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著名起業家インタビュー

株式会社ワークスアプリケーションズ 代表取締役最高経営責任者(CEO)牧野 正幸

著名起業家20代のうちは自分の能力開発に身勝手になれ

株式会社ワークスアプリケーションズ 代表取締役最高経営責任者(CEO)牧野 正幸

※下記はベンチャー通信68号(2017年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

働き方改革は「時間」の問題ではない

―「働き方改革」は政府が重点施策として推進しています。その問題意識は同じですか。

「さらなる生産性の向上が必要」という部分については、同じです。そのために、「一人ひとりがやらされ仕事から解放され、自らの意思で納得して仕事ができる環境を通じて活躍していくこと」がもっとも重要なのです。

『HUE』の開発思想もまさに同様で、一人ひとりがより重要な仕事に集中できるよう、たえず繰り返されてきた煩雑な単純作業から解放することを志向したものです。それにより、人が“考える"時間を確保できれば、潜在的にもつ本来の能力を発揮することが可能になります。

 ただし、ここで重要なことがふたつあります。ひとつは、短期的に発揮されるこうした労働時間の短縮効果よりも、長期的に迫られてくる「仕事自体の変革」こそが「働き方改革」のより本質的な側面だということです。

―具体的に教えてください。

 今後は知識をベースにする仕事は減っていき、人がなすべき仕事が変わっていくということです。知識の習得ではなく、知識や周辺情報をもとに「判断」する仕事が主になるのです。人工知能は、膨大な情報のなかから統計分析やビッグデータ、画像解析などを駆使し、可能性を推測してサジェストするもの。個人の特性を把握できるエンタープライズITだからこそ、限りなく精度の高い情報を提供できる。人がなすべき「仕事」が変わるのです。

 ですから、人にはみずから考え、なにかを生み出す能力がよりシビアに求められてくる。「仕事自体の変革」とはそういうことです。「働き方改革」がもたらす本質的な意味もここにあると考えます。

―もうひとつの重要なことはなんでしょう。

「働き方改革」の根本にかかわることですが、労働を「単に『時間』という指標だけで規制すべきかどうか」という問題です。もちろん、精神を病んでしまうような長時間労働や強制的な働き方は論外であり、それはもはやパワハラの問題です。パワハラ的な労働強制は即刻規制すべきですが、その判断基準は時間だけではない。

 とくに20代は成長する時期であり、学ぶべきことがたくさんあります。優秀な人材、成長する人材はこの時期にこそ、難しくやりがいのある仕事にどんどん挑戦したいもの。シリコンバレーで活躍する若者を見てください。仕事の価値基準を時間で捉えている人などいません。それよりも、「自分がなにを成し得たのか」をもっとも重要視するのです。「いいものをつくりたい」「もっと学びたい」と、どん欲に吸収しようとする若者の意欲まで政府が時間で規制することは行き過ぎです。

 そもそも、労働市場でひく手あまたの優秀な人材は、強制的な働き方をさせた時点で辞めてしまうでしょう。企業がそうした優秀な若者を惹きつける環境づくりを意識すれば、時間を規制せずとも本来は強制労働
など存在しえないはずなのです。

 そして、なによりも重要なのが、仕事内容に見合う適正な評価を行うこと。プロとして仕事に取り組めているのなら、たとえ新人であってもプロと認めた対価を払うべきです。たとえば当社では、報酬を平均30%引き上げ続けています。それほどに、年齢や国籍に関係なく優秀な人材の活躍を求めているのです。

選ぶべきは ピンチを与えてくれる会社

―環境づくりでは、政府の施策を先取りする先進的な取り組みを実践していますね。

 ええ。当社は、つねに優秀な人材を惹きつける環境づくりを心がけています。そのため、優秀な人材にプロフェッショナルとして働いてもらうため、自分の自由な意思決定により働く環境や条件を選べる制度を導入しています(上図参照)。

 フレックスタイム制を取り入れているのはもちろん、たとえば、「スカンクワーク」は、勤務時間の20%を自分がやりたいことの実現のために使えるようにした制度です。また、退職する社員は3年間いつでも同条件で復職できる「カムバック・パス」制度もあります。決別するのではなく、自由に戻ってこられる環境を用意しているのです。最近、新たに開所した社内託児スペース「WithKids」は、会社が子育てを手助けすることで、社員は自由度をもって働き、育児と仕事の完全な両立ができるようにと設けました。

 これらの制度は、社員たちが「これは理不尽だ」と感じたことを解消するようつくられたもので、「もっと自由度をもって働けるように」という理念が貫徹されています。これも、つねに社員一人ひとりに目標をもたせ、たとえ失敗しようとも個人の能力開発を重要視してきたカルチャーがあるからです。

―仕事や会社選びに悩む若者たちにアドバイスをお願いします。

 これからの時代は各自が自分を売り込める明確な能力をもっている必要があります。そのためには、20代は自分の能力を最大化することに専念すべきです。誰もができる仕事をするのではなく、難度の高い仕事に挑戦するチャンスを与え続けてくれる会社、自分の頭で考えてなにかを生み出すためにピンチを与え続けてくれる会社を選ぶべきです。

 そうすれば、30歳になるころには自分で考え、問題解決する力が身についているはずです。そのとき、周囲のいろいろな情報を吟味したうえで、「自分はこんな生き方をしたい」と決めて、行動すればいい。

 世の中のことも、仕事の内容も理解できない20歳前後での就活で、人生を決める企業選びなど、そもそもできるわけがないのです。「30歳前後こそ、理想的な就活のタイミング」というのが、私の持論です。

牧野 正幸(まきの まさゆき)プロフィール

1963年、兵庫県生まれ。大手建設会社に入社後、システム開発会社を経て、1996年、株式会社ワークスアプリケーションズを設立。業界の常識を覆すイノベーションを起こし続け、世界で初めて人工知能を搭載した大手企業向けERPパッケージソフト『HUE』の開発を成功させる。人材育成への注力でも知られており、独自の能力発掘型インターンシップは、学生のみならずメディアから高い注目を集めている。2015年2月から文部科学省の第8期中央教育審議会委員を務めた。

企業情報

設立 1996年7月
資本金 36億2,650万6,000円
売上高 407億8,600万円(連結:2016年6月期)
従業員数 5,631名(連結:2016年6月末現在)
事業内容 大手企業向けERPパッケージソフト『HUE』および『COMPANY』の開発・販売・サポート
URL http://www.worksap.co.jp/

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