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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社じげん 代表取締役 社長執行役員 CEO 平尾 丈

メディアビジネスの雄が目指す次の一手

会社を大きく飛躍させるため、売上収益100億円のコア事業を創る

株式会社じげん 代表取締役 社長執行役員 CEO 平尾 丈

「生活機会の最大化」を目指し、インターネットを通じた求人や不動産情報の提供など、人々の生活にかかわる複数のメディアビジネスで成長してきた「じげん」。東証マザーズ上場(当時)後は、M&Aなどで事業領域を拡大。2021年には第2次中期経営計画「Z CORE」を発表し、2026年3月までに、売上収益350億円超、EBITDA(※)100億円超を目指す方針を示した。同社代表の平尾氏に、中期経営計画の実現に向けた戦略などを聞いた。


※EBITDA : 企業価値評価の指標で、利払い前・税引き前・減価償却前利益のこと

※下記はベンチャー通信85号(2022年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

1億円の100事業より、100億円の1事業

―「Z CORE」を発表した狙いを教えてください。

 当社の成長を支えるコアとなる売上収益を生み出す事業、すなわち「Z CORE」を創出するためです。当社は、サイトに集客するだけでなく、ユーザーの登録や問い合わせといった行動にまで導くマッチングテクノロジーにこだわった、メディアビジネスの展開で成長してきました。現在10以上ある事業をさらに増やし、売上収益1億円の事業を100もつという成長の仕方もあります。ただそれよりも、「売上収益100億円の事業領域を1つもつ会社を目指していこう」というのが狙いです。当社はこれまで、事業をヨコに広げることで成功法則をつくってきましたが、コロナ禍により旅行事業など各事業で大きな打撃を受けました。今後は、守りを強化しつつも、タテに大きく伸びる、売上収益100億円超の「Z CORE」をつくっていきたいのです。

―どのように実現していくのですか。

 まずは事業の選択と集中です。主力事業を「Vertical HR」「Living Tech」とし、それ以外を「Life Service」に集約。直近は、主力の2事業に注力していきます。また、当社の強みであるマッチングテクノロジーをさらに強化するため、 ユーザーと企業へのタッチポイントを「前後」に拡張し、これまで注力できていなかったところまで業務の範囲を広げていきます。さらに、顧客数拡大のためにブランディングも強化していきます。当社はこれまで、マッチングテクノロジーを強化することに注力し、ブランディングはあえて注力していませんでした。おかげで顧客に喜ばれる仕組みづくりは強化されましたが、「じげん」という社名をご存じの人は少ないでしょう。今後は広告戦略などを始めとするさまざまな活動を通じて、知名度向上にも努めていきます。

 また会社として、事業の成果と同じくらい注力していく取り組みがあります。

「別解力」を駆使して、社会貢献に取り組む

―それはどんな取り組みでしょう。

 事業を通じた、サステナビリティ活動の推進です。コロナ禍になり、同世代の知人や友人たちが困っていたり、なかには訃報を耳にしたりすることも増えました。そこで、改めて「自分は今の社会になにができるのか」と深く考えたのです。事業会社を経営しているからこそ、できる社会貢献は多く存在します。当社はこれまで、途上国における低所得の人々を対象にしたセラピスト養成講座を開講したり、美容業界を志す若者を支援するため、日本の専門学校に給付型奨学金を支給したりしてきました。今後は、それをさらに加速させていこうと。昨年サステナビリティ推進室を立ち上げ、マテリアリティ(重要課題)を選定し、事業活動とかけ算をする形でこれまで以上に新しい取り組みを実現しています。

―具体的な取り組みを教えてください。

 たとえば、最近私の著書(「起業家の思考法」|ダイヤモンド社)を発刊したのですが、こちらの著書印税を社会起業家の発掘・支援などを行う団体「一般社団法人アショカ・ジャパン」「認定NPO法人Teach For Japan」に寄付する仕組みにしました。ポイントは、単にお金を寄付するのではなく、著書印税を寄付する点。本が売れ続ける限り、寄付が続く仕組みをつくりました。私が日々経営に取り組むうえで意識しているものに、「別解力」と命名した思考法があります。これは、「自分らしいやり方」「優れたやり方」「別のやり方」をかけ合わせて発想する手法で、オリジナリティがあってマネがされにくく、継続してできる事業を生み出す源泉になります。この思考を活かした社会貢献を継続的に行っていこうと考えています。

―ベンチャー企業への就職や起業を希望する若者にメッセージをお願いします。

 社会で戦っていくには、他人と同じことをしてもダメと思うことが重要です。誰もが思いつくような「正解」は、テクノロジーが進化するなか、無価値になっていくでしょう。そこで重要になるのは「正解」ではなく、自分ならではの「別解」です。ぜひ、日頃から「別解」を考える習慣を身につけてください。
PROFILE プロフィール
平尾 丈(ひらお じょう)プロフィール
1982年、東京都生まれ。2005年、慶應義塾大学環境情報学部卒業。東京都中小企業振興公社主催、学生起業家選手権で優秀賞受賞。大学在学中に2社を創業し、1社を経営したまま、2005年、株式会社リクルート(現:株式会社リクルートホールディングス)に入社する。新人として参加した、新規事業コンテスト「New RING」で複数入賞。インターネットマーケティング局にて、「New Value Creation」を受賞。2006年、株式会社じげんの前身となる企業を設立し、23歳で取締役となる。25歳で代表取締役社長に就任、27歳でMBOを経て独立。2013年、30歳で東証マザーズ(当時)上場、2018年には35歳で東証一部へ市場変更し、2022年にプライム市場へ移行。2019年に創業以来、12期連続で増収増益を達成する。2022年3月期の連結売上収益は152億円、従業員数は700名を超える。
企業情報
設立 2006年6月
資本金 25億5,200万円(2022年3月末時点)
売上収益 152億7,200万円(2022年3月期)
従業員数 704名(2022年3月時点:連結)
事業内容 ライフサービスプラットフォーム事業
URL https://zigexn.co.jp/
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