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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

マネックスグループ 代表取締役社長CEO 松本 大

内なる破壊と創造を繰り返せ

マネックスグループ 代表取締役社長CEO 松本 大

※下記はベンチャー通信34号(2008年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―なるほど。でもベンチャー企業が出てこなければ、日本経済も停滞してしまいますよね。

松本:その通りです。このまま既得権益を守り続けていれば、日本は沈没してしまいます。経済の発展には健全な新陳代謝が必要です。経済は生態系と同じです。生態系では数多くの種が存在し、互いに密接に連関している。環境が変化すれば、新しい環境に適応できない種は滅び、環境に適応できた種だけが生き残る。つまり進化できない種は滅ぶわけです。そして、この進化の過程で出てくるのが突然変異種。この突然変異種によって進化は劇的に進みます。 経済に置き換えると、この突然変異種にあたるのがベンチャー企業なんです。だから日本経済もベンチャー企業という突然変異種が出てこなければ、将来は危ういと思います。もちろん突然変異種は、そのほとんどが死滅してしまう。生き残るのはほんのわずか。しかし、そのわずかな突然変異種があるかないかが、生態系にとって非常に大事なんです。経済で言えば、それは将来の潜在的な成長性にあたります。

―マネックス証券も創業時は、まさに突然変異種だったわけですね。

松本:学そうですね。今では個人投資家の9割以上がオンライン証券を利用しています。銀行もネットバンキング、つまりオンラインに移行してきている。ネットの登場は日本の金融のあり方を劇的に変えました。創業時のマネックス証券は、まさに日本の金融界の突然変異種だったと思います。 しかし、生まれた時は突然変異種であっても、しばらくするとその種は既存種になり、いずれ別の突然変異種が現れて滅びてしまう。生命の進化とはその繰り返しなんです。だから当社も内なる革新を常に行っていかなければいけないと考えています。常に内なる破壊と創造を繰り返す。そして世の中に新たな価値を提供し続ける。そうでなければ、いつか当社も滅んでしまいます。

―最後に起業家を目指す若者にメッセージを下さい。

松本:起業家なんて、全ての人がなれるものでもありません。起業家が100人いたら、95人くらいは失敗します。起業家になるということは、確率論的に言えば損な選択です。でも日本経済全体を考えれば、起業家がいないと新しいビジネスは生まれずに経済は停滞してしまう。だから、新陳代謝をするために、日本は新しい起業家の出現を必要としているんです。  問題なのは、果たしてそういう社会全体としての観点に立った起業ができるかです。自分が儲けたいから起業する、いい暮らしをしたいから起業する、ではダメです。やはり社会貢献を本気で信じることができる人じゃないと、起業家としての成功は無理だと思います。みなさんも頑張ってください。
※薩長土肥:幕末期、明治新政府の主力となった西南4藩の略称。薩摩藩(鹿児島県)、長州藩(山口県)、土佐藩(高知県)、肥前藩(佐賀県)を指す。
PROFILE プロフィール
松本 大(まつもと おおき)プロフィール
1963年、埼玉県浦和市生まれ。東京大学法学部卒業後、ソロモン・ブラザーズに入社。90年、ゴールドマン・サックスに転職。デリバティヴの専門家として活躍し、94年にはゴールドマン史上最年少でパートナー(共同経営者)に抜擢。99年4月、ソニーとの共同出資でマネックス証券を設立。2000年 8月、設立わずか2年目にして東証マザーズ上場。2004年8月、日興ビーンズ証券と経営統合をし、マネックスビーンズホールディングス(株)を設立。
企業情報
設立 2004年8月2日
資本金 88億円
事業内容 金融商品取引業等を営む会社の株式の保有
URL http://www.monexgroup.jp/
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