INTERVIEW 業界別起業家インタビュー
一点突破、全面展開
株式会社アシックス 創業者 鬼塚 喜八郎
※下記はベンチャー通信10号(2004年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
―鬼塚さんが人生の使命感を見つけた時、どんな気持ちだったんですか。
鬼塚:いやー、本当に嬉しかったですよ。今までモヤモヤしていた霧が、一気に晴れたような気持ちです。みなさんも、本当に事業を興したいなら、使命をはっきりとさせることです。素晴らしいスポーツシューズを作って、青少年を立派に育てよう。これが僕の使命でした。物のない時代だから、靴を作れば、飛ぶように売れる。だからと言って、いっちょ儲けてやろうではダメなんです。当時の多くの闇商売の靴屋は、金儲けが目当てだった。そんな商売は長くは続かない。事業を興すなら、志を持たないといけない。それも終生の志です。この志を持てるかどうかで事業の成否が決まるんです。
―志とは、なんですか。
鬼塚:「動機は善なるや、私心なかりしか」ということ。つまり、あなたの仕事をする動機は、いったい何だと。金儲けが動機なのか。自分の私利私欲だけが動機なのか。それとも人のためや世の中のために役に立ちたいのが、動機なのか。
それを自分の胸に聞いてみる。金儲けが動機だったり、自分の私利私欲だけが動機だったら、そんなものは志でも何でもない。そんな人に事業は興せないし、誰も協力しません。人のため社会のために事業を興すから、人々も応援し、社会もあなたを成功させるんです。小さな安易な目標では、誰も見向きもしません。
また志を持った人は、土壇場に強い。困難にブチ当たっても倒れない。これをやり遂げるまでは、死ねんぞっていうくらいの気迫がある。事業を興せば、必ず危機は訪れるんです。その危機を乗り越えられるかで、事業家としての素質が決まります。そこで潰れてしまう人は、そのまま終わり。でも、そこで耐えられる人は成功していく。危機に耐えられる人は、私利私欲だけで事業を起こしていない人です。
それを自分の胸に聞いてみる。金儲けが動機だったり、自分の私利私欲だけが動機だったら、そんなものは志でも何でもない。そんな人に事業は興せないし、誰も協力しません。人のため社会のために事業を興すから、人々も応援し、社会もあなたを成功させるんです。小さな安易な目標では、誰も見向きもしません。
また志を持った人は、土壇場に強い。困難にブチ当たっても倒れない。これをやり遂げるまでは、死ねんぞっていうくらいの気迫がある。事業を興せば、必ず危機は訪れるんです。その危機を乗り越えられるかで、事業家としての素質が決まります。そこで潰れてしまう人は、そのまま終わり。でも、そこで耐えられる人は成功していく。危機に耐えられる人は、私利私欲だけで事業を起こしていない人です。
―最後に起業家を目指す若者にメッセージを下さい。
鬼塚:ベンチャーベンチャーって言うけど、ただの金儲けのベンチャーじゃダメ。自分が起こすベンチャーによって、社会がどんな恩恵を受けるのか。それが非常に大事。間違った考え方では必ず失敗する。人が協力しなくなる。人も助けてくれなくなる。目標を正しい方向に定めて、自分の全知全能を使い、多くの人を幸せにする道を選ぶことです。利己主義では、絶対にダメです。それとベンチャーは、ひと真似は絶対にしてはいけない。自分の独特の技を極めるべきです。また大企業がやらない分野を、ベンチャーがやる。大企業は、市場の中で網の目のごとくシェアを広げている。しかし、そんな網の目の中にも、必ず隙間があるんです。その隙間をベンチャーが狙っていく。これを隙間商法と言うんです。
僕自身は、「オニツカ式キリモミ商法」って言ってるんだけど、市場の中のある一点に集中して、掘り下げていく。ただ一つだけでいい。その一点に集中して、その消費者に合う商品を開発していくんです。あれもこれもでは、大企業には勝てない。バスケットシューズだったら、バスケットシューズだけ。そこに一点集中する。これがベンチャーの成功の決め手です。
それともう一つ大事なのが、「頂上作戦」。これは何かというと、ある商品を開発するときに、まず消費者のトップ層をターゲットにすること。例えば、バスケットシューズを開発するなら、バスケットのトップレベルの選手のニーズを徹底して調査する。とことんニーズを汲み取って、技術を開発し、商品化する。
そうすると、そのトップ層の選手の動向を気にしている第二層、つまりイノベーター層が真似をして、その商品を買うようになる。今度はその下の中間層も、それに追随する。そうやって、その商品は市場に浸透するんです。
つまり、「オニツカ式キリモミ商法」で市場の一点に集中し、「頂上作戦」でトップ層の消費者に訴えかける。これがベンチャーの攻め方です。でも、もちろんテクニックだけでは、ベンチャーは成功しません。そこに創業者の情熱がなくてはいけない。情熱を持ちながら、忍耐強く続けること。また、失敗しても、そこで終わらせてはいけない。失敗は成功の母。失敗を糧に、次の目標に向かっていく。あと忘れてはいけないのが、健康です。どんなに忍耐力があっても、病気になってしまえば、事業は興せない。神様は、みんなに平等にチャンスを与えてくれています。素直な心を大事にして、何でもチャレンジしていけば、おのずと道は開けていきます。みなさんの成功を私も願っています。頑張ってください。
僕自身は、「オニツカ式キリモミ商法」って言ってるんだけど、市場の中のある一点に集中して、掘り下げていく。ただ一つだけでいい。その一点に集中して、その消費者に合う商品を開発していくんです。あれもこれもでは、大企業には勝てない。バスケットシューズだったら、バスケットシューズだけ。そこに一点集中する。これがベンチャーの成功の決め手です。
それともう一つ大事なのが、「頂上作戦」。これは何かというと、ある商品を開発するときに、まず消費者のトップ層をターゲットにすること。例えば、バスケットシューズを開発するなら、バスケットのトップレベルの選手のニーズを徹底して調査する。とことんニーズを汲み取って、技術を開発し、商品化する。
そうすると、そのトップ層の選手の動向を気にしている第二層、つまりイノベーター層が真似をして、その商品を買うようになる。今度はその下の中間層も、それに追随する。そうやって、その商品は市場に浸透するんです。
つまり、「オニツカ式キリモミ商法」で市場の一点に集中し、「頂上作戦」でトップ層の消費者に訴えかける。これがベンチャーの攻め方です。でも、もちろんテクニックだけでは、ベンチャーは成功しません。そこに創業者の情熱がなくてはいけない。情熱を持ちながら、忍耐強く続けること。また、失敗しても、そこで終わらせてはいけない。失敗は成功の母。失敗を糧に、次の目標に向かっていく。あと忘れてはいけないのが、健康です。どんなに忍耐力があっても、病気になってしまえば、事業は興せない。神様は、みんなに平等にチャンスを与えてくれています。素直な心を大事にして、何でもチャレンジしていけば、おのずと道は開けていきます。みなさんの成功を私も願っています。頑張ってください。
PROFILE
プロフィール
鬼塚 喜八郎(おにつか きはちろう)プロフィール
1918年(大正7年)鳥取県生まれ。昭和11年、旧制鳥取第一中学校を卒業。軍隊生活を経て、昭和24年、スポーツシューズ製造会社の「オニツカ株式会社」を興す。その後、いくたびかの試練を経ながらも拡大を続け、昭和52年、同社を中核に3社が合併して「株式会社アシックス」を発足、社長に就任。同社をシューズ、ウェアをはじめとした総合スポーツ用品の世界的メーカーに育て上げた。現在、同社取締役会長。他には、世界スポーツ用品工業連盟終身名誉会長(三代目、六代目会長)。(社)スポーツ産業団体連合会会長、(社)日本スポーツ用品工業協会名誉会長(二代目会長)、(財)日本発明振興協会会長などの要職にも就いている。
企業情報
設立 | 昭和24年9月1日 |
---|---|
資本金 | 239億7,200万円(平成15年3月31日現在) |
売上高 | 1356億円(平成15年3月期実績) |
従業員数 | 単独1,242人・グループ4,700人 (平成15年3月31日現在) |
事業内容 | 各種スポーツ用品および各種レジャー用品の製造および販売 |
URL | http://www.asics.co.jp |
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