INTERVIEW 業界別起業家インタビュー
若者よ、もっと”欲”を持とう
ワタミ株式会社 代表取締役会長 渡邉 美樹
※下記はベンチャー通信29号(2007年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
―うまくいっても、自分を律することが"できる起業家"と"できない起業家"の差はどこにあるんでしょうか。
渡邉:それはその起業家がどこを目指しているかの差だと思いますね。つまり、どこに起業家としてのゴールを定めているのかということです。自分の私利私欲を満たすのがゴールなのか、それともより上位概念である社会貢献にゴールを定めているのか。 起業時の動機が"自分自身が物質的に豊かな生活をしたい"でもいいんです。でも会社がうまくいって会社規模が大きくなっても、そんな動機のままだと会社は次第にうまくいかなくなります。そこで気づかないといけない。物質的な豊かさ以上の価値が世の中にあるということを。もっと大切なものに気づく。お金では買えない価値に気づかないといけないわけです。そこに気づけば、会社はより発展し、継続的に繁栄させることができるでしょう。
―渡邉さんの場合はどうでしたか?
渡邉:私も途中で、その大切なものに気づきました。私も起業したいと考えた当初の動機は、物質的な豊かさを得たいためでした。小さい頃、会社経営をしていた父の事業がうまくいかなくなり、裕福な家庭から一転、非常に貧しくなりました。そういった経緯もあり、物質的な豊かさへの憧れが私の中に強烈にあったんです。しかし、大学時代に擬似会社のようなものを友人たちと運営して、徐々に考えも変わってきました。いろんな葛藤を通して、自分の中での考えが変化していったんです。自分の私利私欲のためだけに会社を経営していいのかと。
そして、ワタミが店頭公開するときに、個人で7億円もの借金をしました。株式上場をするにあたり、自分の持ち株比率を下げないように自社株を買う必要があったんです。その後、その7億円の借金を完済した時、私の物質的な欲はなくなりました。10代の頃から続いていたお金の呪縛から解放されたんです。今ではワタミを地球上で一番たくさんのありがとうを集めるグループにするべく、日々その理念に向かって努力しています。個人的な金銭欲はまったく無くなりましたね。
そして、ワタミが店頭公開するときに、個人で7億円もの借金をしました。株式上場をするにあたり、自分の持ち株比率を下げないように自社株を買う必要があったんです。その後、その7億円の借金を完済した時、私の物質的な欲はなくなりました。10代の頃から続いていたお金の呪縛から解放されたんです。今ではワタミを地球上で一番たくさんのありがとうを集めるグループにするべく、日々その理念に向かって努力しています。個人的な金銭欲はまったく無くなりましたね。
―渡邉さんが考える“起業家の条件”を教えてください。
渡邉:第一に猛烈な欲を持っているかですね。成功する人は、みんな欲がすごく強い。また、その欲を自分だけに使うのではなく、世のため人のために使う人は大きく成功します。 起業して会社が伸びるにつれて、起業家の人間としてのレベルも上がっていかなければいけません。最初は、自らの強烈な欲を自分のために使っていた人でも、人間のレベルが上がっていくにつれて徐々に自分以外に対して使うようになります。最終的には自分の欲の全てを自分以外に使う人が起業家として大成するのだと思います。まさにマザー・テレサのような人ですね。企業が継続的に繁栄するには、トップである起業家の欲の使い方が大事です。継続的に繁栄する企業というのは、その起業家の欲に社会性が帯びています。
―起業家が本物か偽物かを見極めるには、どこを見たらいいですか?
渡邉:まず浮ついている人はダメですね。また周りの目を気にし過ぎる人も良くない。人からどう思われようとも、自分の価値観を大事にして固い信念を持っている人でなければ起業家は務まりません。自分に正直でいいんです。逆に自分に正直でない人は起業家としては厳しい。他人の評価ばかり気にする人は、起業家として大成しません。
―最後に若い読者にメッセージをください。
渡邉:今の若者には欲が少ない人が多いと思います。もっと欲を持ってほしい。最初は自分だけの欲でいい。もっと物質的に豊かになりたいとか、もっと有名になりたいとか。どんな欲でもいい。とにかく欲を持つことです。 欲があれば、人はチャレンジします。そして、いろんなチャレンジをして、失敗して、さらに大きな欲を持てばいい。自分の命を本当に生かすためには、大きな欲を持つべきです。 ベンチャー企業を起こすことは、非常に素晴らしいことです。起業するとは、自分の命で他の人の命を生かすことですから。ぜひ自分の欲を他人や社会に生かすことに使ってください。頑張ってください。
PROFILE
プロフィール
渡邉 美樹(わたなべ みき)プロフィール
1959年、神奈川県生まれ。小学校5年生のときに父親が経営する会社が清算したことから「将来は社長になる」と決意。82年、明治大学商学部を卒業後、会社経営に必要な経理を勉強するため、ミロク経理に入社。その後、佐川急便で1年間働き、起業資金300万円を貯める。84年に有限会社渡美商事を設立、「つぼ八」の店を買い取りフランチャイズオーナーとして起業。96年に店頭公開、2000年3月には東証一部上場を果たす。「外食」以外にも「介護」「農業」「環境」各事業を拡大展開中。2003年に「学校法人 郁文館夢学園」(中学校・高等学校・グローバル高等学校)の理事長、2007年に「医療法人盈進会病院」の理事長となり、学校・病院の経営に取り組んでいる。その他、日本経団連理事、NPO法人「スクール・エイド・ジャパン」の理事長も務める。外食事業は630店舗(平成19年10月末現在)を展開。
企業情報
設立 | 1986年5月(創業:1984年4月) |
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資本金 | 4,338,342千円(平成19年3月31日現在) |
従業員数 | 3,152名(グループ計)(平成19年4月1日現在) |
事業内容 | 外食事業、介護事業、農業事業、環境事業 |
URL | http://www.watami.co.jp/ |
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