INTERVIEW 業界別起業家インタビュー
やる前から考えても無駄
株式会社ファーストリテイリング 代表取締役会長 柳井 正
※下記はベンチャー通信8号(2003年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
―ジャスコを辞めて、すぐに実家に戻ったんですか。
柳井:いや、実家には戻らずに、半年くらい東京でブラブラしていました。大学時代の友人の家に転がり込んで、一緒に生活をしてました。でも友人は就職している。だから毎朝その友人は会社に出社。でも、自分だけブラブラする生活。本当に憂鬱になりましたね。それで、こんな生活をしているんだったら実家に戻った方がましだと思って、実家のある山口県宇部市に帰りました。
実家に戻ってからは、親父がやっていた紳士服専門店を手伝いました。でも手伝いながら、愕然としたんです。ジャスコで働いた時と全然違う。仕事の効率も悪いし、従業員も真面目に働いていない。この違いは何なんだって。それで、ああでもない、こうでもないって店員に言いまくったんです。そしたら、一人を残して七人いた店員がみんな辞めちゃった。その当時は現場の人の気持ちなんて考えていなかった。若気の至りですね。
それで店員がいなくなったんで、自分で全てをやらなくちゃいけない。仕入れ、販売、経理、人事を全部自分でしました。親父も会社の実印を僕に渡して、「好きにやれ」って言う。僕はまだ20代の若造でしたが、一気に責任を負うことになったんです。でもそれが結果として非常に良かった。全部自分でしないといけないから、商売人としてすごく勉強になった。それに、やってみたら、商売って結構面白いんだな、と気が付いた。毎日、成績表をもらっているようなものでしょう。やったことが全部、自分に返ってくる。そこで初めて、自分で商売をやっていこうと決心したんです。
実家に戻ってからは、親父がやっていた紳士服専門店を手伝いました。でも手伝いながら、愕然としたんです。ジャスコで働いた時と全然違う。仕事の効率も悪いし、従業員も真面目に働いていない。この違いは何なんだって。それで、ああでもない、こうでもないって店員に言いまくったんです。そしたら、一人を残して七人いた店員がみんな辞めちゃった。その当時は現場の人の気持ちなんて考えていなかった。若気の至りですね。
それで店員がいなくなったんで、自分で全てをやらなくちゃいけない。仕入れ、販売、経理、人事を全部自分でしました。親父も会社の実印を僕に渡して、「好きにやれ」って言う。僕はまだ20代の若造でしたが、一気に責任を負うことになったんです。でもそれが結果として非常に良かった。全部自分でしないといけないから、商売人としてすごく勉強になった。それに、やってみたら、商売って結構面白いんだな、と気が付いた。毎日、成績表をもらっているようなものでしょう。やったことが全部、自分に返ってくる。そこで初めて、自分で商売をやっていこうと決心したんです。
―その当時はどれくらい働いていたんですか。
柳井:朝8時くらいから夜9時くらいまで働いていました。家に帰ってからも仕事をしていたんで、ご飯を食べているとき以外は全部仕事でしたよ。地方で商売をしていると、なかなかいい人材が入ってこないんです。だから自分一人で全部の仕事を回さなくちゃいけない。そのために仕事の一つ一つを自分で全部覚えていきました。
―その当時、将来の夢は何か持っていましたか。
柳井:いや、夢を持つ余裕なんてなかったですよ。もう生きていくのに精一杯。いかに親父から引き継いだ会社を潰さないようにするか。月末の支払いとか一日の売り上げなどが気になって、将来の夢どころじゃなかったですね。ユニクロもせいぜい30店舗が限度だと思っていました。どんなに頑張っても、売上げ30億が自分のできる精一杯だろうって。
―いつくらいから全国展開を目指し始めたんですか。
柳井:会社の売上げが2、30億円を超えはじめた頃です。このまま個人経営でやっていても、うまくいかないんじゃないかって考え始めた。事業として継続していくには、経営者にならなくちゃいけないんじゃないかって。それで、これからは経営者として生きていこうと決めました。経営者は商店主とは全然違います。経営者は客観的に自分の会社を判断して、主体的な行動ができる人のことです。会社の収益や社員の自己実現を、どのようにして達成させるか。また原理原則を大事にして、どんな人でも納得できることを淡々と実行する。それが経営者だと思います。経営なんて、何にも劇的なこともないし、派手さもない、非常に単調でつまらないものです。
―経営の原理原則とは何ですか。
柳井:経営は信用が全てです。あとは自分自身で実際に経営してみて原理原則を見つけていくものだと思います。まずは自分で全部やってみないと分かりません。
また商売では甘い考えは通用しません。まず商品を買いに来るお客さんは非常にシビアです。自分のお金を商品と交換するわけですから、とても厳しい目で見てくる。またその店で働く従業員もシビアです。自分の大事な時間を使って、お金をもらいにくるわけですから、これもまた厳しい目で見てきます。
そんな中、経営者は誰にでも納得できる形で経営しないといけない。でも最初からうまくはいきません。何回も失敗してみて、失敗の原因が自分の中にあるんじゃないかと気付かないといけない。そうやって、自分を成長させていくんです。
また商売では甘い考えは通用しません。まず商品を買いに来るお客さんは非常にシビアです。自分のお金を商品と交換するわけですから、とても厳しい目で見てくる。またその店で働く従業員もシビアです。自分の大事な時間を使って、お金をもらいにくるわけですから、これもまた厳しい目で見てきます。
そんな中、経営者は誰にでも納得できる形で経営しないといけない。でも最初からうまくはいきません。何回も失敗してみて、失敗の原因が自分の中にあるんじゃないかと気付かないといけない。そうやって、自分を成長させていくんです。
―柳井さんも失敗をしてきたんですか。
柳井:いつも失敗の連続ですよ(笑)。商売に関して言えば、一勝九敗くらいです。ほとんど失敗してる。新しいことを始めて、成功する確率は、ほとんどゼロに近い。だから僕は失敗しても会社が潰れないようにすることをいつも考えてきました。会社を潰したら、従業員や取引先に取り返しのつかない迷惑をかけます。だからまずは会社を潰さないことを考える。それが商売の信用につながると思います。
―人から信用されるために他に大事なことはありますか。
柳井:やっぱり一貫してやることが大事です。コロコロと意見を変えたり、昨日言ったことと今日言ったことが違う人を誰も信用しません。だから自分で言ったことは、必ず実践する。そういう一貫性が大事だと思います。他には約束を守ることも大事です。うちの会社では、会議はだいたい5分前から始めます。5分前にはみんな集まっているから、会議が始められるんです。会議に遅れてくる人は、僕は大嫌いです。
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