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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社チョクモ 代表取締役 新田 崇人

“チームのような会社”を追求する異色のIT起業家

メンバーが仕事に熱中できる環境が高い顧客満足を生み出すんです

株式会社チョクモ 代表取締役 新田 崇人

ゲーム大手のコロプラ、経済ニュースサイトを運営するユーザベース、エキスパートによる情報提供サイトを手がけるオールアバウトなど、都内では渋谷や六本木と並んでIT企業の多い恵比寿に、「HP制作会社」の看板を掲げるチョクモがある。だが、同社にはWebサイトの制作だけでなく「スマホアプリで営業支援ツールをつくりたい」「AIを活用して業務の効率化ができないか」といった幅広い相談が寄せられる。代表の新田氏の型にはまらない発想から生まれた事業形態だ。「カイシャというよりチーム。僕も社長というよりプレイヤーのひとり」と語る同氏に、未来のチョクモ像を聞いた。

顧客のすぐ近くにいて顔をあわせる関係を築きたい

―ホームページ制作は会社の所在地に関係なく仕事ができると思います。その中で、あえて「恵比寿にあるホームページ制作会社」と強調しているのはなぜですか。

 顧客が本当に望んでいるものを理解し、それに対応する提案をするためには、実際に顔をあわせて話すことがとても大事だからです。おっしゃる通り、ネットを使えば世界中の顧客と仕事ができるでしょう。

 ですが、たとえば以前、「営業力が弱いので自社製品の魅力を伝えるアプリをつくって営業スタッフ不要の販売体制を築きたい」という相談を受けたことがあります。でも、本当にアプリがいいのか。むしろ、小冊子とかアナログな営業ツールを制作して、営業スタッフに持たせたほうが営業力強化につながると思い、「アプリはやめましょう」と伝えたんです。

 これをSkypeとかメールとかで伝えたら、顧客はきっと怒りますよね。「機械的な対応だ」と。でも、きちんと対面で、しっかり根拠を示しながら伝えれば、誠意をわかってもらえます。

―ちょっと待ってください。アプリではなく小冊子の制作では、チョクモの売上にならないのではありませんか。

 そうですね。でも、それは当社のためでもあるんです。顧客のためにならないものをつくっても、その場限りの利益は出るかもしれませんが、長続きしません。次の仕事につながらない。でも、アナログな改善で効果が出た後、「さらにITを活用して、より営業力を高めよう」となったとき、いのいちばんに「チョクモに依頼しよう」と思ってもらえます。そのほうがよっぽど、当社の利益になるんです。

 顧客のことを深く理解し、真摯に仕事に取り組み、よいものをつくることで期待にこたえる。当たり前かもしれませんが、それしかないんです。そのためには、顧客のそばにいてなんでも相談してもらえる関係性を築くことが大事。ですから今後、恵比寿に本拠を置く企業からのご相談もさらに増やしていきたいですね。

ストレスのない環境で好きなことに打ち込む

―都市部でIT企業が「地域密着」を掲げるのはめずらしいですね。

 そうかもしれません。ただ、恵比寿に密着するのは、社員のためでもあるんです。オフィスから遠いところの企業の案件だと、社員がそこへ行って帰ってくるだけで、大変な時間がかかる。でも、「顧客と顔をあわせる関係」は維持したい。社員の労働の生産性を上げ、顧客満足度も高めるには、オフィスのすぐそばの顧客の案件を多くするのが得策なのです。

 前提として、移動時間が長いのは、たまには息抜きにはなりますが、生産性を上げるという視点で考えるとストレスになります。ストレスのない環境で自分の好きなこと、得意なことをするほうが絶対に仕事のクオリティが高まります。よりよいものを生み出せます。それは、顧客満足度を高めることにつながるわけです。

―なるほど。チョクモ流の働き方改革を推進する、と。

 うーん、それは違いますね。仮に「できるだけ短時間で、早く帰ろう」というのが働き方改革だとしたら、そうではないです。私自身、働くことが大好きですし、社員のみんなもそうあってほしいですから。ただ、その「大好きな仕事を、いつ、どこでやるのか」については、できるだけ自由であったほうがいい。

 その点、インターネットは、空間や時間の制約を受けずに、自分のライフスタイルにあわせて仕事をするための強力なツールです。実際、栃木在住でテレワークをしているメンバーや、小さい子どもを育てながら仕事と両立させているメンバーがいます。ITツールを最大限に活用しながら、メンバーが自分の人生をより豊かにする働き方ができる環境を整える。それが私の役割です。

―「制作会社などクリエイティブにかかわる仕事はハードワーク」というイメージがあります。でも、チョクモはオフィスの雰囲気がノビノビしています。

 なにも1日中、ひたすらパソコンの前で仕事をすればいいというものではありませんから。仕事も遊びの延長線上にあり、両者に区別をつける必要はない。よいアイデアが浮かんだり、仕事のクオリティが高まるなら、勤務時間中にみんなでゲームをして遊ぶ時間があってもいい。
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