INTERVIEW 業界別起業家インタビュー
生涯を懸ける夢を20代で見つけ出し、最短距離で成長を目指せ
株式会社ハイパーインターネッツ 代表取締役 家入 一真
※下記はベンチャー通信47号(2012年5月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
―ここからは、家入さんのベンチャー論を聞いていきたいと思います。「日本は起業を目指す人が少ない」と言われていますが、そういう実感はありますか。
家入:僕は日本しか知りませんが、そんなことはないと思います。特に昨年くらいから、学生や新卒で起業する人が増えている印象があります。だから、スタートアップ投資を行う会社が増えているし、上場準備企業も増えている。バブルと言われることもありますが、悪いことじゃないと思います。就職しても一生保障されるわけじゃないし、高い給料をもらえるわけじゃない。だから、みんな将来に悩んでいると思うんですよね。その中で「起業」という道は、「就職」と同じように選択肢の中に入ってきている。ここ数年で起業のハードルが下がってきたと思いますね。
―家入さんは別会社でベンチャーキャピタル事業も行っていますよね。
家入:もともと個人で※エンジェルのようなことをやっていたんですが、本格化するために会社を設立しました。現在は30社くらいのアーリーベンチャーに投資しています。正直に言って、すべての企業がうまくいくとは思っていません。でも300万円くらいあれば、チャレンジはできる。その機会を与えてあげたいんです。当然、投資するからにはリターンも欲しいですが、それは目的じゃないですね。
※ エンジェル:ベンチャー企業への資金提供や事業支援を行う個人投資家のこと。
―ベンチャー企業に投資する際、どのような点を重視していますか。
家入:事業そのものには、あまり興味がありません。それよりも、どういう人がやるのかに興味がある。どんな性格なのか、どんな想いでこのサービスを始めるのか。たとえば、「会社が倒産しても、いつか立ち直って成功する」と思える人だったら、ビジネスの内容は関係ない。やはり、人間が一番大事です。ただし、事業は個人向けサービスに絞っています。その分野なら、デザインやインターフェースのアドバイスができますから。スタートアップ支援の会社はたくさんあるので、僕だからできることをしたいですね。
―起業家に必要な資質は何ですか。
家入:いろいろな人がいるので、難しいですね。僕が好きなのは、自分の欲望に素直な人。社会貢献など理想が高いのは素晴らしいのですが、話がふわふわしていることが多い。だから、個人的にはおもしろみを感じません。それよりは「モテたい」とか、「金持ちになりたい」とか、自分の欲望をモチベーションにしている人が好き。そして、負けん気が強い人も起業家向きだと思います。
―家入さんが憧れている起業家はいますか?
家入:思い浮かびません。憧れた時点でその人に負けた気がするので、あまり認めたくないんです。たとえばGMOインターネットの熊谷さんは尊敬していますが、憧れているわけじゃない。僕は熊谷さんのようになれないし、ならないと思います。ムカつく起業家だったら、グリーの田中君(笑)。いや、仲良いんですよ。よく飲むし、毎年誕生会も開いています。僕と田中君だけじゃなくて、内藤君(ドリコム代表取締役社長)、杉本君(エスグラントコーポレーション創業者)、西澤さん(ネオキャリア代表取締役)など、5~6人のメンバーで誕生日を祝っています。笠原さん(ミクシィ代表取締役社長)は最近会っていませんが、近藤さん(はてな代表取締役社長)はたまに参加していますね。
―みなさん同世代の起業家ですよね。
家入:そうですね。厳密には、内藤君だけが僕と同い年で78年生まれ。他はもう少し上で、76世代と言われています。でも下の世代がどんどん成長しているので、常に焦りを感じています。僕は33歳なんですが、決して若くない。たとえば、堀江さん(元ライブドア代表取締役社長CEO)が33歳の時はニッポン放送買収騒動が終わり、国会議員に立候補していました。そういうことを考えると焦りますね。
―最後に、若者へのメッセージをお願いします。
家入:やりたいことをやればいいと思います。大変な時代かもしれませんが、いま踏ん張った人が未来の日本を変える気がします。就職も悪いことじゃありませんが、やりたいことがあるなら一度チャレンジすればいい。「何かを始める」ということにおいて、今はチャンスです。だから、自分のやりたいこと、自分だからできることを改めて見つめ直すべき。おもしろいことは応援するので、Facebookで連絡してください。
PROFILE
プロフィール
家入 一真(いえいり かずま)プロフィール
1978年、福岡県生まれ。デザイン会社、コンピューターシステム会社にてウェブデザインの技術を習得。2001年に合資会社マダメ企画を設立し、自宅で低価格レンタルサーバー「ロリポップ!」を立ち上げる。2003年に有限会社paperboy&co.を設立し、代表取締役に就任。2004年3月に株式会社化し、本社を福岡から東京に移す。2008年12月にジャスダック証券取引所に上場し、当時、同市場の最年少社長となる。その後、代表取締役CCOを経て、2010年3月に取締役に就任。同年4月にカフェ・レストラン事業を手がける株式会社パーティカンパニーを設立し、代表取締役に就任。2011年1月に株式会社ハイパーインターネッツを設立し、代表取締役に就任。クラウドファンディング型のプラットフォーム「CAMPFIRE」を立ち上げ、話題に。著書に『こんな僕でも社長になれた』(ワニブックス)など。
企業情報
設立 | 2011年1月 |
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資本金 | 2,600万円 |
従業員数 | 5名 |
事業内容 | Webサービス企画・開発・運営 |
URL | http://hiinc.jp/ |
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