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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社Oneplat 代表取締役社長 泉 卓真

グローバルスタンダードの確立を志す気鋭のフィンテックベンチャー

独自プラットフォームの提供を通じ、企業間取引の「新たな標準」を創る

株式会社Oneplat 代表取締役社長 泉 卓真

創業以来、あらゆる業界の課題解決に挑むがごとく、事業の多角化を進めているいずみホールディングスの傘下で、2019年に設立されたOneplat。同社が設立翌年の2020年に提供を開始した企業間取引向けの金融ソリューション『oneplat』はいま、業界を問わずさまざまな企業で導入が増えているという。同ソリューションが企業に提供する価値、さらにはいずみホールディングスがフィンテック分野に参入した理由について、代表の泉氏に聞いた。

納品書や請求書のやりとりを、クラウド上に集約

―『oneplat』とはどのようなソリューションなのですか。

 あらゆる業界の企業を対象に、経理・会計部門の業務効率化を支援するマネープラットフォームです。単一のプラットフォーム内で複数のサービスを提供していますが、ここでは導入企業にとって特に大きな業務効率化の効果が期待できる、「納品書・請求書クラウドサービス」について説明しましょう。このサービスはおもに、企業間取引における「買い手」側の事業者に導入してもらうものです。

 『oneplat』を導入した買い手事業者はまず、すべての取引先にアカウントを発行します。すると、「売り手」事業者である取引先からは、日々の納品書が『oneplat』のクラウド内に電子データとして届くようになります。買い手事業者は届いた商品を検品し、納品書の内容と合っていればパソコンやスマホで承認を行うだけ。月末などの締め日を迎えると、それまで承認した納品データをもとに請求書データが作成され、後続の支払い業務につなげられる仕組みです。

―納品書や請求書を電子化するソリューションは数あるなか、特に『oneplat』の独自性を教えてください。

 独自性はおもに、次にあげる3点にあります。1つ目は、請求書だけではなく、納品書から取りまとめられる点。

 2つ目は、その納品書や請求書をOCRなどによるスキャンに頼らず、リアルタイムかつ精度100%で電子化できる点。ここでいう精度100%とは、「OCRのスキャンのように機器やシステムの読み取り精度によって誤ったデジタルデータが入力されることがない」という意味です。

 3つ目は、現状のシステムや決裁フローになんら手を加えることなく電子化できる点です。電子化された納品書や請求書は、会計システムをはじめとしたさまざまな業務システムに自動連係できます。発行されるデータはもちろん、電子帳簿保存法やインボイス制度に対応しています。また、現場での一次承認、経理本部での二次承認、経営者での三次承認など、柔軟な権限設定も可能です。これによって、導入企業はシステムや業務の大幅な見直しを行うことなく、経理の仕訳入力作業や、紙での書類のやり取り、書類保管から解放されることになるのです。『oneplat』ではこのほか、総合振込データをワンクリックで作成し、振込手数料の自動計算や消込の仕訳入力も行えるなど、経理業務の効率化を幅広く支援します。

1日数時間の煩雑な作業を、わずか数分で済ませられる

―具体的に、企業はどのような成果が期待できますか。

 たとえば、会計システムへの手入力に1件30秒を要し、1日700件を処理する場合、作業に1日6時間近くがかかることになります。これが『oneplat』であれば、納品書データに対して「承認」または「非承認」をタップするだけなので、わずか数分で済ませられます。さらには、ペーパレス化・デジタル化によってリモートワークを促すことで、人件費や交通費、オフィス賃料の削減にもつなげられるでしょう。

 売り手事業者も、納品書や請求書の作成、郵送にかかるコストを削減できるので、導入メリットは導入企業のみならず、取引先にまで及びます。先ほど伝えた仕組みにより、納品書と請求書の突合ミスも起こりえません。納品書や請求書の情報を、リアルタイムかつ精度100% で取りまとめられるサービスは、国内では『oneplat』しかないと当社は自負しています。

 『oneplat』ではこのほか、当社が買い手事業者の支払いを立て替えるサービスも提供しており、企業における業務コストの削減とキャッシュフローの最大化に貢献することもできます。

―『oneplat』のような金融プラットフォームを開発した理由はなんですか。

 親会社であるいずみホールディングスが幅広い業界とかかわるなかで、古い商習慣やビジネスの「当たり前」から生まれるムダによって、生産性が下がっている現場を数多く目の当たりにしてきたことが背景にあります。食品や製造といった従来の主要産業からITや通信といったハイテク産業、そして卸売業や飲食、ホテル、医療など業種・業態の違いを問わず、さまざまなビジネスの現場では日々、非常に多くの物品が納入されています。しかしそこでは、郵送やFAXで送られてくる紙の納品書の情報を、経理担当者がパソコンに入力する作業がいまも当たり前のように行われています。DXが叫ばれるいま、こと納品に伴う経理業務はほとんどデジタル化が進まず、煩雑な手作業によって時間や人手がかかっているのが現状です。そうした現場の方々もDXの恩恵をしっかりと享受できる仕組みをつくりたい。そんな想いから開発したのが、『oneplat』なのです。

世界中の人々に共感される、新たな価値を創造していく

―今後、Oneplatという会社をどのように成長させていきますか。

 当社には、「企業間取引のグローバルスタンダードとなり、公平で公正なデジタルプラットフォームを構築するとともに、世界中の人々に共感される地域環境の改善に貢献する」というミッションがあります。金融プラットフォームである『oneplat』を特定の業界向けに限定しなかったのも、「世界中の人々に共感されるスタンダードを生み出す」という信念が根底にあるからです。

 いずみホールディングスが創業当初から大切にしてきたのは、「新しい価値を創造すること」です。この考えのもと、私たちは主力とする事業やビジネスモデルを5年ごとに変え、これまでに水産・畜産・農産品の卸売のほか、ITサービス開発、プロモーション事業などを展開してきました。こうして新たな事業に挑戦し続け、さまざまな課題の解決を重ねてきた実績が私たちグループの基盤にあるからこそ、『oneplat』というフィンテックの新たなプラットフォームを世に出すことができたのです。今後も新たな価値の創造を通じ、人々の生活をより豊かにしていける会社に成長させていきたいと考えています。
PROFILE プロフィール
泉 卓真(いずみ たくま)プロフィール
1977年、北海道生まれ。北海道札幌東陵高等学校を卒業後、外食チェーンに入社。2004年に独立し、水産の卸売を手がける株式会社いずみを設立。事業の多角化や新会社の設立を進め、2012年には持株会社の株式会社いずみホールディングスを設立。2019年、株式会社Oneplatを設立し、代表取締役社長に就任。
企業情報
設立 2019年2月
資本金 1,000万円
事業内容 AI×MoneyPlatform事業など
URL https://www.oneplat.co.jp
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