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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

GXエンジニアリング株式会社 代表取締役 小高 将司

「系統用蓄電所」開発に傾注するエンジニアリング企業の挑戦

高度な技術とワンストップ体制で、次世代の「再エネ」普及に挑む

GXエンジニアリング株式会社 代表取締役 小高 将司

系統用蓄電所の事業化は、単に工事事業者の助力と土地があれば叶うというものではない。電力会社との接続協議や立地条件などハードルは高く、建設の準備だけで約1年を要することも珍しくない。では、この期間を短縮し、迅速に収益化へ導く「イロハ」とはなにか。多様な条件をクリアした用地の選定から、工期を劇的に縮める「権利付き用地」の活用、資材調達の工夫まで、建設のプロフェッショナルが失敗しない事業化への道筋を解説する。
※下記はベンチャー通信94号(2026年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

蓄電所建設の最初の障壁は、土地に課せられる条件

―系統用蓄電所の建設プロジェクトは、どのような流れで進むのでしょうか。

 おおまかな工程は、「用地選定・交渉」「電力会社の接続回答」「地盤調査・設計」「建設工事(土木・電気)」「売電スタート」という5つのステップで進みます。このなかで、もっとも時間がかかり、かつ事業の成否を分けるのが「用地選定・交渉」と「電力会社からの接続回答」です。一般的な建築物とは異なり、系統用蓄電所は「土地さえあれば建てられる」ものではありません。つくった電気を流すための送電線に空き容量があり、かつ物理的に接続可能かが重要になります。この確認と電力会社との接続協議、事業性の最終的な判断に至るまで約1年という長い期間を要します。ここをクリアして初めて、スタートラインに立てると言っても過言ではありません。

―適地を見極めるための具体的な条件を教えてください。

 まずは変電所との距離です。変電所に近いと連系コスト(工事負担金)が抑えられる可能性が高いです。一般的には3~4km未満が1つの目安とされています。次に重要になるのが、敷地条件や搬入経路です。系統用蓄電所では約300坪程度の敷地が必要なうえ、数トン単位の蓄電池やキュービクルを搬入するため、大型トレーラーやクレーン車が通行可能な幅員4m以上の接道が求められます。

 さらに、近隣住民への配慮も不可欠です。蓄電池の冷却ファンなどによる稼働音や工事中の騒音、車両の出入りなどに対して理解を得られるかどうかは、事業推進に大きく影響します。そのため、住宅との離隔距離を確保することや、周辺環境を踏まえた配置計画が肝要になります。このように、連系条件だけでなく、施工性や周辺環境、法規制を含めた総合的な視点で判断することが、真に事業化できる適地を見極めるポイントです。

―そうした条件をクリアし、電力会社との協議から事業性判断までを済ませるのは大変な労力ですね。

 おっしゃる通りです。そのため、私たちは「更地から探して1年かけて申請する」という通常ルートだけでなく、すでに電力会社との接続協議が完了している「権利付き用地」を譲り受ける手法を積極的に採り入れています。これは、土地の所有者、または地元の事業者などがすでに電力会社へ接続検討申請を行い、「いつ、いくらで接続できる」という電力会社から得た回答書を、土地とセットか、権利単体で買い取る方法です。この手法であれば、申請にかかる「1年」という待ち時間をショートカットし、即座に設計・建設フェーズへ移行できます。土地所有者と、電力申請を行った権利者が異なる場合でも、私たちが間に入って土地、権利関係を調整し、「三方よし」のかたちで事業化を進めていきます。

収益化への一番の近道は、各工程の「待ち」の削減

―土地と権利が整ったあとの建設工事は、どのように進むのですか。

 ここからは「土木」と「電気」の連携プレーになります。まずは必要に応じて造成や伐採を行い、地盤調査、詳細設計に進みます。

 次に、詳細設計後の土木工事、蓄電池の搬入・据付工事、電気工事と続きます。ここで実務上の課題となるのが「機器の納期」です。蓄電池本体は海外メーカー製も多く、世界的な需要の高まりにより、発注から納品まで6ヵ月、メーカーや発注のタイミングによっては8ヵ月ほどかかることも珍しくありません。通常は、契約が決まってから発注するため、ここで長い待ち時間が発生してしまいます。しかし、それでは投資回収が遅れてしまうため、私たちは国内に専用物流倉庫を構え、事業者より事前に発注された蓄電池・受変電設備の仕入れ、管理が可能です。こうした工夫により、「土地・権利の確保」から「完工」までのロスタイムを50%以上削減し、土木工事着工から3ヵ月での建設も可能です。こうした工程の「待ち」を省くことが、事業化への近道になるはずです。
PROFILE プロフィール
小高 将司(こたか しょうじ)プロフィール
1994年12月、埼玉県生まれ。中学校を卒業後、翌年より鳶職として建設業界に従事。2014年、電気通信会社へ入社し、通信インフラ工事や電気工事の施工管理経験を積む。2020年、TNK株式会社(現:GXエンジニアリング株式会社)を創業。現在に至る。
企業情報
設立 2020年1月
資本金 4,000万円
売上高 11億5,000万円(2025年12月期)
従業員数 33名
事業内容 系統用蓄電所の開発・保守事業、太陽光発電設備および蓄電池設備事業、自家用電気工作物・受変電設備の改修工事、消防対応・行政対応・電力会社協議など
URL https://gxe.co.jp/
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