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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

コスモバンク株式会社 穴澤 勇人

設立6年で年商100億円を達成した不動産ベンチャーの“次の一手"

富裕層の資産形成を支援する仕事で、「一流の世界」を経験してほしい

コスモバンク株式会社 穴澤 勇人

横浜で100年にわたり建設業を営む矢島建設工業は2024年3月、M&Aによりコスモバンクのグループにジョインした。どのような経緯でM&Aに至ったのか。そして、パートナーとしてコスモバンクを選んだ理由はなにか。矢島建設工業の前代表である石原氏、現代表の西川氏、そしてコスモバンク代表の穴澤氏を交えた座談会を通して語ってもらった。
※下記はベンチャー通信92号(2025年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

後継者の問題に悩み、M&Aによって打開

―矢島建設工業がコスモバンクのグループにジョインした経緯を教えてください。

石原:後継者問題がきっかけです。先代の父から経営を受け継ぎ、約40年経ちましたが、息子が私の後を継いでくれるかどうかわからない。私が元気なうちに早く会社の方向性を決めたかったため、M&Aによって「他社に承継してもらう」ことを検討したのです。仲介会社に譲渡先を相談したところ、真っ先に手をあげてくれたのがコスモバンクの穴澤社長でした。100社以上の住宅販売会社や不動産会社が当社に関心を示してくれましたが、その多くは当社を、安くこき使える「下請け業者」のように見ているように感じ、「社員の雇用は守られるのか」と心配になったのです。その点、穴澤社長は「雇用は必ず守る」と言ってくれ、グループ会社間で社員の待遇に差をつけないなど、当社を「対等なパートナー」と考えてくれました。その信頼感がグループインの決め手となりました。

 その後は、コスモバンクのバックアップで、請求書管理や経費精算などを効率化する経理システムを導入しました。見積書の発行など、それまでほぼ手作業だった工程を大きく自動化・効率化できました。

―コスモバンク側は、なぜ矢島建設工業とタッグを組みたいと考えたのでしょう。

穴澤:物件の購入から賃貸管理、売却までワンストップで行う当社の強みに、矢島建設工業のもつ「新築・建て替え」の機能が加わることで、トータルサポートの範囲が拡大するからです。いままではグループ内に中古物件のリフォーム・リノベーション工事の機能しかなく、「建て替えたい」と顧客が望んでも、グループ外の建設会社に頼るしかありませんでしたから。また、「創業100年」の重みも魅力でした。コスモバンクはまだ若い会社です。確かに業績には勢いがありますが、信頼の証ともいえる「100年の歴史」はお金で買うことはできないからです。実際に、「歴史のある矢島さんがグループ企業だから融資します」と言ってくれた金融機関もあります。石原さんの温和な人柄も決断の大きな要素ですね。長い間会社を守ってきた「経営者の先輩」として、私の心強い相談相手になってくれそうだったのも決め手でした。

資産力と技術力を強みに「選ばれる建設会社」を目指す

―西川さんはコスモバンクから矢島建設工業に移り、社長に就任されたそうですね。グループの一体化を図るため、どのような点に注力しましたか。

西川:社員とのコミュニケーションを密にするよう気をつけました。まず、全社員を対象に、私が1対1で会い、話に耳を傾け、各人の人柄や担当業務などを知るよう努めました。ただ、積極的に話してくれる人は少なく、「言いたいことがあっても口に出さない」という少し閉鎖的な社風と感じました。そこで毎週、社員との間でミーティングを開き、不満や希望など思っていることを話してもらうよう促す取り組みを続けたのです。最近はようやく、言いたいことを言ってもらえる雰囲気になってきました。

―コスモバンクグループの一員になり、これから矢島建設工業をどのように発展させていきたいですか。

石原:特に重視したいのは純資産を増やすことです。実は当社は、建設業のほかに不動産ビジネスも展開しており、多くの自社物件を保有。そこから得られる年間の賃料収入は6,000万円を超えます。これで従業員の給与などを賄っているのは、コスモバンクと同様です。1つのグループになって両社の資産が合わさり、顧客により安心感をもたらすと期待しています。それにより「選ばれる建設会社」になって生き残りを図ります。また、技術力強化の重要性は言うまでもありません。当社では、在来工法や2×4工法の木造、鉄筋コンクリート造、ログハウスなど、さまざまな構造や工法に対応してきました。コスモバンクの営業力を活かして受注が増えれば、水回りなどの住宅設備や建材の一括購入によるスケールメリットが期待できます。この点も競合への優位性になると考えています。

西川:海外製の建材や外国風のデザインによる「輸入住宅」を手がけているのも当社の強みです。付加価値が高く、技術力が必要な輸入住宅を建てられる職人がいることは、同業に対する差別化要因になります。この分野も大きく伸ばしたいですね。

―自社の売却を考えている企業経営者にメッセージをお願いします。

石原:当社では、若い社員の多いコスモバンクと一緒になることによって社内に活気が生まれました。今後の経営に迷っている経営者の方々には、選択肢の一つとしてM&Aも検討してほしいですね。

穴澤:矢島建設工業とは同じ志をもつ仲間として、良い関係を築けています。「M&Aをテコに現状を変える」と前向きに考える会社と、ぜひ一緒にやりたいですね。
PROFILE プロフィール
穴澤 勇人(あなざわ はやと)プロフィール
1987年、神奈川県生まれ。2006年に工業系の高等学校を卒業後、貴金属メーカーに入社し、金やプラチナの加工業務に従事する。2014年に武蔵コーポレーション株式会社に入社。収益用不動産の売買経験を積んだ後、2018年にコスモバンク株式会社を設立し、代表取締役に就任。
矢島建設工業株式会社 代表取締役 西川 大樹(にしかわ だいき)プロフィール
1993年、埼玉県生まれ。2016年に駒澤大学を卒業後、武蔵コーポレーション株式会社に入社。高崎支店長などを経て、2019年、コスモバンク株式会社に入社。工事部長だった2024年、矢島建設工業株式会社へ移り、代表取締役に就任。
矢島建設工業株式会社 取締役 石原 栄介(いしはら えいすけ)プロフィール
1959年、神奈川県生まれ。1982年に武蔵工業大学(現:東京都市大学)を卒業後、矢島建設工業株式会社に入社し、3代目として代表取締役社長に就任。2024年、コスモバンク株式会社のグループへジョインしたのを機に、矢島建設工業株式会社の取締役に就任。
コスモバンク株式会社 企業情報
設立 2018年8月
資本金 1億円
売上高 94億1,200万円(2024年7月期)
従業員数 91名(2025年3月現在)
事業内容 収益用不動産の売買・仲介・賃貸管理、リフォーム
URL https://cosmobank.co.jp/
矢島建設工業株式会社 企業情報
設立 創業:1923年9月
資本金 2,000万円
売上高 8億2,500万円(2024年6月期)
従業員数 12名(2025年3月現在)
事業内容 建設業
URL https://yajima.biz/
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