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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社アークス 代表取締役社長 平井健太

ネットワーク・通信インフラ工事を母体とする会社が目指す組織の在り方

「事業多角化×挑戦」でさらに飛躍し、メンバーが誇れる会社を創る

株式会社アークス 代表取締役社長 平井健太

2010年、ネットワーク・通信インフラ工事を行う会社として大阪府堺市に誕生したアークス。現在は祖業を手がけつつ、Web制作および広告の運用、人材紹介業など事業の多角化を図っている。その陣頭指揮を執っているのが、同社の2代目として、2024年に代表へ就任した平井氏だ。なぜ、事業の多角化へと経営の舵を切ったのだろうか。「第二創業期を迎え、さらなる飛躍を目指す」と語る同氏に、今後のビジョンを含めて聞いた。
株式会社アークス
代表取締役社長
平井 健太ひらい けんた
1988年、大阪府生まれ。2010年に京都産業大学を卒業後、流通大手のコンビニエンスストア本部でストアマネジメントを担当。その後、不動産業界に特化した人材紹介会社、医療業界に特化した人材紹介会社を経て、2017年、株式会社アークスに入社。2024年、代表取締役社長に就任する。

祖業を大事にしつつ、あわせて4つの事業を展開

―事業内容を教えてください。

 おもに4つの事業を展開しています。まずは、先代である私の父親が立ち上げた、「エンジニアリング事業」です。こちらは、有線・無線LANの配線やサーバ、通信機器の整備といったネットワークおよびセキュリティシステムの設置工事などを手がけています。次に「クリエイション事業」。こちらでは、Webサイトの企画・制作・運用およびLP(※)の制作などを行っています。そして、おもにGoogleを活用した広告の運用代行を手がける「マーケティング事業」、最後にIT業界に特化した「人材紹介事業」です。もともと当社は、エンジニアリング事業のみを手がけていましたが、私が2017年に入社して以降、メンバーの力を借りながら少しずつ事業の多角化を進めていきました。
※LP:Landing Page(ランディングページ)の略で、広告や検索結果、SNSなどからユーザーが最初にアクセスするページを指す

―なぜ、事業の多角化を進めたのですか。

 メンバー全員で、会社をさらに飛躍させたいと考えたからです。当社に入社する前の私は、自分自身で人材紹介会社を立ち上げるか、アークスの新規事業として人材紹介事業を始めるかを模索するなかで、最終的に後者を選択しました。その後、未経験者層の紹介から特許取得済みのSaaSを活用した仕組みづくり、さらにはIT業界のハイレイヤー人材の紹介まで幅広く取り組みました。ただ、人材紹介業界は利益率が高い一方で属人的になりやすく、コロナ禍の影響も重なり、事業を模索するなかで一部のメンバーが離れることもありました。そうした時期を経て、残ったメンバーで「次にどう会社を伸ばすか」を真剣に考えたなかでたどり着いたのが、自社の広告・Web戦略によるエンジニアリング事業の強化でした。営業人員を一気に増やすのではなく、Webデザイナーやコーダー(※)を採用して内製化させ、「24時間365日稼働するWeb営業マン」を育てることに注力したのです。
※コーダー:Webデザイナーが作成したWebサイトのデザインを、HTML、CSS、JavaScriptなどの言語を使って実際にWeb上で閲覧可能な形式に構築する職種のこと

―外注は考えなかったのですか。

 もちろん、外注も選択肢にはありました。ただ、Web制作は当社の成長戦略の根幹に据えると決めていたため、内製化を選びました。将来的にはエンジニアリング事業の顧客に対してもWeb制作を提供することで、クロスセルを実現できると考えていたからです。そこで、人材紹介事業で培ったコネクションやノウハウを活かし、デザイナーやコーダーを採用して社内に制作体制を構築しました。まずは、自社の企業サイトやサービスサイト、LPを含めて約20件を自社で制作し、Web戦略を一気に刷新しました。そこからさらに、自社サイトや制作物を刷新・拡充し、SEO対策などで認知度を高めることで、上場企業からも問い合わせが来るようになりました。これにより、従来は2次請け、3次請けが中心だったエンジニアリング事業の案件構成から脱却し、直案件を獲得できる体制へと進化させることができました。その結果、現在では多いときに月10件ほどの新規問い合わせが寄せられるようになり、安定して案件を獲得できる仕組みをつくることができました。そして、当初の狙いどおり、エンジニアリング事業で受注した顧客からクリエイション事業を依頼されるケース、あるいはその逆パターンでのクロスセルも増えてきました。そこからさらに集客を強化する流れで、マーケティング事業にも展開していったのです。

 こうして、先代からの祖業を引き継ぎながらも、新たな付加価値を生む企業となり、2024年に私が代表に就任しました。これを機に、いまを第二創業期と位置づけ、新たな経営の舵を切ったのです。その手始めのひとつとして、企業理念を策定しました。

「言われた以上のことをやる」。企業理念に込めた想い

―どのような企業理念でしょう。

 「一歩踏み込んだ感動レベルの価値提供」です。じつは以前もミッションやビジョン、バリューを何度か策定したことはありましたが、正直なところ浸透しませんでした。そこで、形だけの言葉ではなく「日々の仕事のなかで私たちが本当に大切にしていること」を幹部メンバーと改めて話し合ったのです。すると、「ただ言われたことをやるのではなく、それ以上の付加価値を提供しようとしている」という姿勢が全員に共通していることに気づきました。その共通認識をシンプルに言語化したのが現在の企業理念です。これまでのようにカッコよさを狙った言葉ではなく、現場の実感から生まれた言葉だからこそ、今は全メンバーがストンと腑に落ちて、同じベクトルを向いて日々の業務に取り組めていると感じています。

会社とともに成長してくれる新たなメンバーを募集

―今後のビジョンを教えてください。

 売上を含めてさらに会社を成長させていきたいという想いは変わっていませんが、今は働いているメンバーやその家族が誇れるような会社にしていきたいという気持ちが強いですね。私が前職時代の人材紹介業務のなかで実感したのですが、求職者が転職を考える要因は、自身のキャリアアップだけでなく、勤めている会社に不満を持っているケースも少なくありませんでした。そのため私は、会社や仕事に誇りを持てるメンバーの集合体であることこそが、今後も勝ち残っていける会社の条件だと考えているのです。そのための組織づくりも強化していく方針です。たとえば、社内のDXをより加速していくほか、これまで大阪市中央区の本町にオフィスを構えていましたが、JR大阪駅エリアで開発が進む複合施設「グラングリーン大阪」の中核をなすイノベーション創出拠点「JAM BASE(ジャムベース)」に移転しました。こちらで、社内外の交流の活発化を図っていきます。

 そうした社内環境を整備したうえで、これからのアークスとともに成長してくれるメンバーを募集します。

―成長できる環境で、キャリアアップを図りたいと考えている若手にメッセージをお願いします。

 当社は16期目を迎えますが、いまもベンチャーマインドを持ち続け、「事業多角化×挑戦」を合言葉にさらに飛躍を目指しています。4つの事業を展開していますが、ポストはまだまだ空いています。やりたいことがあれば手をあげて挑戦でき、任せてもらえる環境です。成長のチャンスを掴みたい方々は、ぜひ私たちと一緒に挑戦していただきたいですね。
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