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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社フクダ・アンド・パートナーズ 代表取締役社長 福田 哲也

物流施設づくりのプロフェッショナルが向かう「次なるステージ」

暮らしを支える生活インフラづくりで、「豊かで安心な未来を創る」企業に

株式会社フクダ・アンド・パートナーズ 代表取締役社長 福田 哲也

物流施設づくりを通じて、社会貢献に資する新たな取り組みを進めているフクダ・アンド・パートナーズ(以下、F&P)。こうしたチャレンジができるのは、F&Pの成長を支えてきた役員たちに、変わらない「ベンチャースピリット」があるからだ。ここでは、そうした彼らが描く事業戦略を紹介する。
※下記はベンチャー通信92号(2025年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―物流施設づくりにおけるF&Pの強みをどう捉えていますか。

 お客さまの細かなニーズにフレキシブルに対応できる、サービスのカスタマイズ力が強みだと考えています。それを可能にするのは、あらゆるカテゴリーの物流施設づくりの実績とノウハウの蓄積、物流施設づくりにまつわる多様な課題へのソリューションをスピーディに提供できるサービス体制を構築していることです。また、立地や施設に求める性能など一つとして同じニーズがないなか、当社には土地探しから建物竣工まで一気通貫でお客さまに伴走支援できる強みもあります。たとえば、社会的背景から省エネ設備実装や低炭素コンクリート採用など、「環境配慮型」の開発ニーズが増していますが、建築費高騰の影響もあり経済性とのバランスが難しいことがあります。その点、当社であれば、プロジェクトトータルでのコストマネジメントができるので、フェーズごとの細かなコスト調整により、予算内でお客さまの経済合理性と社会貢献を両立する施設づくりが可能です。

―今後の展望を教えてください。

 当社は、マーケットやお客さまの変化に合わせ、自らのサービスを積極的に変化させることで、競争力の高いビジネスモデルを保ってきました。今後は、技術革新や働き方改革などに連動して変化する物流施設のあり方やマーケットの動きに対し、一歩先で対応できるサービス品質と技術の向上にチャレンジしていきます。

―「福島郡山LLタウン」が注目されているようですね。

 はい。本件は「物流」と「防災」を核とした敷地面積約15万㎡の大規模開発で、2024年9月に着工しました。私はプロジェクトマネジメントリーダーとして設計部門の責任者を担っており、平時は広域物流拠点、非常時は広域防災拠点となる施設を目指して企業誘致を行っています。自治体と連携し、設計・営業が一体となって事業推進しています。

―どのような開発内容ですか。

 「物流」「防災」「医療」連携を共創によって実現します。まず、非常時でも電気が消えない施設を目指して3次バックアップシステム(①自家発電装置 ②太陽光+蓄電池 ③V2X)を採用し、BCP倉庫には約200名・6日分の防災食糧や備品を保管します。食堂や会議室は災害時に地域の避難拠点となり、医療支援サービスとも連携して災害時に医療支援を受けられるシステムを構築中です。さらに、敷地内に設けた公園はヘリポート/ドローンポートとしての活用が可能で、非常時の地域の安心・安全につながります。

―今後の方針を教えてください。

  今後も、当社のコアビジネスである設計監理や、プロジェクトマネジメントを推進する立場でサスティナブルなまちづくりに取り組みたいと考えています。そして、CSVを意識した取り組みや社会課題解決につながる物流施設づくりを実現することで、国のレジリエンスに貢献し、「豊かで安心な未来創り」に誇りを持って取り組んでいきます。

―管掌業務を教えてください。

 物流施設づくりのなかで、電気や機械、衛生設備などを設計監理・プロジェクトマネジメントする設備部門を管掌しています。また、特に近年は「環境配慮型」の施設づくりを取り入れた設備選定や設計を提案する機会が増えているため、組織横断的な部門として2023年度に新設した「サスティナビリティ事業統括室」の責任者も務めています。本事業室では、これまで携わった「環境配慮型」の物流施設づくりにより蓄積した知見やノウハウを活かし、多くの企業が、物流施設づくりを通じて社会課題である気候変動問題解決を意識し、カーボンニュートラル実現などの環境負荷低減に取り組めるよう、「補助金取得支援」を含めた支援策を体系化して提案しています。

―なぜ「環境配慮型」を積極的に提案しようと考えたのですか。

  気候変動問題は、貢献レベルではなく事業としてできることから本気で取り組むことが大切だと考えています。日本は環境問題の取り組みで世界に後れを取っているといえます。COP(※)が公表する気候変動政策の国際的な評価ランキングでは、CO2などの主要排出国59ヵ国のうち日本は50位です。この状況から脱するには、まさしく国をあげて環境への取り組みを強化しなければなりません。当社も、「社会課題の解決」を事業のひとつのテーマとして「環境配慮型」の物流施設づくりを提案することで貢献できればと考えています。
※COP : 「Conference of the Parties」の略。地球温暖化防止に向けた取り組みなどを議論する国際会議

―担当業務を聞かせてください。

 おもに、社内管理体制の整備や強化を図る役割を担っており、近年注力しているのが事業継続計画の策定・整備、つまりBCPです。2023年4月に東北大学の協力も得て開所した「仙台長町未来共創センター」は、首都圏災害時に経営執行の代替拠点となるための設備や環境を備えています。さらに、本社・各拠点の備蓄食糧とは別に、同センターには社員200名・6日分の食糧を備蓄し、テナントである運送会社の「運ぶ機能」を活用した「足のある備蓄」として災害への備えを強化しています。当社は、東日本大震災やコロナ禍の経験を経て、物流施設は人の生活や経済活動を支える「社会的使命」を担う施設だと痛感しました。施設づくりに携わる私たちが事業を停止させてはならないと強く認識しているからこそ、BCPを重視しています。

―今後の方針を教えてください。

 同センターは、仙台市が被災した際は帰宅困難者の一時滞在施設として機能します。帰宅困難者を安全に受け入れ、保管する備蓄食糧を提供し、電気が消えないことで被災者に安心感を与えるこの施設は、まさに産官学連携の取り組みそのものと言えます。今後もBCPというキーワードを一つの軸としながら産官学連携を叶え、国土強靭化政策、さらにはCSVやSDGsとも符合した事業展開を支えることで、「豊かで安心な未来創り」の一助になれればと考えています。
PROFILE プロフィール
福田 哲也(ふくだ てつや)プロフィール
1966年、千葉県生まれ。1989年、日本大学法学部卒業。学生時代はラグビーに没頭し、大学では経営管理学のゼミでゼミ長を務めた。大学を卒業した1989年、株式会社フジタに入社。東北支店を経て、本社営業本部で活躍。同時に物流・生産エンジニアリング部を立ち上げる。3年間で売上100億円の事業部に育てあげ、34歳で当時の最年少部長に就任した。2001年に退社し、同年に株式会社フクダ・アンド・パートナーズを設立。代表取締役社長に就任。
企業情報
設立 創業 : 2002年1月
資本金 5,000万円
売上高 108億2,100万円(2024年9月期)
従業員数 205名(グループ合計、2024年10月現在)
事業内容 プロジェクトマネジメント業務、設計・監理業務、リニューアル工事支援業務、建物状況調査、アセットバリューアップ事業、不動産ソリューション事業
URL http://www.fandp.co.jp/
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