INTERVIEW 業界別起業家インタビュー
利他主義を貫き、暮らしのインフラを創る
株式会社ネクスト 代表取締役社長 井上 高志
※下記はベンチャー通信35号(2008年11月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
―「Lococom」をはじめとした新規事業は誰が主に発案しているんですか?
井上:これまでは経営陣が中心に発案していましたが、最近では現場社員が新規事業の発案から立ち上げまでを担っています。たとえば今年、現場社員が新規Webサイト「HOME'S介護」を立ち上げました。この事業責任者は自分の家族に要介護者がおり、世の中に流通している介護施設の情報が少ないことに不満を持っていました。そこで彼はこの状況を変えたいと思い、「HOME'S介護」を立ち上げたわけです。やはり事業責任者自身が強い想いを持っているだけに、事業にかける想いは強かった。また、この新規事業は当社のビジョンにも合致しており、成長性のある事業でもあるので、私も非常に期待しています。今後も現場社員が新規事業を立ち上げられる風土を整えていくつもりです。
―御社は「日本一働きたい会社」を目指しているそうですね。
井上:そうですね。当社ではさまざまな社員への支援制度を整えています。たとえば私が事業の立ち上げ方を直接指導する「経営塾」、他には技術・制作職などの社員が週1日を日常業務から離れて自由研究にあてる「クリエイターの日」、あとは自分の考えたプランを事業化できる「新規事業提案制度」などがあります。また、自己申告制度(社内転職制度)、月一回の全社総会、出産・育児支援制度など、さまざまな施策を実施しています。近い将来、社内でMBAが取得できるよう、コーポレートユニバーシティを立ち上げることも考えています。
―井上さんが経営者として常に心掛けていることを教えてください。
井上:まず当社の社是である「利他主義」を全社員が共有すること。「利他主義」とは、お客さまはもちろん会社の同僚、親友、家族、恋人など自分の周りの全ての人々を笑顔にして幸せにしようという考え方です。この考え方を社内で徹底させています。あとは"正義"と"力"を併せ持った会社にすること。ここで言う"正義"とは一点の曇りもない正しさに基づいて行動することです。私利私欲を追求するなんてもってのほか。当社は社会正義をとことん追求していきたい。また"力"とは、世の中を変える程の影響力を持つことです。大事なのは、この二つを兼ね備えていることだと思います。"力なき正義"は無力であり、"正義なき力"は社会的暴力になってしまうからです。どちらが欠けていてもいけません。
―最後に起業を目指す若者にメッセージをください。
井上:まず高い志を持て、と言いたいですね。起業とは一攫千金を狙ったり、経済的野心を満たすためのものではありません。一番大事なのは、志。つまり、自分の人生を賭けて何を成し遂げたいのかということです。会社経営とは、たとえるならバスで目的地に行くようなもの。志が目的地で、利益はガソリンです。もちろんガソリンがなければバスは動きません。しかし、決してガソリンを集めることが目的ではない。もし起業したいと考えているなら、まず自分が何を成し遂げたいのかを明確にしてほしい。志を立ててからでも起業するのは遅くはありませんから。ぜひ頑張ってください。
PROFILE
プロフィール
井上高志(いのうえ たかし)プロフィール
1968年、東京都生まれ。1991年に青山学院大学経済学部を卒業後、株式会社リクルートコスモス(現:株式会社コスモスイニシア)に入社。その後、株式会社リクルートを経て、1995年にネクストホームを創業。1997年に株式会社ネクストを設立し、代表取締役社長に就任。
企業情報
設立 | 1997年3月 |
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資本金 | 19億8200万円 |
売上高 | 74億3,300万円(2008年3月期) |
従業員数 | 461人(2008年8月31日現在、派遣社員・アルバイト含む) |
事業内容 | 不動産ポータル事業、地域コミュニティサイト事業、その他事業 |
URL | http://www.next-group.jp/ |
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