INTERVIEW 業界別起業家インタビュー
4000万ユーザーの支持に安住せず新領域に挑む開拓者
技術と感性を高いレベルで融合させた 企業が勝つ時代です
株式会社サイバーエージェント 代表取締役社長 藤田 晋
2015年4月3日。国内有数のインターネットメディアとなった『Ameba 』のロゴと、その運営会社サイバーエージェントのロゴが新しくなった。アメーバモチーフのロゴが世間に浸透していたなかで、あえて変更したねらいを、同社代表の藤田氏は「これまでのイメージを一新し、世界水準で戦うクリエイティブな会社であるという意思表明のため」と語る。起業から17年。2015年9月期には売上高2,400億円を見込む規模にまで会社を成長させた同氏が、さらに新しい領域へとチャレンジしていこうとしている。ITベンチャーの旗手、藤田氏の挑戦に迫った。
※下記はベンチャー通信60号(2015年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
IT企業は少しでも “古い”と思われたらアウト
―今年4月に企業ロゴや『Ameba』のロゴを一新しました。世間にある程度浸透していたものを変更したねらいはなんですか。
“世界水準で戦うクリエイティブな会社である”として認知されるためです。IT企業は少しでも“古い”と思われたら終わり。サイバーエージェントは1998年から、『Ameba』はブログサービスとしては2004年から存在しています。これまでのイメージにひきずられてはいけない。「どこかのタイミングで、築き上げたものを大きく崩さなければいけない時期が来る」と思っていたんです。
そこで、私直轄のプロジェクトとして、半年かけて新しいロゴを制作しました。社員総会で発表したのですが、それまでは役員にさえ見せていませんでした。企業としては斬新なロゴデザインだったので、発表の瞬間はみんな面喰らっていましたね。それでも、すぐに受け入れてくれたようです。「もっと抵抗感があるかな」と思っていましたが、みんなサイバーエージェントがどんどん新しくなっていく、変わっていくことを前向きに受け止めていましたね。
そこで、私直轄のプロジェクトとして、半年かけて新しいロゴを制作しました。社員総会で発表したのですが、それまでは役員にさえ見せていませんでした。企業としては斬新なロゴデザインだったので、発表の瞬間はみんな面喰らっていましたね。それでも、すぐに受け入れてくれたようです。「もっと抵抗感があるかな」と思っていましたが、みんなサイバーエージェントがどんどん新しくなっていく、変わっていくことを前向きに受け止めていましたね。
―イメージチェンジするのがこのタイミングだった理由を教えてください。
インターネット業界において、スマートフォン(以下、スマホ)時代になったことで、クリエイティブ力が勝敗をわける決め手になってきたからです。これまで作り上げたものにとらわれないよう、社内の意識改革をする意味もありました。
パソコン時代のネットサービスでは、「クリエイティブをがんばればがんばるほどユーザーにとって使いにくいものになる」という面がありました。動きなどにこったクリエイティブにしても、重たくなってしまう。GoogleやYahoo!を見ても、そのデザインはとてもシンプルです。
しかしスマホは違います。クリエイティブにこだわり、ユーザーインターフェイスを向上させたサービスが支持されるんです。
パソコン時代のネットサービスでは、「クリエイティブをがんばればがんばるほどユーザーにとって使いにくいものになる」という面がありました。動きなどにこったクリエイティブにしても、重たくなってしまう。GoogleやYahoo!を見ても、そのデザインはとてもシンプルです。
しかしスマホは違います。クリエイティブにこだわり、ユーザーインターフェイスを向上させたサービスが支持されるんです。
クリエイティブ人材に活躍の場を与えたい
―5月にエイベックスと組んで始めた、サブスクリプション型の音楽ストリーミングサービス『AWA』も、クリエイティブにこだわってつくったそうですね。
ええ。今までのアプリと比べても見た目にインパクトのあるデザインにしています。その一方で、細部の動き方にこだわり、ユーザーが気持ちよく操作できるよう作りこんでいます。
クリエイティブが重視されてこなかったパソコン時代には、インターネット業界で美大卒の人材が活躍できる余地はほとんどありませんでした。ただでさえ、技術と感性的なものであるクリエイティブ、この2つを高いレベルで融合するのは難しい。人材がいなければなおさらです。しかしAppleのように、それができているところが今は最終的に勝者になるんです。
新しいロゴや『AWA』などのサービスによって、私たちの新しいクリエイティブ水準を示すことで、クリエイティブ人材の採用や育成にもつなげていきます。
クリエイティブが重視されてこなかったパソコン時代には、インターネット業界で美大卒の人材が活躍できる余地はほとんどありませんでした。ただでさえ、技術と感性的なものであるクリエイティブ、この2つを高いレベルで融合するのは難しい。人材がいなければなおさらです。しかしAppleのように、それができているところが今は最終的に勝者になるんです。
新しいロゴや『AWA』などのサービスによって、私たちの新しいクリエイティブ水準を示すことで、クリエイティブ人材の採用や育成にもつなげていきます。
―クリエイティブ力を高めて、世界へと打って出るわけですね。
「世界的サービスを生み出したい」という想いはあります。とはいえ、私はつねに地に足をつけ、身の丈にあった経営を心がけてきました。これからもその方針は変えず、ムリな投資はしません。それを続けるなかで、世界市場で支持されるサービスを生み出したいですね。
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