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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社フクダ・アンド・パートナーズ 代表取締役社長 福田 哲也

物流施設づくりのプロフェッショナルが向かう「次なるステージ」

暮らしを支える生活インフラづくりで、「豊かで安心な未来を創る」企業に

株式会社フクダ・アンド・パートナーズ 代表取締役社長 福田 哲也

創業以来23年間一貫して物流施設に特化した専門サービスを提供し、世界を代表する企業の物流施設づくりに携わってきたフクダ・アンド・パートナーズ。「暮らしを支える生活インフラづくりで、豊かで安心な未来を創る」という社会貢献性の高いパーパスを掲げているが、背景には、東日本大震災での体験が大きく影響しているという。パーパスのもと、どのような事業展開を目指しているのか。代表の福田氏に詳しく聞いた。
※下記はベンチャー通信92号(2025年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

創業以来の「精神」で、顧客に期待以上の価値を提供

―事業内容を教えてください。

 私たちは物流施設に特化した設計・監修・プロジェクトマネジメントを行う会社であり、企業の成長とともに、川上から川下まで一気通貫のサービス提供を可能にしてきました。具体的には、事業計画の立案、フィジビリティスタディ、用地選定、設計、テナントリーシング、施設管理など、さまざまなサービスを提供しています。食品会社や通販会社、運送会社、またはデベロッパーなど、日本や世界を代表する企業の物流施設づくりを数多く支援してきました。その規模は延べ床面積で約737万坪、東京ドーム約521個相当に達し、創業以来、増収増益で成長し続けています。

―顧客に支持される要因はなんでしょう。

 物流施設づくりに特化していることによる設計・建築の専門性の高さと、サービスの提供領域の広さがお客さまに支持されており、評価につながっていると思います。また、当社の「One More Try」というスピリットも企業価値向上につながっています。簡単に「できない」とせず、「できるようにする」ために「もう1回の努力」を積み重ねることがイノベーションの原動力となり、お客さまの期待を上回る高い品質と成果を生み出すと考えています。

―そうして成長してきた今、事業に対してどのような想いがありますか。

 当社は、物流施設は「人々の暮らしを支える生活インフラ」だと考えており、生活インフラである物流施設づくりを通じて、「豊かで安心な未来を創る」という想いをパーパスとして掲げています。これは、当社が目指す社会貢献のかたちでもあります。この想いに至ったのは、東日本大震災でお客さまの物流施設復旧に携わった経験が大きく影響しています。

震災の経験で強く心に刻んだ、物を運ぶことの大切さ

―どういった経験ですか。

 震災当時、東北地区にもお客さまの物流施設が多くありましたので、当社は設計事務所として現地に赴き、72もの物流施設の復旧に取り組みました。壊れた棚や商品の片付け、ゴミの撤去、泥まみれの床清掃のための人員手配のほか、自ら自家発電装置や分電盤を探すなどして、早期再稼働のために、できることはなんでも支援しました。復旧支援をした物流施設の機能が回復して商品が出荷され、スーパーやコンビニの棚におにぎりやパンが並んだときには涙が溢れました。この経験から、「物流施設は生活を支えるインフラであり、命を守るライフラインである」と強く心に刻んだのです。その後、新型コロナウイルス感染拡大で多くの経済活動が制限された際にも、「物を届ける」ことを決して止めてはいけない、と強い意識で物流施設づくりを行い、プロパティマネジメントとしてオペレーション支援をしました。そうして当社の事業が人々の生活を支えることにつながっていると認識し、誇りを感じるとともに、今後は事業を通じて社会課題を解決することが私たちの役割であると決意しました。

―その決意のもと、どのような取り組みを行っていますか。

 2022年、宮城県仙台市の長町エリアに、平時と非常時で機能が変わる「仙台長町未来共創センター」を自ら企画・開発しました。本施設は、平時はオフィスビル、非常時は地域の人々を守る防災施設となります。東日本大震災の経験から、電気の3次バックアップを備えて「明かりの消えない施設」を目指しました。また、人の命を守るためには地域とのつながりと物を運ぶ機能が重要との考えのもと、本施設の隣接地で物流事業を行っておりBCP物流で実績の豊富な丸和運輸機関、国際的防災都市の仙台市、および災害研究で世界的に有名な東北大学と産官学による災害支援協定を締結しました。さまざまな取り組みが評価され、経済産業省の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」や、内閣官房の「国土強靭化 民間の取組事例」として紹介されました。また、現在は「福島郡山LLタウン(※)」開発に取り組み、広域物流の拠点づくりと広域防災連携で国のレジリエンスに貢献したいと考えています。
※LLタウン : フクダ・アンド・パートナーズの登録商標。「LL」は「Logistics」と「Lifeline」を表しており、物流施設が人々の暮らしを守るサスティナブルな存在となるとの想いを込めている

―「物流施設づくり」の枠を超えた取り組みと言えますね。

 そうですね。当社は3つの事業の真ん中にSDGsやCSV(※)を掲げており、設計やさまざまな専門サービスにSDGsにつながる仕様を提案し、「経済合理性の追求」と「社会貢献」の両立を目指しています。特に気候変動問題は無視できない社会課題であり、物流施設づくりにおいても重要なテーマであるため、同じ想いを持つ人や企業と共創して、できることから課題解決に取り組みたいと考えています。当社は、23年前に「机3つ」で起業し、物流施設づくりに特化した設計や建築サービスで成長を続け、社員も200名を超えました。さらなる成長を目指し、「暮らしを支える生活インフラづくりで、豊かで安心な未来を創る」という目標に向かって、設計・不動産の専門サービス会社として、価値の高い企業を目指して取り組んでいきます。
※CSV : Creating Shared Valueの略。社会的課題に取り組むことで社会的価値を創造し、その結果、経済的価値も生まれるという考え方
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