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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社日本企業型確定拠出年金センター 代表取締役 久野 勝也 / 企業型DC導入支援グループ/執行役員 石黒 充顕

「全額損金」「運用益非課税」「役員一人から導入可能」な企業年金制度とは

「企業型DC」を福利厚生にして、経営者や従業員の老後に備えよ

株式会社日本企業型確定拠出年金センター 代表取締役 久野 勝也 / 企業型DC導入支援グループ/執行役員 石黒 充顕

売上の拡大を目指す一方で、人材採用の強化や従業員の定着を図るために福利厚生を充実させようとする中小・ベンチャー企業の経営者は増えてきている。そうしたなか、企業に対して年金制度の導入・運用支援を行っている日本企業型確定拠出年金センター代表の久野氏は「中小・ベンチャー企業向けの福利厚生に適した企業年金制度がある」と話す。それはいったいどのようなものなのか。同社の石黒氏も交えて、詳細を聞いた。
※下記はベンチャー通信91号(2024年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

導入企業は約5万社で、800万人超が加入している

―事業内容を教えてください。

久野:中小・ベンチャー企業向けに、企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)の導入・運用支援を行っています。企業型DCとは、原則、企業が従業員のために掛金を積み立てて従業員が自ら金融商品を選択し、年金資産を運用する制度です。いわば「企業版iDeCo」です。掛金には所得税や住民税がかからず、全額損金に算入が可能で社会保険料は対象外、運用益も非課税といった税制優遇があります。また、経営者や役員も加入OKで、差押禁止財産であることから安心して運用できるなど従業員・企業側双方にさまざまなメリットがあります。

―デメリットはありますか。

石黒:投資信託で運用するので元本割れする可能性はゼロではありませんし、加入者は60歳まで掛金が引き出せないなどの注意点はあります。ただ、長期運用を前提とすれば、なにもしないでいるより、老後により多くのお金を残せる可能性を秘めた企業年金制度と言えます。特に、規模や知名度では大手企業に勝てない中小・ベンチャー企業にとっては、人材の確保や従業員のモチベーションアップに役立つ大きな武器となるでしょう。なにより、優遇税制が使えるというのは大きなメリットです。

 現在、導入企業は約5万社、加入者は800万人を超えており、大手企業に限定するとすでに約60%が導入しています。ところが、そこに中小・ベンチャー企業を加えると、導入企業は日本全体の約2%にまで下がってしまうのです。

中小・ベンチャー企業でも、導入しやすい企業型DC

―なぜ大手企業と比べて、中小・ベンチャー企業では導入が進んでいないのですか。

石黒:制度自体があまり知られていなかったことも要因ですが、長らくの間、中小・ベンチャー企業が企業型DCを扱うのが難しかったという背景があります。制度を運用するには労務や投資の知識が必要ですし、事務作業も煩雑です。そこで、専門の運営管理機関のサポートが必要なのですが、日本ではそうした機関自体が少ないうえに、年金管理システムの開発・運用には高いコストがかかるため、費用対効果の観点から従業員数が少ない中小・ベンチャー企業への導入支援は避けられる傾向にあったのです。

久野:そこで当社は金融サービス事業を手がけるSBIグループと提携して、中小・ベンチャー企業向けに低コストで導入・運用できる企業型DCを提供しています。それが『SBIぷらす年金プラン』です。

―なぜ低コストで導入・運用ができるのでしょうか。

久野:まずSBIグループが独自で年金管理システムを開発することにより、システムの開発・運用コスト自体をかなり抑えられています。また当社が、企業型DC専門会社であることや、ITを使って効率化していることもコストを抑えられている要因です。制度の導入や説明会など、基本はオンラインで進めていきます。結果、企業型DC導入にかかわる企業のコスト負担に加え、経営者の手間も大きく削減できました。また、オンラインですと、画面も見やすく録画を後で見直すことができるため、好評です。成長意欲があり、ITに抵抗がない中小・ベンチャーにはぴったりのプランです。当社は現在、月に150社以上のペースで中小・ベンチャーに導入支援をしています。

老後にお金がなくて困る。そんな社会はなくしたい

―会社のさらなる成長を目指している、中小・ベンチャー企業の経営者にアドバイスをお願いします。

石黒:経営者自身や従業員の将来を考えた場合、さまざまなメリットがある企業型DCは加入しない手はないくらいの制度だと言えるでしょう。役員一人から始められるのに加え、従業員が加入するかどうかを判断できる選択制の制度設計であれば、追加の掛金が不要でさらに低コストで導入できる点も魅力です。近年はインフレや年金問題が注目され、企業型DCに興味をもった経営者からの問い合わせが増えています。

久野:せっかくがんばって働いてきたのに、老後にお金がなくて困るという社会は絶対になくしたいという想いが当社にはあります。企業型DCが導入されているのが当たり前の世の中にしていきたいですね。
PROFILE プロフィール
久野 勝也(くの まさや)プロフィール
1980年、岐阜県生まれ。社会保険労務士試験合格後、2011年、とうかい社会保険労務士事務所を開業。2015年に法人化し、社会保険労務士法人とうかいに組織変更。2018年、株式会社日本企業型確定拠出年金センターを設立。2024年、SBIベネフィット・システムズ株式会社から出資を受け、企業型確定拠出年金の事務を一手に引き受けるベネフィット・ソリューション株式会社を設立する。
石黒 充顕(いしぐろ みつあき)プロフィール
1980年、埼玉県生まれ。2003年に名古屋市立大学を卒業後、株式会社ローソンに入社し、SVとして加盟店指導を担当。2014年、とうかい社会保険労務士事務所に入所。2018年、株式会社日本企業型確定拠出年金センターの立ち上げに参画し、2021年から現職。現在は執行役員として、導入支援業務全般を取り仕切っている。
企業情報
設立 2018年1月
事業内容 企業型確定拠出年金の導入・運営支援
URL https://ndc-center.jp/
お問い合わせ電話番号 052-485-4570(受付時間 平日 9:00~17:00)
お問い合わせメールアドレス info@ndc-center.com
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