INTERVIEW 業界別起業家インタビュー
おもしろいことをやれば成功する
堀場製作所 創業者 堀場 雅夫
※下記はベンチャー通信38号(2009年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
―根っからの起業家タイプは、日本人の中にわずか2%しかいないと。
堀場:そうですね。新しいことが起こった時に、感動して「やったろか!」と思うタイプの人が非常に少ない。 そして、もし本当に日本人とアングロサクソンの遺伝子が違うのであれば、ベンチャー支援の方針も変えるべきです。最近、私は日本人にはスピンオフ(分離・独立)型のベンチャー企業が向いていると考えています。スピンオフ型とは、大企業の新規事業部門などから、分離・独立するタイプのベンチャー企業のことです。実際、過去の例を見ても、日本では大企業に勤めていた人が起業するケースが多い。ですからベンチャー支援の対象を、少し保守的なベンチャー企業に変えるべきだと思います。
―ベンチャー支援の主要プレイヤーとして、ベンチャーキャピタル(以下、VC)が挙げられると思いますが、今後の日本のVCはどうあるべきでしょうか。
堀場:ベンチャー企業を早くIPOさせて、短期的にお金を稼ごうとするVCはもう必要ありません。日本にはホンモノのVCが必要です。日本のほとんどのVCは、大企業のお金を運用するファンドになってしまっています。だから、IPOの見込みが高いミドルステージ以降のベンチャー企業にばかり投資している。でも本当に資金を必要としているのは、アーリーステージのベンチャー企業なんです。VCなら、自らリスクをとって目利きをして、アーリーステージのベンチャー企業に投資するべきです。そのためにもVCは企業のお金ではなく、個人のお金を運用した方がいい。そうすればタニマチ的にベンチャー企業に投資できます。タニマチとは、投資家よりも支援者に近い存在のことです。個人のお金であれば、「うまくいかなくてもしゃーない」という気持ちで投資ができます。でも企業の運用資金は社長のポケットマネーではありませんので、投資に失敗して「しゃーない」とは言えないわけです。
―なるほど。ところで、堀場さんの考える「起業家の条件」を教えてもらえますか。
堀場:大きく分けて、5つほどあります。まず、先ほどお話しした「新奇性追求」気質の強い人がいい。次に「これが好きでたまらん!」という情熱を持っていること。そして、スキルと行動力が必要です。また何よりも大事なのが、起業家の人間性。チャラチャラした人、お金儲けが目的の人は絶対にうまくいきません。もし一時的にうまくいったとしても、社会がそれを許さないでしょう。ただし、これらの要素をすべて備えていても、成功するとは限りません。起業志望者が10人いたとして、私が起業を勧めるのは1人か2人だけ。安易に「やれ、やれ」と人に起業を勧めるのは無責任だと思います。もし失敗して借金を背負ったら、その人の人生がメチャクチャになりますから。
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