累計経営者579人に取材、掲載社数291ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを紹介

著名起業家インタビュー

著名起業家すべての人に、心地の良いつながりを提供する

株式会社ミクシィ 代表取締役社長 笠原 健治

※下記はベンチャー通信43号(2011年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―その「mixi」は日本でSNSブームを巻き起こしました。そして現在、2,200万人のユーザーを抱える、国内最大級のSNSへと成長を遂げています。「mixi」がこれほどまでに多くのユーザーに支持された理由は何でしょうか。

笠原:従来にない、新しい価値を提供しているからだと思います。従来のネットサービスは、知りたいことを探すために使うサービスでした。たとえば、検索エンジンや比較サイト、掲示板サービスなどがそうです。これらのネットサービスにおいて、ユーザーが重視しているのは「コンテンツの内容」です。「コンテンツの発信者」はそれほど重視されていませんでした。 “誰”よりも“何”がユーザーに重視されてきたわけです。一方「mixi」は、実際の友人や知人など、現実世界の人間関係をネット上で再現し、コミュニケーションをとることができるサービスです。ユーザーの方々は友人や知人のことをより深く知るために「mixi」を利用します。「mixi」では「コンテンツの内容」よりも「コンテンツの発信者」が大事。つまり“何”よりも“誰”が重視されています。このようなサービスは、それまで日本に存在しませんでした。だからこそ、多くの方々に支持されたのだと思います。

―「mixi」はよく「GREE」や「モバゲー」と比較されますが、それらのネットサービスとはどこが違うのですか?

笠原:最大の違いは、つながっている人たちが、実際の友人・知人であるかどうかです。「GREE」や「モバゲー」のユーザーは、そこに面白いゲームがあるから集まっており、見ず知らずの人とそのゲームを楽しむために交流します。しかし、「mixi」は「実際の友人・知人」とつながり、彼らとコミュニケーションをとることを目的でサービスを利用します。サービスのコンセプトが全く違うのです。

―笠原さんは「ソーシャル革命を起こす」と言っていますね。

笠原:「ソーシャル革命」というのは、Webやリアル、デバイスの境界線を越え、既存のサービスや産業にソーシャルグラフ(実際の友人・知人とのつながり)を掛け合わせることで、新しい価値を創出していくことです。友人や知人とつながった状態で様々なサービスが使えるようになれば、それら単体が持つ価値に、さらなる付加価値が生まれます。

―「既存のサービスや産業にソーシャルグラフを掛け合わせる」とは、どういうことですか?

笠原:たとえばテレビにソーシャルグラフを掛け合わせるとどうなるか。自分が観ている番組を簡単に友人に伝えられるようになったり、友人が観ている番組情報が伝わったりするようになります。言うなれば、お茶の間で、みんなで一緒にテレビを観ているような状況になるのです。その結果、これまで以上にテレビ番組への注目度を高め、視聴者数を増やすことにつながります。 他にも、既存のサービスや産業とソーシャルグラフを掛け合わせることでできることは無数にあります。情報端末、家電製品、Webサービス、飲食店、生活用品など、あらゆるものをソーシャル化することができるのです。 私たちはソーシャルグラフを提供する企業、「ソーシャルグラフプロバイダー」として、あらゆる分野の企業とも組める体制をとってゆきます。

―御社はこれまで目覚ましい成長を続けてきました。「成長の踊り場に到達した」という感覚はありませんか。

笠原:いえ、むしろ本格的な成長はこれからだと思っています。変化の激しいネット業界で、主役となるネットサービスは常に移り変わってきました。そんな中、ようやくソーシャルの時代が到来しつつあります。少し話が遠回りになりますが、ネットサービスの歴史を振り返ってみると、1994~1999年は「ポータルサイトとECサイトの時代」でした。当時のビジネスは、店舗やカタログ、メディアなどが行っていたリアルの商売をネットに置き換えるという比較的シンプルなモデル。たとえばアマゾンは書店を、ヤフーはメディアをネットに置き換えることで、大きな成功を収めました。次に2000~2006年は「検索とWeb2.0の時代」でした。既存のサービスをネットに置き換えるだけでなく、「ネットだからこそできるサービス」を真剣に模索し始めた時代です。この時代には、ネットの特性を活かして、多くの人々の知識やノウハウを集めたサービスが生まれました。たとえば動画を集めた「YouTube」、知識を集めた「Wikipedia」などですね。そして2007~2010年はWeb上での「ソーシャルの時代」です。見知らぬ人がネット上に集まるのではなく、顔見知り同士がネット上でつながり、小さな空間をつくっていく。その空間内でコミュニケーションが行われ、情報や感情が行き交う。そういった空間がネット上に無数に存在する時代が始まっています。そして、2011年からは、Webを超えて、世の中のあらゆるサービスがソーシャル化されていく時代になるでしょう。

―なるほど。面白いステージに入ってきましたね。ところで、御社ではどんな人材を求めていますか?

笠原:まず大前提として、ソーシャル産業の可能性を強く信じている人です。「今後、ソーシャル産業はビジネスのメインストリームになっていく」と信じられるかどうかですね。 その上で、5つの力を持った人材を積極的に採用しています。具体的には、「高い志」、「継続力」、「本質の追求」、「チームワーク」、「感性・創造力」です。中でも、当社が重視しているのが「高い志」。高い志があれば、どんなに困難な課題にぶちあたっても、乗り越えることができるからです。

―御社では新卒採用に力を入れ、多くの若手社員が活躍しているそうですね。

笠原:ソーシャル産業はまだ新しい産業なので、若手社員の方が常識に縛られず、新しい発想をすることができます。実際、「ミクシィ年賀状」や「mixi同級生」などのサービスは、新卒社員が中心となって企画・開発しました。今後も若手社員に多くの活躍の場を提供していきたいと考えています。

―笠原さんが考える「起業家に必要な資質」は何ですか?

笠原:やはり「志を高く持つこと」だと思います。起業して年商数億円の会社をつくるだけならば、志はそれほど重要ではないかもしれません。しかし、世界規模で価値を創出する企業をつくろうと思ったら、高い志がなければ無理です。なぜなら志が低ければ、ある程度のところで満足してしまうからです。「これ以上、成長しなくてもいいや」となってしまう。会社経営をしていると、困難なこと、大変なことは常に起きます。高い志がなければ、到底それを乗り切るエネルギーは湧いてきません。「志を高く持つこと」というのは、起業家にとって非常に重要な資質だと思いますね。

―最後に、若い読者へメッセージをお願いします。

笠原:ぜひ起業やベンチャーにチャレンジしてほしいと思っています。日本からは世界を席巻するITベンチャーが、まだ出てきていません。グーグル、アップル、アマゾン、ヤフーなど、シリコンバレー発のベンチャーばかりが世界を席巻しています。なぜ、日本から世界的なITベンチャーが出てこないのか。その理由は、単純にチャレンジしている「数」が少ないからだと思います。シリコンバレーでは膨大な数のチャレンジが行われています。そして、ほんの一握りのベンチャーが世界を制していく。同じように日本でも多くの若者が起業したり、ベンチャーに飛び込むべきです。そうすれば、世界市場をリードするベンチャーが生まれ、日本経済も活性化していくと思います。

笠原 健治(かさはら けんじ)プロフィール

1975年、大阪府生まれ。東京大学経済学部卒。大学在学中に求人情報サイト「Find Job !」の運営を開始。1999年に有限会社イー・マーキュリーを設立し、代表取締役社長に就任。2004年にソーシャル・ネットワーキング サービス「mixi」の運営を開始。2006年に株式会社ミクシィへ社名変更し、東証マザーズへの上場を果たす。

企業情報

設立 1999年6月
資本金 37億5,700万円(2010年9月30日現在)
売上高 136億円(2010年3月期)
従業員数 318名(連結・正社員のみ)
事業内容 インターネットメディア事業
URL http://mixi.co.jp/

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