを目指すだけではなく、「 M&Aを活用した事業売却による成長戦略」という新しい潮流が生まれているのだと思います。

信用力の高さで選定。パートナーはストライクに

―実際に、どのように M&Aを決めたのでしょう。

池田:2015年1月に設立したクラウドソーシング事業を手がけるMIKATAを、同年12月には売却することを決め、ストライクさんに相談しました。この時点で私は、2013年に立ち上げたUX事業のポップインサイトという会社と合わせ、2つの会社を経営していましたが、経営リソースをポップインサイト1社に絞ろうと決断したのです。当時、クラウドソーシング市場は年率20%以上の伸びを記録し、MIKATAの事業自体も順調に推移していました。そのため、この成長の波に乗り、さらに事業を伸ばしていくためには、売却して他社に成長をゆだねるのも、事業に携わるすべての人にとって有益だと判断したのです。

永岡:2015年12月の時点で、MIKATAはまだ設立1年にも満たない段階でしたから、かなり早い決断でしたね。当時、イグジット戦略に課題を抱えていたベンチャー・スタートアップ企業が多く、当社としてそうした企業の M&A支援に力を入れ始めていた時期でしたので、いいタイミングで問い合わせをいただきました。

―池田さんが、 M&A仲介パートナーにストライクを選定した理由はなんですか。

池田:ひとつは、信用力の高さです。 M&Aをめぐっては、当社の情報がどのように扱われるかわからない部分があります。ストライクさんは M&A仲介会社として国内大手3社に数えられ、実績と信用力の高さは知っていましたので。

 また、これまでの M&A実績を背景にした、企業とのネットワークの広さも評価しました。売却先をイチから探すうえでは、非常に重要な利点になると考えました。さらに、私の場合、将来の経営構想においても、 M&Aを積極的に活用していく考えをもっていましたので、今回の M&A交渉においては、売却を成就させるだけでなく、専門家の身近で一連の手続きをじっくり学びたいという希望もありました。そのため、会社として実績があり、実務能力にも長けたパートナーを選ぶ必要がありました。そのうえで、親身になって相談に乗ってくれた永岡さんとの個人的な相性も大きかったですね。

一度の頓挫がありつつも、約2ヵ月で交渉妥結

―パートナー選定後、どのように交渉は進んでいったのですか。

池田:私が掲げた条件は大きく3つでした。ひとつは、売却金額。もうひとつは、MIKATAと事業シナジーがありそうなこと。そして最後に、売却後のMIKATAでは私自身が経営に関与しないこと。ストライクさんの支援によって50社ほどの候補先がピックアップされ、このうちNDA(※)を締結した約15社に情報開示、さらに10社ほどに絞って各経営トップとの面談を行うことができました。それら企業のなかには大手企業はもちろん、当初想定していなかった業種・業態の企業からのオファーもあり、交渉を進める過程で、自社の事業の価値や将来性を再認識することができました。幅広い選択肢を提供していただいたおかげだと思っています。

 じつは、11ヵ月ほどで契約締結に至るまでには、想定外の事態から、一度契約が破談になった場面がありました。その際、ストライクさんが素早く善後策を練り、交渉を再始動させてくれたのは、大変心強かったですね。

永岡:再始動後は、期限を設定し、スピーディに交渉を進めることに。当社のネットワークを活かし、再び売却相手を探し始めた結果、過去の経験も活き、池田さんの希望通りの条件によって、約2ヵ月で締結に導くことができました。
※NDA:Non-Disclosure Agreementの略。秘密保持契約

事業は順調に拡大。売却は「成功した」

―MIKATAの事業売却は、「成功した」と評価していますか。

池田:はい、「成功した」と評価しています。実際、MIKATAの事業は売却後、サイト登録者数が10倍近くまで増えるなど、順調に拡大しているようです。また、期待通りのキャピタルゲインを得ることもでき、その後の挑戦の資金とすることもできています。この M&A交渉のなかで得られた経験は非常に重要な財産になりました。

 というのも、MIKATAの売却直後、じつはもう1社のポップインサイトにも、別の企業から買収のお誘いがありました。その際、ストライクさんに支援いただいた M&Aの経験が活き、主導権を握るカタチで交渉を進めることができ、無事に良い座組を実現することができたのです。

永岡:我々にとっても、池田さんへの M&A支援以降、ベンチャー・スタートアップ企業への M&A支援実績が増え、業界への認知も高まり、多くのお問い合わせをいただくようになりました。

―池田さんの今後のビジョンを聞かせてください。

池田:今後も「ゼロイチ」で事業を立ち上げることに力を注ぎたいです。個人的には、2035年までに1,000社を起業し、100人の社長を育て、1万人の雇用創出をビジョンに掲げています。その過程では、 M&Aも積極的に活用していくつもりです。

永岡:池田さんのようなシリアルアントレプレナーには、 M&Aは重要な経営戦略・成長戦略になります。自社の成長を加速させるうえで、 M&Aに関心のあるみなさんは、ぜひ当社までお問い合わせください。





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M&Aで相乗効果を生むためにできること
~ M&A後に会社をどう成長させるか~

【 M&A実務者対談】
M&A実務者対談株式会社フィードフォース 代表取締役社長 塚田 耕司 氏
株式会社ストライク 代表取締役社長 荒井 邦彦 氏
【モデレーター(進行役)】
株式会社アクセラレータ代表取締役 及川 真一朗 氏
【日時】
ライブ配信:4月 7日(水)13:30~14:30
録画配信:4月14日(水)13:30~14:30
     4月17日(土) 9:30~10:30
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