山口百恵、和田アキ子など数々の大物タレントを世に送り出してきた堀威夫。ギター弾きから入った芸能の世界。芸能界は当時まだ世間に認められていなかった。芸能プロダクションを立ち上げた堀は、途中自分の会社を知人に乗っ取られたりと、数々の試練を経験。それでも「いつか自分のメシの種を世間に認めさせたい」という想いでひた走った。そのホリプロは2002年9月に東証一部上場を果たす。幾たびの苦難を乗り越えてきたホリプロ創業者、堀威夫。その堀に創業の秘訣を聞いてみた。
※下記はベンチャー通信8号(2003年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
―堀さんは、いつぐらいから音楽をやり始めたんですか。
堀:ギターをいじり始めたのが、中学3年生くらいから。その当時はまだ戦後間もなかった頃で、音楽も大きい音で元気が出るような音楽が多かった。でもある日突然、もの悲しげなギターの音楽に出会った。落ち着いた大人の曲。その曲をどうしても弾きたくて、ギターを買ったんです。それからは仲間を集めて、毎日ギターを弾いてました。そうしているうちに、ただ弾いているだけでは飽き足らない。誰かに聞いてもらいたいと思うようになった。そして高校2年生の頃にハワイアンバンドを仲間と結成しました。プロとまではいかなくても、セミプロ並みに小遣い稼ぎはできていました。
―その頃は、将来はバンドで食べていこうと思っていたんですか。
堀:いや、そうではないです。当時、ミュージシャンっていう職業は世の中で認められていなかった。うさんくさいイメージがあった。ギターは好きだったけど、ミュージシャンになるのは両親や親戚に申し訳ないような気がしていましたね。なんか顔向けできないというか。 だからハワイアンバンドも高校3年生の暮れに辞めて、そこから受験勉強を始めたんです。それでなんとか明治大学に入学しました。
―いったん辞めたバンドを、大学時代に再開したきっかけは何だったのですか。
堀:明治大学に入学して、たまたま大学のクラスで隣に座った同級生が高校時代にバンドをやっていたんです。そこで意気投合して、その同級生の家に遊びに行った。そしたら、そこに同級生の従兄弟がいて、彼は夜になるといつもギターを片手に仕事に行く。その人との出会いがきっかけで、僕もまたギターを弾き始めたんです。本当に偶然のきっかけですよ。
―大学時代からプロとして活動していたんですか。
堀:そうです。ちょうど大学1年生の暮れにワゴンマスターズというプロのバンドから声がかかって、そのまま大学4年間はワゴンマスターズでリードギターしてました。ラジオに出たり、米軍キャンプに行ったり、本当に忙しかったですね。
―米軍キャンプですか?
堀:そう、米軍キャンプ。ちょうど朝鮮戦争の時だったんで、朝鮮半島の最前線で戦っている兵士が、休暇を過ごしに日本に来るわけです。朝鮮戦争では、日本は物資の供給地であり、兵士の休暇場所だったんです。だから兵士を楽しませに、よく米軍キャンプでライブをしました。兵士は、普段は戦地にいるわけだから、給料は使えない。また戦争手当っていう危険手当も上積みされて、お金はたっぷり持ってた。僕たちにとっては、本当にいい時代だった。せっかくの休みだから、兵士もなかなかライブを終わらしてくれないんです。オーバータイム払うから、もう一曲やってくれって、どんどんお金を投げ込んでくる。だからライブが終わったら、ドル紙幣がどっさり。いちいち勘定するのも面倒だから、一掴みずつメンバーがそこから取っていくっていうようなことをやってた。
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