ベンチャー通信Online > 起業家インタビュー > IT > 株式会社ハイパーインターネッツ 代表取締役 家入 一真

INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社ハイパーインターネッツ 代表取締役 家入 一真

生涯を懸ける夢を20代で見つけ出し、最短距離で成長を目指せ

株式会社ハイパーインターネッツ 代表取締役 家入 一真

※下記はベンチャー通信47号(2012年5月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―東京進出5年目、2008年12月にpaperboy&co.は上場を果たしました。ITバブル崩壊後にもかかわらず、スピーディーに上場できた理由を教えてください。

家入:最大の理由は、ビジネス自体が固いこと。ユニークな会社だと言われますが、収益モデルは安定しているんです。レンタルサーバーやドメインなどのネットインフラが主力事業なので、着実な成長が見込めるわけです。

―当時の家入さんはジャスダック上場企業の中で最年少の社長でした。そこで満足せず、なぜ新たなチャレンジに挑んだのですか?

家入:2日前に上場したグリーの株式時価総額と圧倒的に差があったからです(笑)。周囲からは「もっと上場企業の社長を楽しんだらよかったのに」と言われますが、1年で代表権を返上しました。いろんな人からは「前代未聞だ」と怒られましたが、その時はカフェ事業を始めたくて仕方なかった。やりたいことがあるのに、グズグズしたくなかったんです。

―IT関連ではなく、飲食業で起業した理由を教えてください。

家入:自分の力を試してみたかったからです。インターネットの世界でやってきたことが違う業界で通用するのかって。もうひとつの理由は、リアルな“遊び場”を創りたかったからですね。レンタルサーバーの「ロリポップ!」も書評共有サービスの「ブクログ」もネット上の“遊び場”。その場所で何をするかはユーザー次第です。カフェは個展、パーティー、打ち合わせ、デートなど、いろいろな用途で使えるので、“遊び場”になると考えました。

―業界の違いはあっても、「遊び場を創る」というコンセプトは一貫しているわけですね。昨年に設立したハイパーインターネッツも同じコンセプトですか?

家入:はい。カフェを始めたことで、カルチャー系の人たちとつながるようになりました。音楽、ファッション、アート、デザインなど、幅広い分野のクリエイターがカフェに集うんです。そして、そういう人たちの多くは個人で細々と活動している。自然と「彼ら彼女らを応援したい」と考えるようになり、共同代表の石田とハイパーインターネッツを設立。クラウドファンディング型のプラットフォーム「CAMPFIRE」を立ち上げたのです。

―「CAMPFIRE」とは、どのようなサービスなのですか。

家入:アイデアを実現するために必要な創作費用を、そのアイデアに共感した人々から少額から募ることができるプラットフォームです。たとえば、1人当たり1000円でも1万人集まったら1000万円になります。ただし、目標額に達しなかったら、プロジェクトは不成立。ですから、クリエイターも周りを巻き込んでお金を集めようとがんばります。実際、これまで掲載したプロジェクトは8割近く成立しています。

 やっとTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアが浸透し、この仕組みが機能する時代になりました。もともとインターネットは個人の力を解放・拡張するのに適したツールです。僕には絵の才能がなかったけど、絵の道で頑張っている人を応援することはできる。だから、表現者の活動を応援するために、ネットというツールを活用しているわけです。

―家入さんも「ロリポップ!」や「ブクログ」など、数々のユニークなWebサービスを生み出す表現者だと思います。どのように新しいアイデアを生み出し、事業化しているのですか?

家入:あまり考えすぎず、とりあえず実行しています。たとえば、飲みの席で「こんなサービスがあったら、おもしろいよね」って話をしたら、短期間で立ち上げちゃうんですよね。笑い話で終わらせず、本当に実行する。それが違いです。だから、僕はアイデアマンじゃありません。アイデアをカタチにするスピードが早いだけ。事業計画やターゲットなんて考えず、とりあえずやってみる。もしダメだったら、撤退すればいいんです。

―家入さん自身がプログラミングして、新しいWebサービスをつくるのですか?

家入:そういう場合もありますし、誰かと一緒につくることもあります。ライトなものだと3時間くらいで作れるので、一晩で新サービスを立ち上げることもあります。ただし、「OREPON」という新サービスについては、かなり前から考えていました。「OREPON」とは、個人の時間・スキルをクーポン形式で販売するWeb上のプラットフォーム。グルーポンが日本でもブームになった頃、「オレポン」という名前で「オレのオレによるオレのためのクーポン」をつくったらおもしろいと思ったんです。「オレとランチできるクーポン」や「オレと電話で打ち合わせできるクーポン」など、自分に関するいろいろな権利を販売する。この「OREPON」は僕自身が実験して反応が良かったので、サービス化しました。

―その他にアイデアを事業化するコツはありますか。

家入:最近ではTwitterを活用しています。何かアイデアが浮かんだら「こんなサービスどう思う?」とつぶやいて、フォロワーの反応が良ければ立ち上げる。反応がイマイチであれば、他のアイデアを考える。テストマーケティングの場所として、Twitterを活用しています。「Twitterでつぶやいたら、アイデアを盗まれる」なんて主張する人もいますが、自分が思い浮かぶアイデアなんてたいしたことないんですよ。盗まれるほど素晴らしいアイデアだったら、すでに誰かが実行しているでしょう。
※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。