INTERVIEW 業界別起業家インタビュー
マザーズ上場から史上最速の233日で東証一部に昇格したITベンチャー
ニッポンの「チーム力×開発力」で名古屋から世界市場を席巻してみせる
株式会社エイチーム 代表取締役社長 林 高生
リリースから1年3ヵ月で全世界のダウンロード数が700万を超えた『ダークサマナー』を開発。マザーズ上場から史上最短の233日で東証一部へ昇格――。名古屋市に本社を構えるエイチームは、いまもっとも注目を集めるITベンチャーのひとつだ。しかし、創業から6年間は業績低迷が続き、先が見えない状態であったという。どのようにして会社を立て直し、ヒット作品を生むことができたのか。代表の林氏に聞いた。
※下記はベンチャー通信53号(2013年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
―御社は2012年4月にマザーズへ上場し、わずか7ヵ月後には東証一部へと市場変更しました。なぜ、これほど急成長できたのでしょう。
林:高い組織力を発揮できるからです。当社は個人よりもチームで活躍することをうながしています。そのために、部署ごとにチームを細分化し、収支に責任を持たせています。また、定期的にグループ勉強会を開催。社外研修に参加したメンバーが、学んだ知識をチームにフィードバックしています。
―なぜ、そこまでチーム力を高める必要があるのですか。
林:「みんなで幸せになれる会社」を目指しているからです。そのため、当社は人物重視の採用を行っています。スキルがあっても性格が問題では、チームでの活躍は見込めませんから。それに、スキルは入社後に身につきます。
―採用では工夫した取り組みもありますね。
林:当社は「エイチームキャンプ」というITエンジニア養成プログラムを実施。未経験者を時給800円のアルバイトで募集し、3ヵ月間でプログラミングを学んでもらうものです。優秀な人は契約社員として採用し、現在15名が現場で活躍しています。彼らを教えるのは、当社の中堅プログラマー。スキルはもちろん、チームワークを大切にする私たちの姿勢を同時に指導できます。
―そのほかに、成長の要因はありますか。
林:創業以来、挑戦を続けてきたことです。たとえ失敗しても、そこから学んで次に活かせばいい。『ダークサマナー』も、100本以上のソーシャルゲームの失敗を糧に生まれたんです。私自身、高い数値目標を掲げ、つねに挑戦してきました。中期経営計画を5年スパンで設定し、2009年に掲げた目標も達成のメドがついています。いずれも、簡単に達成できない数値目標でした。しかし、普通の目標では急成長できないと思ったんです。
―目標が高すぎると、スタッフが不安になりませんか。
林:確かに、スタッフも「年商100億円」という目標を聞いた直後は戸惑ったかもしれませんね。でも、理にかなった目標であれば、金額は関係ありません。当時は、スマートフォン(以下、スマホ)が普及しはじめたとき。フィーチャーフォン向けゲーム開発がメインの当社には逆風でした。でも、スマホ市場へ経営資源を集中投資すれば、5年後の年商100億円が見えてくる。それを実現する戦略を具体的に話すと、スタッフは納得してくれました。大切なのは、合理的かつ高い目標を掲げること。そして、全社で共有すること。それをクリアすれば、成長の壁を突破できます。成長市場を見極める大切さは、日本を代表するITベンチャーの傾向でもわかります。Yahoo!JAPANや楽天など、大手ITベンチャーの経営者は技術者出身ではありません。でも、彼らにはIT時代の到来を予測する洞察力があった。サービスは、市場を見極めたあとでも形にできます。「まず、どの市場に一番将来性があるのかを考えてね」。社員が新しい企画や事業に挑戦するときには、つねにこう話しています。
―チームワークを強化する仕組み、合理的かつ高い目標へのチャレンジ、成長市場への集中投資。この3つの要因が、現在の成長につながっているのですね。創業時から経営は順調だったのですか。
林:いえ。これまでは厳しい道のりでした。とくに、創業から6年間は本当に大変でしたね。 当時のエイチームは、知名度もなければアピールすべき経営理念もない。集まってくれたのは、社会人として未熟な人材でした。たとえば、始業時間は10時なのに、16時に出社してくるんです。当時、事業は携帯サイトの受託制作がメインでしたが、納期が非常に短かった。「クレームを受けたくないから」と、スタッフが電話に出ない。組織も事業も負のスパイラルに陥り、スタッフが疲弊してしまいました。このままではいけないと一念発起したんです。
―どのようにして会社を変えたのですか。
林:きっかけは2冊の本との出会いでした。1冊目は『非常識な成功法則』という本。「夢は紙に書くことで実現できる」といった内容で、実際にそれを実践しました。書いた内容は「2年以内に売上を10倍にする」「下請けをやめて、自社のサービスを作る」のふたつです。その目標をどうしたら実現できるのか――。その当時に思いついたアイデアを具体的に紙に書いて、目標を細分化しました。そのなかのひとつにあった「携帯電話向けゲームを開発する」が、無事に成功して下請けから脱却できました。
2冊目は、『「仕事ごころ」にスイッチを!』というビジネス書。事業面では軌道に乗り始めたのですが、社内の雰囲気はそれほど良いわけではなく、私自身マネジメント経験もなかった。組織づくりについて、非常に悩んでいた時期に出会った本です。内容は「必ず打ち上げをやる」「相手をねぎらう」「相手の良いところをほめる」といったものでしたが、すがるような思いで書かれていることを徹底的に実践したんです。最初は、スタッフのみんなも恥ずかしそうでしたが、雰囲気も徐々に良くなり、現在のエイチームの「お互いを認め合う」という風土の元となっています。
2冊目は、『「仕事ごころ」にスイッチを!』というビジネス書。事業面では軌道に乗り始めたのですが、社内の雰囲気はそれほど良いわけではなく、私自身マネジメント経験もなかった。組織づくりについて、非常に悩んでいた時期に出会った本です。内容は「必ず打ち上げをやる」「相手をねぎらう」「相手の良いところをほめる」といったものでしたが、すがるような思いで書かれていることを徹底的に実践したんです。最初は、スタッフのみんなも恥ずかしそうでしたが、雰囲気も徐々に良くなり、現在のエイチームの「お互いを認め合う」という風土の元となっています。
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