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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社HumanArx 代表取締役 小森 周

人材採用業界で存在感を高めるベンチャー企業トップの経営哲学

逆境で受けた「giveの精神」を胸に、顧客とともに未来を切り拓く

株式会社HumanArx 代表取締役 小森 周

2018年に創業し、採用コンサルティングやコールセンターでのRPO(採用代行)業務などの人材関連事業を手がけるHumanArx。特定の領域で培ったノウハウや知識から独自の強みを確立し、人材採用業界で存在感を高めている。同社代表の小森氏によると、その躍進のきっかけには、コロナ禍で経営が厳しい局面に陥った苦い経験があったという。その逆境をいかに乗り越え、成長へとつなげられたのか。同氏に詳しく聞いた。

新規のコールセンター事業が、重要な成長エンジンに

―事業内容を教えてください。

 おもに「採用コンサルティング」と「コールセンター」の2事業を展開しています。このうち採用コンサルティングは創業当初からの事業で、企業の採用課題に対し、多様な求人媒体のなかから最適なものを提案し、原稿作成から効果測定、改善提案までを一貫してサポートしています。特定の媒体に縛られず、顧客にとってもっとも効果的な解決策を追求することで、信頼を築いてきました。

 コロナ禍で立ち上がったコールセンター事業は、採用コンサル事業で取引のある顧客を対象に、応募者への対応から面接の設定までを代行するサービスです。これにより、顧客は採用業務の負担を大幅に軽減でき、面接の実施と採用可否の判断に集中できると好評をいただいています。この事業は売上規模で見れば全体の20%ほどですが、利益への貢献度は採用コンサルティング事業と同等で、いまや当社の重要な成長エンジンとなっています。そのうえ現在では、多くの顧客から選ばれる、大きな強みも確立できています。

―具体的に、どういった強みがあるのですか。

 警備やタクシーなどの業界に特化し、業界特有の法律や専門用語、勤務形態などに精通した正社員オペレーターを配置していることです。これにより、応募者からの専門的な質問に対しても、テンプレート通りの回答ではなく、的確な情報を提供できるのです。他社にはなかなか真似できない、業界に特化した深い知識と質の高い対応力が大きな差別化要因となり、結果として当社の安定的な成長にもつながっています。

人と人のつながりが、会社を窮地から救ってくれた

―どのような経緯でそうした事業が立ち上がったのですか。

 コロナ禍で経営が大打撃を受けたのがきっかけとなりました。当社は2018年に創業した後、1期目で年商が4,000万~6,000万円にのぼり、順調なスタートを切りました。しかし、2期目に入った2020年には採用コンサルティング事業がパンデミックの影響を大きく受け、月間500万〜600万円あった売上が10分の1程度にまで激減したのです。増員した人件費の負担も重く、1期目で蓄積した資金がみるみる減っていく日々でした。その結果、新たに雇用した社員2人も退職せざるを得なくなり、私自身、人を雇うことの怖さすら感じていました。

 そうした絶望的な状況にあった私たちを救ってくれたのは、「人と人のつながり」です。以前から信頼関係があった前職の後輩が、警備専門媒体の事業で私たちに多くの顧客を紹介してくれたり、以前から交流のあったコールセンター会社の社長が、当社の状況を知って採算度外視で業務を発注してくれたりしました。さらに、その社長のもとへ、「採用面接日程の設定を代行する事業」にニーズがありそうか相談に行った際、「人員を提供するから、一緒に事業を立ち上げよう」と手を差し伸べてくれ、いまのコールセンター事業の原型が生まれたのです。これらの経験を通じて、私は人とのつながりをなによりも大切にし、「まずは与える」という「giveの精神」を、経営において強く意識するようになりました。

―その精神を、どのように実践していますか。

 たとえば、立ち上げ間もない企業が「とにかく売上を上げたい」と考えている場合、当社からその企業へコンサルティングや顧問業務を依頼することで、後々のWin-Winな関係を築く「先の利」の契約を結ぶことがあります。営業活動においても、無理な契約を結ぶことはありません。「できることとできないこと」を先に明確に伝え、短期的な売上を追うよりも、顧客にとって本当に価値のある提案をすることと、顧客との信頼関係を最優先することを信条としています。HumanArxを危機から救ってくれた「giveの精神」を、今度は我々が存分に発揮し、困っている企業に手を差し伸べ、ともに未来を拓いていく経営を目指しています。

社員の個性を活かして目指す「誰もが活躍できる世界」

―今後のビジョンを聞かせてください。

 コロナ禍で得た経験から掲げるようになった「人と人との架け橋になる」というミッションのもと、「誰もが活躍できる世界」を実現していくことです。そのためには、多種多様なバックグラウンドをもつ仲間たちが、それぞれの能力や個性を最大限に発揮できる会社にしていきたいと考えています。現在の事業領域でいえば、「コールセンター事業でキャリアをスタートし、そこで得た知識や経験を活かして採用コンサルティング事業へとステップアップしていく」など、明確なキャリアパスを社内に構築していきます。同時に、社員が安心して長く働ける環境も整えていきたいです。たとえば、常に一定のニーズがあり、安定的に利益をあげられる不動産賃貸事業を立ち上げるなど、社会環境に左右されにくい多角化経営へとシフトしていく方針です。

 事業を多角化する過程でも、個人の能力や個性を大切にしていきたい。ある分野に精通した社内の人材に「こういう事業をやりたい」というアイデアがあれば、それを積極的に形にして、新しい価値を生み出していく会社にしていきます。そうしたビジョンの実現に向け、当社の新たなコアメンバーとして活躍したいかたは、ぜひHumanArxの仲間に加わってください。
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