INTERVIEW 業界別起業家インタビュー
つねに新しいサービスを生み出し続けるIT起業家
世界で勝てるチームの一員になろう
株式会社ディー・エヌ・エー 取締役ファウンダー 南場 智子
Apple、Google、Facebook…。世界的メガベンチャーはつねにシリコンバレー生まれ。国内勢はその後塵を拝するばかりだ。そんななか、「世界をとる」と本気で宣言した起業家がいる。DeNA創業者で、次々と新しいインターネットサービスを生み出してきた南場氏だ。家庭の事情で同社代表を退いたいまも、世界戦略の推進と人材採用をになう。グローバル企業へのビジョンと世界に通用する人材の条件を同氏に聞いた。
※下記はベンチャー通信57号(2014年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
―世界的メガベンチャーへと飛躍する国内ベンチャー企業が出てこないのは、なぜですか。
南場:起業する人が圧倒的に少ないからです。起業がクールなことだと認識されている米国では、優秀な学生ほど起業する。エスタブリッシュメント企業に就職するのは、むしろ恥ずかしいという風潮があります。日本では起業家の数が少ないうえに、優秀な人が起業家にならない。起業の成功確率はただでさえ低いのに、これではメガベンチャーが出てこないのもあたりまえです。
―起業に向かない気質の人が多いのでしょうか。
南場:いいえ、そうは思いません。日本人の多くはクリエイティブで、事業立ち上げへの意欲も商売の才覚もある。問題は教育です。解答欄に正解を書きこんでマルをもらう。そんな教育によって、生来のアントレプレナーシップがおさえつけられてしまうんです。つねに「間違ったことをしないように」と意識し、組織にとけこもうとする人材を育てる。これは加工貿易立国に最適化された教育システムです。でも、もはやそれでは立ちゆかない。新興国にポジションをゆずらざるを得ないからです。これからの日本に必要なのは、欧米の発明品を大量生産することではなく、自ら新しい発明をどんどん生み出すこと。それには、優秀な人がもっと気軽に起業するようになってほしいです。
―そんな日本で、DeNAがここまで成長できた理由はなんですか。
南場:人材の質が圧倒的に高いことです。とかくベンチャー企業は、大企業に入れなかった人たちの集まりになりがちです。そうはなりたくなかった。だから、どんなに人手不足でも歯を食いしばって、優秀な人材だけを採用するようにしてきました。手が足りないときにはアウトソーシングなどを活用。正社員で採用するのは、「ほかにアテがないから」ではなく、「どの会社にだって入れるけれど、DeNAに入りたいんです」という人だけに限ってきました。
―優秀な人材を集める方法を教えてください。
南場:「この人を採用したい」と思ったら、時間をおしみません。ひんぱんにコンタクトを取って、「最近どう?」なんて、飲みながら話をする。タイミングをみて入社するように口説く。たぶん私は、日本でいちばん採用に時間をかけている経営者じゃないかな。いまも3人くらい、口説き落としたい人材をリストアップしています(笑)。たとえば昨年入社した男性。就活でDeNAを受けてくれて、「多くの人を動かす力をもっているな」と評価していたんですが、外資系の投資銀行に就職してしまった。私はそれから2年待ちました。彼は入社2年目にニューヨークに赴任。あちらでトップバンカーになった。一時帰国したときに会ったんですが、「新しい事業を立ち上げたい」といってきた。「だったら、うちにおいで」と。それでやっと転職を決意してくれました。入社してさっそく周囲をまきこむ力を発揮。彼のチームはわずか4ヵ月で「Showroom」という仮想ライブ空間の新サービスを事業化したんです。
―南場さんが考える優秀な人材の条件はなんですか。
南場:大事な条件のひとつは「思考の独立性」があることです。他人の考えにあわせるのではなく、自分のアタマで考え、自分なりの意見をもち、それをしっかりと発信する。それができない人は、DeNAでは活躍できません。
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