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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社ファミリーコーポレーション 代表取締役 冨吉 範明

M&Aのアフターサービス充実に向け、不動産による「資産形成支援」に着目

株式会社オンデック 代表取締役社長 久保 良介
株式会社ファミリーコーポレーション 代表取締役 冨吉 範明

ファミリーコーポレーションの代表、冨吉氏と、M&A仲介企業のトップによる異業種対談企画。その第2弾では、2005年に創業し、2020年に上場を果たしたオンデックの代表、久保氏との対談を実施。激化する市場間競争に勝ち抜くために求められることや、M&A業界と不動産企業の連携の可能性などについて、2人に聞いた。

「目先の成約」だけにこだわる、M&A仲介企業が目立ってきた

―オンデックは2020年に上場し、M&A仲介業界で注目を集めました。上場を決めた背景を聞かせてください。

久保:当社が上場を決断したのは2010年代後半で、その頃はM&A仲介業界に新規参入する企業が急増していた時期でした。「このままでは、オンデックは多くのライバル企業のなかに埋もれてしまう」という危機感が、上場を決断した背景にありました。当社が創業した2005年当時は、ライブドアによるニッポン放送株の買い占めが話題になった直後で、M&Aに対しては「敵対的買収」などネガティブなイメージがまだまだ根強かったですし、仲介企業もわずかに数えるほどしか存在しませんでした。

 それから約十数年後、M&A仲介市場は、400社以上ものプレイヤーがひしめく競争の激しい市場となっていたのです。しかし正直に言うと、私個人はもともと、上場に対してそこまで前向きではありませんでした。

―それはなぜでしょう。

久保:上場企業として積極的に事業規模を拡大していくことと、当社が創業以来大切にしてきた理念を両立させるのは難しいと考えていたからです。当社は、「理念を伴った道徳ある経済的価値の創出」を第一義に掲げ、プロのM&Aコンサルティングファームを自認してきました。ただ単にM&Aを成立させるのではなく、「どのようなスキームを組めば、売り手・買い手企業双方のメリットを最大化できるか」「買い手にはどういった事業リスクが想定できるか。それを緩和しうるストラクチャはあるか」。こうしたことを掘り下げ、売り手と買い手の双方がしっかりと満足できるサービスを追求してきました。しかし近年、業界で目立ってきているのは、ひたすら成約ばかりを追求するような営業手法です。たとえば、売り手企業を探す際に、「御社を買いたいという会社がありますよ」と言って、あたかも買収希望企業からの依頼であるよう偽ってアプローチするなど、モラルに欠けた行為も散見されるようになっています。

 これに対して当社は、上場を果たした現在も、会社の成長スピードを速めることは課題の一つではあるものの、モラルを重視し、サービスの質にこだわる姿勢は一切変えることはありません。

異業種間の関係構築を通じ、M&Aニーズを発掘していく

―冨吉さんも、一部の企業によるモラルの低い行為を不動産業界の課題として指摘していましたね。

冨吉:いま、日本には約12万~13万社もの不動産企業が存在し、その数はコンビニエンスストアの2倍以上に相当します。ライバルの数がここまで多いわけですから、どうしても、自社の利益を優先するような企業が現れてしまう。M&Aの仲介も、不動産の取引と同様に数千万円、数億円といったお金が動くわけですから、プレイヤーの数が増えれば、目先の利益だけを求めたビジネスが横行してしまう構造は同じかもしれません。かつて、M&A業界に数社しか存在しなかった仲介企業の数は400社ほどまで増えたとのことですから、規模の上でもM&A仲介業界もまさに、不動産業界と同じようなフェーズに入ったのだと思いました。

 業界内で熾烈な競争が繰り広げられるなかでも、目先の利益にとらわれず、M&Aの本質的な価値の提供にこだわる久保社長の考えに共感します。私は、いかに誠実に「お客さまの課題解決」にコミットするかは、中長期的な観点で必ず会社の強みとなり、いつかは業界の体質を変えるほどの影響力を持つようになると考えています。

久保:私もそう信じています。私の肌感覚では、いまのM&A仲介企業の8~9割は、メールや電話によるダイレクトマーケティング的なアプローチをメインに、売り手企業の発掘を行っています。それに対して当社では、これからも変わらず、時間がかかったとしても、地域金融機関など異業種とのネットワークを通じたリファラルマーケティング的な手法により、M&Aニーズを丁寧に掘り起こしていく方針です。そして、そのニーズに対して、顧客満足度の最大化を目指した高付加価値なサービスを提供していく。その積み重ねによって、引き続き会社を成長させていきたいと思っています。

―そこに向けて、次なる一手はどのようものですか。

久保:不動産業界との協業は、今後の成長を牽引する一つの方策だと思っています。いまM&A仲介業界の一部においては、「M&A後」のアフターサービスを充実させる動きが表れ始めています。この動きは、サービス品質の向上を通じて顧客の満足度を追求する当社の考えと合致するものです。実際、M&Aの成約件数そのものが増えていくのに伴い、バイアウトで得た資金の運用について悩む売り手の声も多く聞くようになりました。資産運用を行うに当たり、ポートフォリオにおける資産の組み合わせは重要ですから、「ミドルリスク・ミドルリターン」と言われる不動産はポートフォリオへの組み込みを検討すべき資産だと思いますし、その道のプロである不動産企業との協業の可能性は大きいと考えています。
冨吉:当社でも昨今、M&Aで企業を売却した経営者から、不動産投資に関する問い合わせを受けるケースが増えてきました。なかには、バランスの取れたポートフォリオを検討するよりも先に、「売却資金のすべてを別の金融商品に投じてしまった」と後悔している人もいました。売り手企業の間では、「適切なタイミングで資産形成のサポートを行ってほしい」というニーズの高まりを感じています。

 さまざまな投資商品のなかでも、一棟収益不動産は、収益性と換金性、安定性に優れているとされますが、そこに高い専門性と豊富な取引実績を持つ当社は、最適な選択肢をお客さまへ提示できる自信があります。M&A仲介企業のみなさんとは、双方のお客さまにより良い人生を歩んでもらうためのサービスを提供できるような、三方良しの協力関係をつくっていけると信じています。
久保 良介(くぼ りょうすけ)プロフィール
大阪府出身。関西大学卒業。2005年に舩戸雅夫氏(現:代表取締役副社長)とともにオンデックを創業。2007年、株式会社オンデックを設立し、代表取締役社長に就任。「事業引継ぎガイドライン2014」「中小M&Aガイドライン2020」の検討委員を務める(ともに中小企業庁)。2021年創設の一般社団法人 M&A仲介協会へは理事として参画。
株式会社オンデック 企業情報
設立2007年12月(創業は2005年7月)
資本金3億7,272万2,000円(2023年11月30日現在)
売上高8億2,600万円(2023年11月期)
従業員数59名(2023年11月30日現在)
事業内容M&Aに関する仲介・斡旋・アドバイザリー業務、企業および事業の再生・再構築に関するアドバイザリー業務、企業・事業のデューデリジェンス業務
URLhttps://www.ondeck.jp/

PROFILE プロフィール
冨吉 範明(とみよし のりあき)プロフィール
1978年、神奈川県生まれ。1998年に株式会社オープンハウスに入社。当時のフランチャイズグループ内、全国約2,000名の営業担当者の中で業績トップを走り続けた。2011年、株式会社ファミリーコーポレーションを設立し、代表取締役に就任。
企業情報
設立 2011年4月
資本金 1億円
売上高 202億円(2022年8月期)
従業員数 176名
事業内容 国内収益不動産売買事業、海外不動産売買事業、土地活用事業、開発事業、不動産小口化投資事業、賃貸管理事業
URL https://familycorporation.co.jp/
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