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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

マネックスグループ 代表取締役社長CEO 松本 大

内なる破壊と創造を繰り返せ

マネックスグループ 代表取締役社長CEO 松本 大

※下記はベンチャー通信34号(2008年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―なるほど。話は変わりますが、そもそも日本では起業家を目指す若者が少ないと言われています。松本さんはどう思いますか?

松本:そうですね。確かに日本の若者は起業家を目指す人が少ないと思います。欧米と違い日本では起業家へのリスペクトが社会的に低いのが一因だと思います。日本では一流大学を出て大企業に勤める人とベンチャー企業を起こす人では、前者のほうがリスペクトされる。これは欧米では考えられません。欧米では起業して成功した人を社会が賞賛する文化があります。「よく起業した」と。新しく事業を立ち上げ、雇用を創出したわけですから、リスペクトされて当然という文化なんです。でも日本では、これが"よく就職できた"となる(笑)。そして日本の社会は起業家をドロップアウトした人たちのように見るんです。私も若い頃は起業したいなんて思っていませんでした。だから起業に関して言えば、私は相当のおくて(笑)。起業したのが35歳です。それまで自分の頭の中の辞書に「起業」の2文字はなかった。私が外資系金融機関に就職した後、しばらくしてインターネットが誕生しました。このインターネットの誕生は電気や電話の誕生がそうだったように、ビジネスのあり方を根本から大きく変えていくと確信しました。そして私はインターネットを使った個人投資家向けの金融サービスが絶対に必要になる時代が来ると考え、当時パートナーとして在籍していたゴールドマン・サックスに提案したんです。しかし、この提案は却下されました。そこで仕方なく起業したわけです(笑)。

―なぜ日本では起業家がリスペクトされないんでしょうか?

松本:それは既得権益を守ろうとする力が大きく存在しているからだと思います。さかのぼると明治維新からその既得権益は続いている。幕末期に日本の3分の1の富を持っていた徳川幕府が崩壊し、※薩長土肥と呼ばれる明治政府の高官たちが日本を統治するようになった。
徳川幕府の膨大な富も、そのまま薩長土肥の政府高官たちに移行された。そして、彼らはその富の上に行政のヒエラルキーを作り上げ、富が動かないように固定化したんです。その後、現在までこの既得権益は続いています。そして当然ですが、彼らは自らの既得権益を守ろうとします。そうなると既得権益側の彼らにとって、ベンチャー企業はその富を脅かす存在でしかありません。なぜならベンチャー企業は彼らの固定化した富を動かすからです。マクロ的に見ると、日本で起業家がリスペクトされないのは概してそういうことだと思います。そういうマクロ的な背景があって、ミクロで見ると、親が子供に「一流大学に入って、大企業に勤めてほしい」という願いになるんだと思います。
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